水曜日, 3月 20, 2024

VTOL型固定翼ドローン関連記事メモ

 VTOL型固定翼ドローン関連で気になる記事が2つ出ていたので、メモです。

1つ目

記事としては少し古いのですが、以前このブログでも取り上げた空解のドローンを利用した、ドローン物流の実証実験の記事となっています。

以前のこのブログでの記事はこちら

このニュースのポイントは以下の3つです。
1.佐渡⇔新潟間の56kmという比較的長距離を輸送
2.2026年に定期運用したいという目標がある
3.現段階では「1便あたり1.5~3万円を目指す」という具体的な価格設定の話が出ている

取り敢えずやってみました!という感じの実証実験だけではなく、実際に事業として成り立つかを本格的に検討し、目標設定をしていることが分かります。まだまだ課題はありますが、ドローン物流の社会実装も近づいてきた感がありますね!

2つ目

こちらはタイトルまんまなのですが、航続距離1000kmのドローンの量産化を目指す、というのが凄いですね。2025年から量産化を行う計画とのことです。

以前のこのブログでは取り上げませんでしたが、テラ・ラボもVTOL型固定翼ドローンで有名でしたね。

しかし、1000kmというと、東京都心部から小笠原諸島の父島までの距離です。凄いです!ただ、じゃあ小笠原諸島への物資運搬に使えるのか?というと恐らくそれはなかなか難しくて、実際には災害時の空撮、遭難者の捜索支援、海上、海岸線の監視、などに活躍しそうな気がしますね!


両方とも遠くない未来の話なので、また先の楽しみが増えた感じです!

金曜日, 2月 23, 2024

HondaJetの出荷台数(2023年通年実績)

米航空機製造者協会(GAMA)より、2023年の一般航空機の出荷台数が公開されました。
ということで、早速我らがHondaJetの出荷台数を確認してみます。

ちなみに、2022年までのHondaJetの出荷台数は以下の記事に纏めています。

上記記事のポイントですが、2021年までは出荷台数が年間30台以上と順調に台数を伸ばしていましたが、2022年に年間の出荷台数が17台と少なくなってしまっていました。これは新モデル「HondaJet Elite II」の販売開始待ちではないか?と予想しました。
しかし、2023年度も四半期ごとの販売実績を見るとあまり伸びていない印象です。4Q含めた2023年実績はどうなったのでしょうか?

ということで、2023年のクォータ毎、及び合計の出荷台数、金額です。
2023年1Q:1台($6,950,000)
2023年2Q:9台($62,550,000)
2023年3Q:2台($13,900,000)
2023年4Q:10台($69,500,000)
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2023年合計:22台($152,900,000)

1台あたりの金額は$6,950,000となりますので、出荷されている機体が全て最新モデルの「HondaJet Elite II」ということになりますね。

初出荷からの出荷台数を一覧にすると、以下のとおりです。 

2023年:22台(累計248台)
2022年:17台(累計226台)
2021年:37台(累計209台)
2020年:31台(累計172台)
2019年:36台(累計141台)
2018年:37台(累計105台)
2017年:43台(累計68台)
2016年:23台(累計25台)
2015年:2台(累計2台)

ようやく累計250台といったところでしょうか。
販売目標ラインは400〜500程度だと推測されますので、2020年代にはなんとか到達できるかな、といった感じでしょうか。

Honda Jet(HA-420)が属するVery light jet(超軽量ジェット機)の他の機種の2023年の販売台数は以下のとおりです。
  • Citation M2:25台
  • Phenom 100:11台
  • Cirrus SF50:96台
毎回書いていますがCirrus SF50は単発ジェット機ですし、ちょっとカテゴリ違いなので実質的な強豪は上2機種になります。もう少しでCitation M2にも勝てそうでしたが、このカテゴリで負けられないという旧セスナの意地を感じます。

HondaJet については「HondaJet Elite II」を大型化した「HondaJet Echelon」(旧名:HondaJet 2600)を2028年から販売する計画です。
2024年半ばから初号機の製造開始(初飛行は2026年予定)となるので、こちらも楽しみですね!

月曜日, 2月 12, 2024

実用化への準備が進む川崎重工製無人ヘリ「K-RACER」

 このブログでも何度か取り上げている川崎重工無人ヘリ「K-RACER」ですが、実用化に向けた実証実験が進んでいるようです。

以前取り上げたこのブログの記事はこちら

川崎重工の無人ヘリK-RACERは飛び立てるのか?

川崎重工の無人ヘリK-RACERと類似する航空機を比較してみる


現在最新の「K-RACER-X2」はペイロード200kgと国産無人航空機(ヘリ・ドローンタイプ)としては最大級のサイズです。


実証実験は「K-RACER-X1」の時から実施している長野県伊那市で昨年秋に実施されたようです。

無人ヘリコプターの実証機「K-RACER-X2」 国内最大となる200kgの貨物搭載能力を実証 川崎重工 2024年01月12日

川崎重工、無人VTOL実証機「K-RACER-X2」の飛行試験およびデモ飛行を実施。ペイロード200kgの大型物流ドローン DRONE 2023年11月14日


更に今年1月には自衛隊での実証実験も実施しています。

自衛隊、川崎重工の無人ヘリコプター「K-RACER-X2」の実証実験動画を公開 DRONE 2024年2月11日



このように実証実験は着々と進んでいるようですね。民需だけでも採算が取れるようにという話ではあった気がしますが、はやり防衛費が増えていることもあり自衛隊向けの活用も進みそうです。

今年元旦の地震でも改めて迅速な空輸での支援物資展開、また観測などが重要であることが改めて認識されました。こういった用途には無人ドローン、ヘリの活用が欠かせませんので、いち早く実用化されることを期待しています。

実用化にあたっては制度の問題が大きいと考えられます。このあたり、政治主導で国交省などがスムーズに動けるようにして欲しいですね。安全第一ではありますが、無人機に関しては飛ぶ場所を選べばコストなどとのバランスをみることができると考えています。

水曜日, 8月 30, 2023

HondaJetの出荷台数(2023年2Q実績)

 米航空機製造者協会(GAMA)より、2023年2Qの一般航空機の出荷台数が公開されました。一般航空機というのは、恐らく軍用など以外の民間用途、という意味でしょう。
ということで、我らがHondaJetの出荷台数を確認してみます。

ちなみに、2022年までのHondaJetの出荷台数は以下の記事に纏めています。

上記記事のポイントですが、2021年までは出荷台数が年間30台以上と順調に台数を伸ばしていましたが、2022年に年間の出荷台数が17台と少なくなってしまっていました。これは新モデル「HondaJet Elite II」の販売開始待ちではないか?と予想しましたが、どうでしょうか?

ということで、2023年のクォータ毎の出荷台数です。
2023年1Q:1台($6,950,000)
2023年2Q:9台($62,550,000)
上半期合計:10台

1Qは2022年から引き続き低い水準で1台ですが、2Qになり出荷台数が回復しています。1台あたりの金額は$6,950,000となりますので、出荷されている機体が全て最新モデルの「HondaJet Elite II」であることがわかります。

なお、Honda Jet(HA-420)が属するVery light jet(超軽量ジェット機)の他の機種の2023年上期の販売台数は以下のとおりです。
  • Citation M2:11台(1Q:5台、2Q:6台)
  • Phenom 100:3台(1Q:2台、2Q:1台)
  • Cirrus SF50:44台(1Q:18台、2Q:26台)
Cirrus SF50は少しジャンルが違う気がするので除くと、少なくとも2QについてはHondaJetが一番売れています。このままの勢いが続けは、2023年はHondaJetがVery light jetジャンルの出荷台数No.1を奪還できるかもしれません。Cirrus SF50などの単発エンジンの超軽量ジェット機を除くと、ですが。

ホンダは2028年、現在のHondaJetをより大型化したHondaJet 2600のリリースを計画しています。現在は1機種しか無いHondaJetですが、2600が提供されれば今後よりホンダの航空機事業が大きく拡大するでしょう。ホンダはeVTOLの開発も取り組んでいますし、今後が楽しみですね!

火曜日, 7月 11, 2023

大阪・関西万博で飛行予定のeVTOL4機種と現在の状況

 2025年に開催する大阪・関西万博(以下大阪万博)では目玉の1つとしてeVTOLの飛行が計画されており、今年の2月に運行事業者が決定しました。今回は2025年に運行を予定しているeVTOLの現在の開発状況と今後の予定を整理しておきます。


まず、万博で飛行する予定のeVTOLは以下の4つの機種となります。
  • Joby S4(運行事業者:ANA及びJoby Aviation)
  • VoloCity(運行事業者:JAL)
  • VX4(運行事業者:丸紅)
  • SD-05(運行事業者:SkyDrive)

それぞれ、解説していきます。
なお、紹介している仕様は開発中のものとなり、最終的に変わる可能性があります。

Joby S4(Joby Aviation S4)
Joby S4は米国Joby Aviation社が開発する、ベクトル推進タイプのeVTOLです。Joby Aviationにはトヨタが多額の出資をしており、現在外部筆頭株主となっており、取締役も出しています。先日、FAAよりJoby S4の量産初号機の飛行テスト許可を取得しており、現在最も型式証明取得に近いeVTOLです。今のところ2024年に米空軍での運用を開始、2025年に商業運航を開始する予定です。


主な仕様
  • パイロット:パイロット1名
  • 乗客数: 4名
  • 最高速度: 200 マイル/時 (322 km/h)
  • 航続距離: 150 マイル (241.4 km)
  • タイプ:ベクトル推進
  • 電源: リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物バッテリー
  • 翼幅: 35 フィート (10.7 m)
  • 長さ: 24 フィート (7.3 メートル)
  • 最大離陸重量: 4,000 ポンド (1,815 kg)
ベクトル推進(ティルトローター)タイプのeVTOLのため、バッテリーのみの割に最高速度が速く、航続距離がそれなりに長いモデルです。価格は現時点で不明ですが、本モデルがeVTOLとして世に出る最初期の機種となりますので、価格を含め本モデルのスペックが今後登場するeVTOLとの比較のベースラインになると考えます。



VoloCityはドイツVolocopter社が開発する、マルチコプタータイプのeVTOLです。Joby S4が固定翼を持つベクトル推進、リフト&クルーズタイプのeVTOLの代表だとすると、VoloCityはマルチコプタータイプのeVTOLの代表です。今のところ2024年夏、パリオリンピックに合わせてパリで商業運航を開始する計画となっています。


主な仕様
  • 乗組員: 1名
  • 乗客数: 1名
  • 最高速度: 110 km/h
  • 航続距離: 35 km
  • プロペラ:18個
  • モーター:18個 Brushless DC electric motor (BLDC)
  • 電源: リチウムイオンバッテリー
  • ペイロード:200kg
  • 最大離陸重量:900 kg
マルチコプタータイプのため、速度、航続距離ともに控えめです。この航続距離30km程度というのが、バッテリーのみを動力とするマルチコプター型のeVTOLでは多くなっています。VoloCityの特徴の1つに9つのバッテリーパックを5分程度で載せ替えることが可能となっている、という点があります。充電が速くできます、というモデルは多いですが、このバッテリーを素早く載せ替えることで運航回転数を上げる、というアプローチをしているeVTOLは意外と他にない気がします。
ペイロード的に2名しか乗ることができないため、パイロット1名、乗客1名となってしまっているのがネックですね。パイロットレス運航(遠隔操作を含む)が実現化しないと、なかなか普及は難しそうです。むしろVoloCityを荷物運搬用にしたVoloDroneの方が売れるかもしれません。
Joby S4と同様に、VoloCityは商業運航を始める最初期のモデルとなると思いますので、価格を含め、このモデルの仕様がマルチコプタータイプeVTOLのベースラインになると考えられます。



VX4は英国Vertical Aerospace社が開発する、ベクトル推進タイプのeVTOLです。元々2022年に商業運航を計画していましたが、2021年には2024年の開始目標となっています。その後情報を見つけることが出来ませんでしたが、少なくとも万博が開催される2025年には商業運航開始を目標としていると考えられます。

主な仕様
  • パイロット:1 名
  • 乗客:4 名
  • 巡航速度:241 km/h
  • 最大速度:320 km/h
  • 航続距離:160 km以上
  • ペイロード: 450 kg
  • プロペラ: 8 基(前方プロペラ x4、後方プロペラ x4)
  • 電気モーター: 8 基
ベクトル推進タイプであること、乗員数がパイロット含め5名であることなど、Joby S4とかなりスペックが近いモデルです。最高速度はJoby S4と同じですが、航続距離は短くなっています。価格やその他事項を含め、Joby S4との差別化が実現できるかが、今後の成功可否を分けるポイントになると考えます。



国内ベンチャーであるSkyDrive社が開発する、マルチコプタータイプのeVTOLです。このeVTOLについては本ブログでも何度か取り上げています。

元々2025年に型式証明を取得する予定でしたが、2025年の万博は機体ごとの耐空証明で飛ばし、2026年の型式証明取得を目標としています。

主な仕様
  • パイロット:1名
  • 乗員:2名
  • 最大巡航速度:100km(対気速度)
  • 航続距離:約15km
  • 電源:バッテリー
  • 駆動方式:12基のモーター・ローター
  • 主要構造素材:複合材(CFRP)やアルミ合金など
  • 最大離陸重量:1,400kg
マルチコプタータイプですので比較対象はVoloCityとなります。元々パイロット含め2名でしたが、3名に仕様変更したため、そこはVoloCityと比較し優位性があります。ただ、なんといっても航続距離が短いことがネックになりそうです。往復を考えると片道5km程度しか飛ばすことが出来ませんので、現在のスペックでは使い所が限られそうです。航続距離が30-50km程度になれば、活躍の場が増えそうなのですが。

※動画は3人乗りに見直し前のデザインとなっています。

今回、2025年に開催される大阪万博で飛行予定のeVTOLをまとめましたが、こうやって整理してみると、リフト&クルーズタイプのeVTOLが無いですね。リフト&クルーズタイプを開発しているベンチャーも多いのですが、最初に型式証明を取得するのはBeta Technologiesあたりでしょうか。国内もホンダが開発を検討しているeVTOLはリフト&クルーズタイプですし、先日取り上げた国内ベンチャーであるHIEN Aero Technologiesが開発しているのも同タイプですね。

大阪万博で飛行予定のeVTOLは現在開発されている中では先頭を走り、最初に商業運航を行うことを目指している機種たちになります。この先頭集団が2024年、2025年のスタートを現在目指していますので、大阪万博が開催される2025年のタイミングがeVTOL元年になりそうですね。

日曜日, 7月 09, 2023

eVTOL開発の国内ベンチャー企業「HIEN Aero Technologies」

 以前「eTVOLの主なメーカー」という記事を書き、国内ベンチャーを含めeVTOLのメーカーを紹介しました。国内企業でeVTOLの有人テスト飛行を成功し、販売を計画しているのは、今のところSkyDriveteTra aviationの2社です。なお、teTra aviationは現在一人乗りのeVTOLのみとなっています。
一方で、まだ有人テスト飛行までたどり着いてはいませんが、eVTOLの開発を進めている国内のベンチャー企業はいくつかあります。今回はそのうちの1社である「HIEN Aero Technologies」を取り上げたいと思います。

正式名称は「HIEN Aero Technologies株式会社」で、2021年に設立した東京都小金井市に拠点を持つ新しい企業です。法政大学初のベンチャー企業で、同社の代表取締役である御法川学氏は法政大学理工学部機械工学科の教授でもあります。法政大学って、こういう学科もあるんですね。

同社が開発を進めているeVTOLは以下の特徴があります。
  • バッテリーのみではなく、ガスタービン発電を利用したシリーズハイブリッド方式とすることで長い航続距離を確保する
  • マルチコプタータイプではなく、リフト&クルーズタイプ
この2つの特徴はホンダが進めているeVTOLと同じなんですよね。しかも、同社は最終的にHIEN 6という6人乗りのeVTOLを2030年に市場投入することを目標としていますが、このスケジュール感もホンダのeVTOLの計画と同じです。ただ、ホンダの場合は2025年に事業化するか判断、となっているため、まだどうなるかは分かりません。
ちなみに、2030年にeVTOLの市場投入を目指しているベンチャーはもう1社神戸のスカイリンクテクノロジーズがあります。こちらも同じハイブリッド方式ですが、タイプはベクトル推進(ティルトローター機)です。

今回HIEN Aero Technologiesを取り上げたのは、いつの間にかホームページがリニューアルされ、今後の開発する機体、マイルストーンが明確に公表されているからです。今後開発が予定されている機体について、紹介します。

ガスタービンハイブリッド長距離大型UAV
  • 寸法:5000 x 3200 x 900 mm
  • 最大離陸重量:90kg
  • ペイロード:25kg
  • 最大速度:180km/h以上
  • 飛行時間:60分程度
  • 航続距離:150km以上
  • 給電能力:20kWh
  • 燃料:灯油(Jet-A1 / B)
  • デリバリー目標:2023年?
こちらは有人のeVTOLではなく、VTOL型固定翼ドローンとなります。昨年開催された「Japan Drone 2022」では2023年4月にデリバリー予定、とされていましたが、まだデリバリー開始とはなっていなそうなので、現時点で開発中、という感じでしょうか。

先日本ブログで「VTOL型固定翼ドローンのメーカー及びモデル」という記事を書きましたが、ペイロード25kgというのは以前の記事で取り上げたどのドローンよりもペイロードを持っており、航続距離150km以上、最大速度180km/h以上とマルチコプター型、バッテリー式のドローンよりも高い性能を持つため、製品化したらそれなりに活躍の場がありそうです。最大離陸重量90kgというのも所謂ドローンの範囲(150kg未満)に収まっているので、そこも良いですね。

2人乗りパーソナルeVTOL
  • 寸法:6000 x 9000 x 2500 mm
  • 最大離陸重量:600kg
  • ペイロード:150kg
  • 最大速度:180km/h以上
  • 航続距離:180km以上
  • 給電能力:50kWh
  • 燃料:灯油(Jet-A1 / B)
  • デモフライト目標:2025年
HIEN Dr-Oneの次は2人乗りの有人eVOLです。仕組みなどはほぼ変わらず、人が乗れるくらい大型化した、という感じですね。こちらは2025年の大阪万博でのデモフライトを目標に設定しています。あと2年しかありませんので、頑張って無人でデモフライト、という感じでしょうか。
こちらのモデルは正式に型式証明を取得して製品化を目指す、というよりも、後述する6人乗り開発のためのステップ、という位置づけだと考えられます。ただ、「川崎重工の無人ヘリK-RACERは飛び立てるのか?」でも取り上げていますが、最大離陸重量600kg以下の無人航空機向けに新たな型式証明の制度が制定されそうなので、これを無人機として活用する、というのも手かもしれません。

6人乗りコマーシャルeVTOL
  • 寸法:10000 x 16000 x 3200 mm
  • 最大離陸重量:2000kg
  • ペイロード:500kg
  • 最大速度:180km/h以上
  • 航続距離:180km以上
  • 給電能力:400kWh
  • 燃料:灯油(Jet-A1 / B)
  • デリバリー目標:2030年
HIEN Aero Technologiesが最終的に目標としているのが、このHIEN 6のデリバリーです。これはHIEN 2を更に大型化し、6人乗りとしたモデルです。最高速度、航続距離は一旦HIEN 2と同じ記載になっていますが、少なくとも航続距離はもっと長くすることを目標にしていると考えられます。もうすぐFAAの型式証明を取得しそうな「Joby Aviation S4」がバッテリーのみで5人乗り航続距離が240km程度なので、流石にそれは超えないと、という感じです。

コンセプトのeVTOL
  • 寸法:?
  • 最大離陸重量:?
  • ペイロード:1000kg
  • 最大速度:?
  • 航続距離:?
  • 給電能力:?
  • 燃料:灯油(Jet-A1 / B)
最後はコンセプトeVTOLです。結構eVTOLのベンチャー企業はこのようなコンセプトを提示しており、その企業の方向性が分かります。例えば国内で最もデリバリー開始に近いeVTOLベンチャーであるSKYDRIVEのコンセプトeVTOL「SD-XX CONCEPT」は2人乗りとなっています。これは多くの場所で離着陸可能な小型eVTOLを提供していく、というSKYDRIVE社の方針を感じさせますね。一方でこの「HIEN X」はペイロード1トン、10人乗りということで、より大型なeVTOLを開発、提供していく、という方針を感じさせます。個人的にはある程度のペイロードが必要なのでは?と思っている方なので、良いと思います!

ということで、今回はeVTOL開発に取り組むHIEN Aero Technologies社を紹介しました。ヘリコプター、固定翼機とも航空機は新規参入が難しく、世界的にも企業数が多くない業界です。特に日本はメーカーとして存在感はあまりありません。一方でeVTOLは新しいジャンルの航空機なので、これから恐らくこれから2030年代半ばにかけて様々なモデルが登場し、その後メーカーが統廃合されていくと予想されます(航空機メーカーの歴史的に)。1社でも多くの国内ベンチャーに有人eVTOLのリリースまでたどり着いて欲しいと思っているので、HIEN Aero Technologies社にも頑張って頂きたいと思います!大阪万博でデモフライトをするようであれば、ぜひ見に行きたいですね。

最後に、HIEN Aero Technologies社のPVです。

土曜日, 7月 08, 2023

富士通のクラウドなど各種サービスの稼働状況公開サイト

 富士通のクラウドサービス稼働状況がわかるサイトがいつの間にか公開されていました。

富士通のIaaS系サービス(FJcloud)だけでなく、データセンター、各種SaaSも対象となっており、幅広いサービスの稼働状況が一覧で確認できます。
何か調子がおかしいぞ、と感じたらこのサービスを確認するのが良いかもしれません。

木曜日, 7月 06, 2023

米国クラウド法(CLOUD Act)と各CSPの方針

米国クラウド法(CLOUD Act)とは何か、そして各CSP(クラウドサービスプロバイダー)の方針がまとまっているサイトを整理しておきます。

まず、米国クラウド法(CLOUD Act)とは何か?ですが、Chat GPTの回答を転記しておきます。
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「米国クラウド法(CLOUD Act)」は、2018年にアメリカ合衆国で制定された法律です。CLOUDは「Clarifying Lawful Overseas Use of Data」の略称です。
この法律は、主にクラウドサービスプロバイダー(CSP)に対して、アメリカ合衆国の法執行機関が保有するデータへのアクセスを提供する義務を課すことを目的としています。具体的には、CLOUD Actは以下のようなポイントを含んでいます。
  1. 法執行機関へのデータ提供要求: CLOUD Actによれば、アメリカ合衆国の法執行機関は、自国内または海外に保存されたデータに対して、クラウドサービスプロバイダーに対してデータ提供要求を行うことができます。これにより、アメリカの法執行機関は、刑事捜査や国家安全保障の目的で、アメリカ国外に保存されたデータにもアクセスできるようになります。
  2. 国際データ要求の枠組み: CLOUD Actは、アメリカ合衆国政府が他の国と相互にデータ提供要求を行うための枠組みを提供しています。この枠組みに基づき、アメリカ合衆国は他の国と相互にデータ提供要求を行い、アメリカのクラウドサービスプロバイダーに対してデータを提供することができます。
  3. 反対要求と対処手続き: CLOUD Actは、クラウドサービスプロバイダーがデータ提供要求に対して反対する場合の手続きを明確化しています。CSPは、適法性やプライバシー保護などの理由で要求に反対することができますが、一定の手続きを経て法廷で争われる可能性もあります。
CLOUD Actは、デジタル時代の国際的なデータアクセスとプライバシーの問題を扱うために制定された法律であり、アメリカ合衆国の法執行機関とクラウドサービスプロバイダーの間のデータ提供手続きを明確化しています。ただし、この法律には懸念や議論も存在し、個人のプライバシー保護や国際的なデータの取り扱いに関する懸念も存在しています。したがって、法執行機関とクラウドサービスプロバイダーの関係や、個人や組織のデータプライバシーに関心のある人々にとって、CLOUD Actの影響や適用範囲を理解することは重要です。
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良くまとまっていますね。もっとざっくり書くと、米国に本社がある通信プロバイダー、CSPは米国の司法当局の要請により、米国外の環境のデータも提示する義務がある、という法律です。もちろん、各メガクラウドの日本国内リージョンも対象です。
そのため、日本政府のシステムを配置するガバクラに米国CSPが提供するクラウドしか選定されていない現状について、安全保障上問題があるのではないか?という議論も起きています。

次に、各CSPの米国クラウド法(CLOUD Act)に関するサイトのリンクをまとめておきます。
Azureは日本語のサイトが見つからなかったんですよね。結構国内でも気にする方が多いと思うのですが。。大手ユーザーは担当営業に確認しろ!ということかもしれません。Azureサポートには担当営業に質問して下さい、と言われてしまいました😁

水曜日, 7月 05, 2023

インダストリ・クラウド・プラットフォームとは?

 インダストリ・クラウド・プラットフォームというキーワードについて調べていたのですが、なんかChat GPTの回答が一番まとまっていて分かりやすい。

インダストリ・ クラウド・プラットフォームという言葉は、ガートナーの2023年戦略的テクノロジートレンドとして出てくる言葉です。

名前の通り、汎用クラウドではく、特定インダストリ(業界)向けのクラウドサービスのことです。

Chat GPTの回答を見てみましょう。
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インダストリ・クラウド・プラットフォームは、特定の産業(インダストリー)に特化したクラウドベースのテクノロジープラットフォームのことを指します。これは、特定の業界のニーズや要件に適合するように設計され、その業界に関連するアプリケーション、サービス、およびソリューションの提供を可能にするように構築されています。

インダストリ・クラウド・プラットフォームは、従来の汎用的なクラウドプラットフォーム(例:Amazon Web Services、Microsoft Azure、Google Cloud Platformなど)とは異なり、特定の産業セクターに特化しています。これにより、その業界の企業や組織が、より効率的かつスケーラブルなソリューションを開発、導入、管理できるようになります。

これらのインダストリ・クラウド・プラットフォームは、以下のような特徴を持つことがあります:
  1. 業界固有のアプリケーションとサービス:特定の業界に特化したアプリケーションやサービスが提供されています。たとえば、ヘルスケア業界向けの電子健康記録システム、製造業向けの生産ライン管理ソリューションなどが挙げられます。
  2. データセキュリティとコンプライアンス:産業はしばしば特有の規制とセキュリティ要件を持っています。インダストリ・クラウド・プラットフォームは、これらの要件に準拠し、データセキュリティとプライバシーを保護するためのツールや仕組みを提供します。
  3. 業界エコシステムの統合:特定の産業に特化したプラットフォームは、業界内のさまざまなステークホルダー(企業、サプライヤー、顧客など)を統合することにより、よりシームレスなコラボレーションとビジネスプロセスの改善を可能にします。
  4. AIと分析機能:データ駆動の意思決定が重要な産業では、AI(人工知能)と高度なデータ分析機能が重要です。インダストリ・クラウド・プラットフォームは、これらの機能を提供して、より洞察力のある意思決定を支援します。
代表的なインダストリ・クラウド・プラットフォームには、以下のようなものがあります:
  • ヘルスケア業界向け:Epic、Cernerなど。
  • 製造業向け:Siemens Mindsphere、SAP Manufacturing Cloudなど。
  • 農業向け:IBM Watson Decision Platform for Agricultureなど。
これらのプラットフォームは、各産業のニーズを具体的に理解し、効率化、革新、競争力の向上に貢献することを目指しています。
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分かりやすいですね。

企業の用語解説だと、その企業の製品・サービスに繋がる解説がされていることが多いので、内容が偏っていることが多いです。Chat GPTの回答だと俯瞰的な回答で、良い感じですね。

月曜日, 7月 03, 2023

VTOL型固定翼ドローンのメーカー及びモデル

 今回はVTOL型固定翼ドローン(垂直離着陸型固定翼ドローン)を開発、販売しているメーカー4社と代表モデルを紹介したいと思います。VTOL型固定翼ドローンというのは、ドローンと聞いてすぐに思い浮かべるマルチコプター型のドローンではなく、旅客機のように固定翼が付いている&垂直離着陸も出来る、いいとこ取りのドローンのことです。形としてはeVTOLのリフト&クルーズ型が多い気がしますね。

2015年に設立されたソニーとZMPの合弁会社です。主に産業用ドローンの開発、サービス提供を行っています。エアロセンスが開発しているドローンにはマルチコプター機が多いですが、VTOL型固定翼機も1機種あります。

  • 外形寸法:2150 x 1235 x 415 mm (プロペラ含まず)
  • 動力:バッテリーのみ
  • 最大離陸重量:11kg
  • 最大ペイロード重量:1kg
  • 航続距離:50km
  • 航続時間:40分
  • 最大速度:100km/h
  • 巡航速度:65km/h
  • ホバリング限界高度:不明
  • 価格:500万円〜


代表的な国産VTOL型固定翼ドローンと呼んで良いモデルです。マルチコプター機と比較すると、バッテリーだけでも長距離、長時間飛行できることがVTOL型固定翼機の特徴です。
エアロボウイングはエアロセンス自体が出自がしっかりしている会社からか、多くの国、自治体の検証プロジェクトで活用されているイメージがあります。最大離陸重量は11kgとなっているので、最大離陸重量25kg未満のクラスですね。

以下はエアロセンス社のニュースリリースですが、ここ半年だけでも多くの発表をしています。

このように測量や空輸の検証事業などで活躍しているエアロボウイングですが、流石にペイロード1kgと小型なこともあり、大型モデルの開発が進められています。そして、この開発は経済安全保障重要技術育成プログラムに採択されています。

2年後を目標に開発する次期大型VTOL機のスペックは以下のようになっています。
  • 全幅:4500mm
  • ペイロード:10kg
  • 飛行時間:90分以上

サイズ感は2倍になり、ペイロードと飛行時間が伸びた、という感じですね。飛行時間90分以上ということなので、恐らくバッテリーのみではなく動力にエンジンを利用するのではないかと思います。

空解はラジコン飛行機エアロバティック競技のトップパイロット&エンジニアが2021年に設立した異色の、そして非常に新しい企業です。ただ、ラジコン飛行機は20年以上取り組んできたということで、他のドローンと比較してもかなり高性能なモデルを開発しています。

  • 全長: 1475mm
  • 全幅: 2100mm
  • 動力:バッテリーのみ
  • 最大離陸重量:不明
  • 重量: 2580g (バッテリー無)
  • 最大ペイロード重量:2.5kg (航続時間40分)
  • 航続距離:120km
  • 航続時間:120分
  • 最大速度:120km/h
  • 巡航速度:不明
  • ホバリング限界高度:不明
  • 価格:不明


  • 全長: 2480mm
  • 全幅: 3500mm
  • 動力:バッテリーのみ/エンジン利用
  • 最大離陸重量:不明
  • 重量: 12kg (バッテリー無)
  • 最大ペイロード重量:10kg
  • 航続距離:400km(バッテリーのみの場合は120km)
  • 航続時間:350分
  • 最大速度:150km/h 
  • 巡航速度:不明
  • ホバリング限界高度:不明
  • 価格:不明
これらは先日開催されたJapan Drone 2023(6/26-28)でも紹介されていたモデルです。(私は本展示会に行けていませんが😢)これらのモデルの特徴はともかく本体が軽いことです。バッテリー込みの重量、最大離陸重量が分からなかったのですが、これまでドローンのスペックはそれなりに見てきましたものの、ここまで軽いのはあまりないのでは?と思います。厳しい制限がある競技ラジコン飛行機のノウハウをもとに開発された、ということでしょう。
QUKAI FUSION®️ 2.4が最大離陸重量25kg未満、QUKAI MEGA FUSION®️ 3.5が最大離陸重量25kg以上150kg未満のクラスになると推測されます。どのくらいの高度を飛行する想定なのかも気になるところです。

ここまででお気づきになるかと思いますが、エアロセンスが次期大型VTOL機のスペックとして公開しているスペックを実はQUKAI MEGA FUSION®️ 3.5は既に達成してしまっているんですよね。実際には飛行高度や天候の話もあるようなのでそちらの達成度合いが不明なところではありますが、ドローン単体として重要なペイロードと飛行時間は達成済みです。まあ、高性能なモデルが多くあることは悪いことではありません。エアロセンス側には開発を進めていただき、空解側にはどんどん実証飛行を進めて行って頂ければと思います。もっと自治体を巻き込んだ方が良い気がしますね。航続距離も長いので、伊豆諸島で実証実験しましょうと東京都などを巻き込むのも良い気がします!東京都は予算があるし😁

いや、自分で書いておいて何ですが、東京都に売り込むのはとても良い気がしますね。以前書いた「東京愛らんどシャトル路線から考える無人航空機に必要な航続距離」で距離をまとめましたが、QUKAI MEGA FUSION 3.5であれば伊豆諸島の全ての島に既に荷物を届けることが可能な航続距離を保有しています。なんなら23区内から最も遠い青ヶ島も360km程度の距離なので、既に到達可能なんです。そして、QUKAI MEGA FUSION 3.5を改造して搭載燃料を増やし、ペイロードを減らせばもしかしたら小笠原諸島まで到達することも可能かもしれません。小笠原諸島の父島は基本的に空路はなく、海路も週1本の船だけです。本当に困った場合は自衛隊が活躍しますが、例えペイロードが1kgでも民間のドローンで空輸できるようになれば、薬などを発送から10時間以内程度で届けることが可能となり、利便性が向上するのではないでしょうか?
ということで勝手なことを書きますと、まず伊豆諸島の島々、特にヘリ便しかない島へのドローン配送に取り組み、実績を積みます。その結果を踏まえ、小笠原諸島向けの機体を開発(衛星通信でのコントロール、夜間飛行、長距離対応などなど)し、初の1000km規模のドローン配送を実現する(2-3年後)、というプランで東京都に企画を持ち込むのは如何でしょうか?😁

2021年創業の会社ですが、2021年の実証実験に関するニュースリリースが3件ほどありました。


WingcopterVTOL型固定翼ドローンを開発、製造するドイツ企業です。2021年にANAと業務提携、2022年に伊藤忠商事とパートナーシップ契約を行い、日本国内でもWingcopter製のドローンが実証実験に使われる様になっています。

  • 外形寸法:167cm x 198cm x 66cm
  • 動力:バッテリーのみ
  • 最大離陸重量:25kg
  • 最大ペイロード重量:最大5kg
  • 航続距離:110km(ペイロードなし)、75km(5kg)
  • 航続時間:不明
  • 最大速度:144km/h
  • 巡航速度:100km/h
  • 最大高度:5000メートル
  • 価格:不明


ドイツだけでなく、米国、そして日本など広く実証実験に利用されているモデルです。本モデルの特徴ですが、3つの荷物を別々の場所に落とすことができる機能があること、そして他のモデルと比較すると耐風性能が15m/s(突風20m/s)と比較的高くなっていることが挙げられます。一般的に耐風性能は10m/sとかですもんね。

最近だとこんなこともやっています。

何というか、グローバルで実績も多く手堅いモデルという感じですね。日本国内でも第一種型式認証を取得する、という記事もありました。固定翼を持つドローンで第一種型式認証取得しているものはなかったと思いますが、米国FAAの方でも認証を取るとのことなので、FAA側で先に認証が出れば国内の認証もスムーズに出る気がします。FAAがOKを出して、国交省がNGを出すことはないでしょう。

次世代機というかは微妙ですが、動力に水素を利用した航続距離が長いモデルの開発も進められているそうです。

最後はドローンメーカーではなく、日本国内でクジラなどの海棲哺乳類の研究、調査を行っている日本鯨類研究所です。日本鯨類研究所は従来目視で行ってきた調査にドローンを活用するため、独自のドローンの開発を進めています。そして開発されたドローンが先日開催されたJapan Drone 2023で展示されていたようです。

  • 全長:1.9m
  • 翼長:3.3m
  • 動力:モーター(バッテリー&水素)
  • 本体重量:21.3 kg
  • 最大ペイロード重量:不明
  • 航続距離:200km(ペイロード10kg時)
  • 航続時間:不明
  • 最大速度:不明
  • 巡航速度:不明
  • 最大高度:不明
  • 価格:不明


こちらは既に実績のある「飛鳥 改五」の改良版で、バッテリーのみから燃料電池方式を採用、航続距離を100kmから200kmに航続距離を長くする計画です。
※動画は「飛鳥 改五」の紹介動画となります。

まとめ
最後に簡単にまとめですが、やはりVTOL型固定翼ドローンはマルチコプター型のドローンと比較すると、開発しているメーカー、そしてモデルが非常に少ないですね。ただ、マルチコプター型と比べると航続距離、飛行時間が長いため、例えば捜索、測量や長距離配送には固定翼ドローンの方が向いている気がします。一方で基本的に静止していることが多い鉄塔やトンネルなどの構造物の点検、撮影位置があまり動かない上空からの撮影、短距離配送についてはマルチコプター型の方が向いている気がします。このあたりは有人のeVTOLと同じ感じですね。
有人のeVTOLと同じというように考えると、やはりネックになるのは構造の複雑性や価格がマルチコプター型と比較し、高価になってしまう、といった点でしょうか。ただ、今後ドローン向けの型式認証取得が進むようであれば、認証取得にそもそもコストが多くかかため、特に第一種型式認証取得ドローンモデルなどでは価格差(割合)は減るかもしれません。

もう1つ、スキャンイーグルのようなカタパルト発射式や滑走路が必要な固定翼タイプのドローンとの比較があります。これらのタイプと比較した場合、VTOL型固定翼ドローンはなんといっても垂直離着陸ができることが大きな強みです。陸上自衛隊はスキャンイーグルを導入していますが、絶対にVTOL型固定翼ドローンの方が便利だと思いますね。もちろん、現行のモデルでは飛行時間まだまだ敵いませんが、開発できない話ではないと思うので資金投入して欲しいところです。
有人のeVTOLではマルチコプター型で開発すると発表したベンチャーがかなりの数いましたが、結局は固定翼有りで開発しているところが多いです。一方で無人ドローンの場合はマルチコプター型であれば比較すぐに飛ばせるレベルに持っていけるため、実際出しているメーカーは多いです。が、社会実装という意味合いでは、目視外飛行ありの高度な用途の領域ではVTOL型固定翼型が4~5割程度、マルチコプター型が5~6割程度に落ち着くのかもしれません。

水曜日, 6月 28, 2023

三菱重工の中型ドローン

本日まで開催している「Japan Drone 2023」で展示されている、三菱重工のドローンが記事になっていました。

展示されているドローンは以前本ブログでも取り上げた2機種です。

本ブログでは大きい方のドローンを大型ドローンと表記したのですが、今回の記事、というか三菱重工の表示上は中型ドローンだそうです。ペイロードが200Kgということは、恐らく最大離陸重量は400~600kgなので、中型と言うには大きい気がしますが。。。まあ、人が乗れるサイズのeVTOLもドローンと言えばドローンなので、そちらを大型とするなら中型なのかもしれません。国交省などが早めに区分の呼称を決めて欲しいですね。

気になるスペックですが、公開されている情報は以下のとおりです。

三菱重工 中型ドローン
  • 動力:バッテリーのみ/ハイブリッドタイプ
  • 最大離陸重量:不明
  • 最大ペイロード重量:200kg
  • 航続距離:不明
  • 航続時間:2時間(ハイブリッドタイプ)
  • 巡航速度:60km/h(最大90km/h)
  • ホバリング限界高度:不明
  • 価格:不明(開発中)
航続距離は不明ですが、巡航速度が60km/hで航続時間が2時間程度なので、航続距離は100km程度でしょうか。そうなってくると、川崎重工が開発している無人ヘリ「K-RACER-X2」とかなり似たスペックとなります。

K-RACER-X2
  • 動力:エンジン
  • 最大離陸重量:650kg
  • 最大ペイロード重量:200kg
  • 航続距離:100km程度
  • 巡航速度:不明
  • ホバリング限界高度:3,100m
  • 価格:不明(開発中)
想定用途が山岳部の物資輸送、トラックで現地まで運べる、というところまで同じです😁ヘリコプター型とマルチコプター型という大きな違いはありますが、ここまで同じにしなくても、という感じですね。恐らく新しい最大離陸重量600kgまでの無人航空機の認証制度を想定して設計すると、同じ感じになるのだとは思います。

なお、K-RACER-X2については何度か本ブログでも取り上げていますが、類似する航空機との比較なども行っています。

日経クロステックの記事の方に以下の記載があります。
実運用に向けた認証取得のハードルは高そうだ。この機体は通常のドローン(無人航空機)ではなく、より多くの積載量をより遠くへ運ぶ「無操縦者航空機」という新しいカテゴリーとして開発しているため、現状では有人航空機と同様、「型式証明」の取得が必要になる。「現在、国土交通省で詳細を検討しており、その動向を注視している」(三菱重工の説明員)としている。
ここで国交省で詳細を検討しており、というのがまさに川崎重工がK-RACERの型式認証について国交省と進めているやつですね。会議議事録を見る限り、23年度内に制度整備目標となっているので、もうしばらくかかりそうです。
詳細は以下の記事をご参照下さい。

川崎重工はK-RACERを利用した山岳部での物資運送サービスを2026年に開始したい、としています。一方で現時点では三菱重工の方は特にそういった目標はまだ公開されていませんし、ドローンのみ他社に提供するのか、それとも自社でサービスを始めるのかも分かりません。ただ、日本を代表する重工2社がこういう無人機を開発している、というのは今後の無人航空機市場の拡大を予感させますね。

単発エンジンの超軽量ジェット機

 HondaJetなどが含まれる区分「超軽量ジェット機」は、大凡パイロットが1名、乗客が4-8名、最大離陸重量が10,000ポンド (4,540 kg)未満とされています。超軽量ジェット機はHondaJetのように、より大型のジェット機と同様に2つのエンジンを持つものがほとんどです。一方で、1つしかエンジンを持たない、単発エンジンのモデルもあります。今回はこちらをご紹介します。


米国のミネソタ州に拠点があるシーラス・エアクラフトが開発した単発エンジンのジェット機です。シーラス・エアクラフトは1984年にホームビルド機メーカーとして創業し、その後単発レシプロ機の販売を開始、ヒット航空機となります。そして、2016年10月28日にFAAよりVision SF50の型式証明を取得しました。
なお、2011年、シーラス・エアクラフトは中国の国営企業である中国航空工業集団公司(AVIC)に子会社の中航通用飛機を通じて買収されています。

主なスペック
  • 最大巡航速度:305 knot(564 km/h)
  • 失速速度: 67 kn (77 mph、124 km/h) (フラップあり)
  • 実用上昇限度:31,000 ft (9,400 m)
  • 最大巡航距離:1,275 nm(2,361 km) 
  • エンジン:ウィリアムズ・インターナショナル FJ33
  • 最大離陸重量: 16,000 ポンド (2,727 kg)
  • 有効最大搭載量:1,350 lb (612 kg)
  • 搭乗者:最大7名
  • 価格:$3.25M(約4億5千万円)
失速速度がジェット機としてはかなり遅いため、必要な滑走路距離がジェット機としては短い(離陸:496m、着陸:621m)ことも特徴です。また、トラブル時の対策として緊急着陸パラシュートを標準装備しています。
本モデルはHondaJetなどの従来型の2つエンジンを積んだ超軽量ジェット機と比較すると性能が低く、スペックはプロペラ機に近くはなります。しかし、価格も安いこと(HondaJetなどの約半額)、プロペラ機と操縦感覚が近いこともあり本分類の中ではかなりの販売台数があります。




現在ポーランドで開発が進んでいる、単発ジェット機です。まだ型式証明を取得してはいませんが、2019年に初飛行はしており、現在開発中となっています。こちらも形はVision SF50に似ていますが、より小型になっています。

主なスペック
  • 最大巡航速度:800 km/h (500 mph、430 kn)
  • 失速速度: 115 km/h (71 mph、62 kn)
  • 実用上昇限度:31,000 ft (9,400 m)
  • 最大巡航距離:3,500 km (2,200 マイル、1,900 海里)
  • エンジン:ウィリアムズ・インターナショナル FJ33
  • 最大離陸重量: 1,850 kg (4,079 ポンド)
  • 搭乗者:最大5名
  • 価格:$2M?(約2億8千万円)

まだ開発中の本機を販売が開始しているVision SF50と比較するのもなんですが、Vision SF50と比較すると最大離陸重量が約1t軽いが、速度と航続距離が非常に速く、長くなっている、という感じです。というか、速度も航続距離もHondaJetより性能が高いですからね。そして、予定通りであればVision SF50よりも安いと。HondaJetが3機購入できるくらいの価格ですね。失速速度が非常に遅いことも注目です。
繰り返しになりますが、こちらは開発中のモデルですので、開発が中止になるかもしれませんし、実際に販売されたとしても予定通りのスペックにならない可能性があります。ただ、夢がある飛行機です。


ということで、今回は単発エンジンの超軽量ジェット機をご紹介しました!

火曜日, 6月 27, 2023

航続距離が1,000km以上のヘリコプター

 ちょっと気になったので、航続距離が1,000km以上のヘリコプターをまとめてみます。航続距離1,000kmというのは東京都心部から小笠原諸島の父島までの距離になります。なお、対象は民間機(軍用機兼用を含む)としています。


先に感想を書いてしまうと、思いの外航続距離が1,000km以上のヘリコプターがありました。ただ、ヘリコプターなので速度は遅いですね。時速300km程度だと、本当に1,000km飛ぶ場合は少なくとも4時間程度はかかりますので、ヘリコプターでの長距離フライトは現実的ではないのかもしれません。軍用ヘリだと速度の早いのもありますが。
そういった意味では、オスプレイのようなチルトローター機や、現在開発が盛んに行われているeVTOLでベクトル推進、リフト&クルーズに分類されるタイプが長距離フライトも可能な垂直離着陸機としては優れているのかもしれません。バッテリーのみのeVTOLだと航続距離が短いので、ハイブリッド方式、燃料電池方式でないとダメですけどね。

  • 運用開始:2000年
  • 有効積載量:5.443t
  • 最大離陸重量:15.6t
  • 超過禁止速度:311km/h
  • 巡航速度:278km/h=M0.23
  • 乗員2名+乗客30
  • ホバリングIGE : 3307m
  • 航続距離 : 1370km
  • 生産開始:2002年
  • 有効積載量:?
  • 最大離陸重量:6,800 kg (14,991 lbs)
  • 超過禁止速度:310 km/h=M0.25 (167 kt)
  • 巡航速度:306 km/h=M0.25 (165 kt)
  • 乗員1-2名+乗客15名
  • 実用上昇限度 : 6,096 m (20,000 ft)
  • 航続距離 : 1,250 km (675 nmi)
  • 生産開始:2014年
  • 有効積載量:3,150 kg (1,543 lbs)
  • 最大離陸重量:7,500 kg (16,535 lbs)
  • 超過禁止速度:315 km/h=M0.26 (170 kts)
  • 巡航速度:278 km/h=M0.23 (150 kts)
  • 乗員2名+乗客16-18名
  • 実用上昇限度 : ?
  • 航続距離 : 1,260 km (680 nm)
  • 生産開始:?
  • 有効積載量:8,200 ポンド (3,700 kg)
  • 最大離陸重量:20,500 ポンド (9,300 kg)
  • 超過禁止速度:190 mph (306 km/h、165 kn)
  • 巡航速度:178 mph (287 km/h、155 kn)
  • 乗員1-2名+乗客16-20名
  • 実用上昇限度 : 20,000 フィート (6,100 m)
  • 航続距離 : 644 マイル (1,037 km、560 海里)
  • 運用開始:2004年
  • 有効積載量:?
  • 最大離陸重量:28,300 lb (12.8 t)
  • 超過禁止速度:165 knots=M0.25 (190 mph, 306 km/h)
  • 巡航速度:151 kt, 174 mph=M0.23 (280 km/h)
  • 乗員2名+乗客19-20名
  • 実用上昇限度 : 13,780 ft (4,200 m)
  • 航続距離 : 800 nmi (920 mi, 1,482 km) 
  • 運用開始:1983年
  • 有効積載量:20t
  • 最大離陸重量:56t
  • 超過禁止速度:295km/h
  • 巡航速度:?
  • 乗員5名+乗客80-150名
  • 実用上昇限度 : 4,600m
  • 航続距離 :1,952km
※旧ソ連で開発されたヘリコプターで、現在生産されているヘリコプターの中では最大

最後はヘリコプターではなく、開発中の民間向けチルトローター機です。こちらは実際に、小笠原空路に関する会議で候補にもなっています。ただ、重客数が9名と少ないんですよね。

  • 運用開始:開発中
  • 有効積載量:?
  • 最大離陸重量:7,620 kg (16,799 lb)
  • 最大巡航速度:509 km/h; 316 mph (275 kn)
  • 巡航速度:463 km/h (288 mph; 250 kn)
  • 乗客9名
  • 実用上昇限度 : 7,620 m (25,000 ft)
  • 航続距離 :1,852 km (1,151マイル ; 1,000 nmi)

水曜日, 6月 21, 2023

SkyDriveがeVTOLの仕様変更(2人乗り→3人乗り)や今後の計画を発表

SKYDRIVE社が今週月曜日に3つのプレスリリースを出しました。

この中で注目は2つ目と3つ目のプレスリリースです。

まず2つ目のプレスリリースですが、これまで操縦士を含め2人乗りとしていた搭乗員数を3人乗りに仕様を変更すると発表しました。この変更に伴い、サイズ感なども変わってきています。
変更前後のスペックの違いをまとめます。
  • 機体サイズ(全長×全幅×全高):9.4m×9.4m×2.7m→約13m×13m×3m
  • 最大搭乗人数:2名→3名
  • 燃料:バッテリー(電動)→変更なし
  • 駆動方式:12基のモーター・ローター→変更なし
  • 主要構造素材:複合材(CFRP)やアルミ合金など→変更なし
  • 最大離陸重量:1,100kg→1,400kg
  • 最大巡航速度:100km(対気速度)→変更なし
  • 航続距離:5-10km→約15km
エンドユーザーからの要望を受けて3人乗りにしたとのことですが、これはとても良い判断だと思います。eVTOLも当面操縦士が必要になる見込みの中で、2人乗りだと1人しか輸送できないわけですからね。やはり商業運用を考えると、乗客を2人は運びたいところです。
ただ、多少伸びたものの、eVTOLとして競合しそうなモデルと比較して半分程度しか航続距離がありません。そこは引き続きこのモデルの課題だと考えます。

ここで競合モデルの仕様を確認してみます。

  • 開発元:億航智能(EHang)※中国
  • 機体サイズ(全長×全幅×全高):不明
  • 最大搭乗人数:2名
  • 燃料:バッテリー(電動)
  • 駆動方式:16基のモーター・ロータ
  • 最大離陸重量:不明(ペイロード220kg)
  • 最大巡航速度:100km/h(最高速度は130km/h)
  • 航続距離:35 km(飛行時間21分)
  • 開発元:Volocopter ※ドイツ
  • 機体サイズ(全長×全幅×全高):11.3m×11.3m×2.5m
  • 最大搭乗人数:2名
  • 燃料:バッテリー(電動)
  • 駆動方式:18基のモーター・ロータ
  • 最大離陸重量:900 kg (ペイロード200kg)
  • 最大巡航速度:90km/h(最高速度は110km/h)
  • 航続距離:35-65 km
EH216は中国メーカー製なので型式証明がどうなるか不透明です。ただ、国が主導するeVTOL関連の有識者会議に開発元のEHangが参加している状況なので、そのうち普通に証明を取りそうです。EHangは欧州でも実証実験を行っているので、EASAから型式証明が出て、国交省がそれを追証する形になると予想しています。米国で取るのは今の米中関係を見ると難しそうですし。
VoloCityはSKYDRIVEと同じく2025年の万博で飛行する予定のeVTOLで、先に2024年のパリオリンピックでも飛行する予定です。eVTOLの中では最も早く型式証明を取得する可能性がありますね。

比べてみると、恐らくですが元々もSKYDRIVEが一番重いですね。重いというのはバッテリーを多く積んでいるのからかなとも思いますが、航続距離は最も短いということで、その辺りはよくわからないです。なお、全てのスペックは開発中のものなので、今後変わる可能性があります。

この2つ目のプレスリリースにはもう1つ注目すべき記載があり、それは以下の部分です。
当社の空飛ぶクルマ”SKYDRIVE”は、大阪・関西万博での運航に向けて、2025年に耐空証明を取得し、続いて、2026年に型式証明を取得し量産およびデリバリーの開始を目指します。
元々は2025年(万博開始前)までの型式証明取得を目指していたはずですが、それを諦めて2025年の万博で耐空証明のみで飛ばすという判断に切り替えたようです。型式証明というのは航空機のモデルに対する安全性の証明で、取得のハードルが非常に高いです。耐空証明は航空機それぞれに対する証明で、型式証明を取得しているモデルであれば、一部検査が不要になります。一方で型式証明を取得していないモデルの場合、1台づつ項目を証明(検査)していく必要があります。本来、商用航空機モデルは型式証明を取得するものですが、2025年の万博までに間に合わないと判断し、個々の検査は大変になるもののハードルが少し下がる耐空証明のみで万博は飛ばすという形ですね。

以前このブログでも以下の記事で万博に間に合わないのでは?ということを書きましたが、なるほど、こう来たか、という感じです。

ちょっと変なことを書きますが、日本は「航空の安全に関する相互承認協定(BASA)」を米国、欧州と締結しています。これは今はなき三菱重工の民間ジェット機MRJ輸出のために締結されたと言われていますが、片方が発行した航空機の型式証明をもう片方が受け入れる(認定プロセスを大幅に縮小する)という協定です。つまり、SKYDRIVEのeVTOLに対して国土交通省が型式認証を発行してしまうと、協定に基づき米国、欧州の認証機関がそれを受け入れる必要が出てきてしまうんですよね。そのため国土交通省も型式認証をおいそれと発行できません。
その点、耐空証明のみであれば、この協定外の話で済むので、影響範囲は小さくて済みます。流石に事故などがあると耐空証明を出した国交省側の責任問題にもなるので簡単には出すとは思いませんが、順調に行けば2025年の万博にギリギリ間に合うように耐空証明は出るのではないでしょうか。一方で2026年に型式証明、というのは難しいかもしれません。国交省側としてはイベントも終わったし、じっくりやろうよ、となりそうですよね。

さて、次に3つ目のプレスリリースです。

こちらはeVTOLをスズキの工場で作るよ、という発表になります。詳細はこれから詰めるとのことですし、実際に稼働するのは型式証明取得の目処が立ってからになりますので、2026年以降です。
スズキは元々SkyDriveに出資をしていましたが、お金を出すだけではなく製造や人材など、もっと深く関わるつもりのようです。実は似たようなことをすでにトヨタは米国eVTOLベンチャー大手であるJoby Aviationに対して実施しています。こちらの方が大規模な感じですが。
ホンダは自分たち自身でeVTOLを作ろうとしていますが、自分たちで作らないにせよ、各社eVTOL事業に関わろうとしていますね。eVTOLは国内では「空飛ぶ車」とも呼ばれています。実際には車とは全く異なる乗り物ですが、従来の航空機と自動車の間に位置する、従来の航空機よりも気軽に乗れる乗り物にはなりそうです。そういった意味で乗り物(モビリティ)の多様化に従来の枠に囚われずに関わっていこう、としているのかもしれません。

火曜日, 6月 20, 2023

ハイブリッド航空機開発のフランスベンチャー企業であるボルトエアロにカワサキモータースが出資

 ハイブリッド航空機開発を行ったいるフランスのベンチャー企業であるボルトエアロにカワサキモータースが出資したと報道されています。出資だけでなく、エンジンの提供も行っているようです。

ボルトエアロにカワサキモータースが出資 航空新聞社 2023.05.23

カワサキモータース、仏航空機新興に出資 エンジン供給 日経新聞 2023/6/19


開発している航空機は「Cassio」という名前で、Cassio 330、Cassio 480、Cassio 600の3タイプがあります。Cassio 330は現在開催中のパリ航空ショーに展示されており、2023年末にプロトタイプである1号機が飛行、2024 年の第 2 四半期に耐空証明プログラムに利用するの2号機が飛行予定とのことです。2025年初頭には納品開始予定、という報道もありますが、もう少しかかりそうですね。

VoltAero defines the future of sustainable aviation with its Paris Air Show world debut of the Cassio 330 electric-hybrid aircraft June 18, 2023


Cassio 330は5人乗り、Cassio 600でも9人乗りで航続距離は1,200kmを予定しており、既存の航空機で言うと小型プロペラ機といったところでしょうか。eVTOLのような垂直離着陸機ではなく、離着陸には600m程度の滑走路が必要となります。

先日、HondaJet 2600の製品化が決定という記事の中で、ホンダも航続距離400kmのeVTOLと2,000km以上のビジネスジェットの間としてeVTOL(ホンダの場合はシリーズハイブリッドの予定)を拡張した航続距離1,000km−1,500kmの航空機を作っては?と書いたのですが、このCassioがまさにそれですね。素人が考えることはとっくに検討、開発が進んでいたようです😁


今回資金提供&エンジン提供を行っているのが川崎重工の航空宇宙システムカンパニーではなく、カワサキモータースである、というところも注目です。川崎重工の無人ヘリK-RACERは飛び立てるのか?の記事でも少し触れたのですが、二輪事業などをメインに行なっているカワサキモータースは無人固定翼航空機の実用化構想を持っています。そして、そのエンジンには「Ninja H2R」のエンジンを改造したものを利用する想定です。

こちらの無人固定翼機用のエンジンは2025-26年にエンジンの型式証明取得のための開発を開始し、2030年頃の取得を目指す、という報道がされていました。無人固定翼機向けのエンジンは報道によると直列6気筒で、レシプロエンジンとして利用する想定と思われます。一方でCassio 330向けのエンジンは直列4気筒と記載があり、更にハイブリッド航空機として発電に利用すると思われます。そのため、エンジンは別物のようです。Cassioも2024年から型式証明の認定プロセスに入るということはエンジンも合わせて型式証明取得を進めるはずなので、このあたりはエンジン提供元のカワサキモータースも必ず関わってくると考えられます。どういった体制で進めるのでしょうか?気になることです。

型式証明はなかなか思い通りに進まないものですが、もし仮にCassio330の型式証明取得が順調に進み2025年頃に取得でき、更にカワサキモータース側も型式証明に関わることができると、2025年にはカワサキモータースも航空機エンジンの型式証明取得の経験を持つことができることになります。そうなってくると、前述の2025年頃からを計画している無人固定翼機構想のエンジンの型式証明取得がスムーズに進みそうです。そのあたりを狙っての出資な気もしますね。もちろん、これまでの事業で培ってきたエンジン技術の活用、という一面もあると思います。Cassioでも水素エンジン利用も検討しているようですし。


eVTOLだけでなく、ハイブリッドを含め航空機の電動化、水素エンジン開発など、まだまだ先の長い話ではありますが、航空機に関して面白そうなものが色々と出てきました。今後も継続して注目して行きたいと思います。

土曜日, 6月 17, 2023

航空業界の2050年までに二酸化炭素排出を実質ゼロにする目標

航空業界は2050年までに二酸化炭素排出を実質ゼロにすることで、合意しています。 

第41回国際民間航空機関(ICAO)総会の開催結果について 国土交通省 令和4年10月11日

9月27日~10月7日に、国際民間航空機関(ICAO)総会が開催され、国際航空分野における脱炭素化の長期目標として、「2050年までのカーボンニュートラル」を目指すこととする長期目標が採択されるとともに、航空安全、航空保安、航空管制などの分野における次期3か年の活動方針・計画等が承認されました。また、日本が理事国に再選されました。
自動車業界も色々と目標を立てていますが、航空業界も挑戦的な目標を立てていますね。航空輸送は世界の二酸化炭素排出量の約2.5%を占めているということで、段階的な二酸化炭素排出削減の目標が設定されています。

ただ、自動車などと異なり大型ジェット機の電動化は難しそうですよね?そこは考慮されており、2050年時点でSAFの利用が65%、電動化・水素が13%という想定となっています。


自動車の方は、今年の4月に欧州での2035年ガソリン車廃止がe-fuelであればOKに方針が変わったと話題になりました。ただ、このe-fuelにはSAF(バイオ燃料)は含まれていません。まあ、SAFを積極的に利用しようという航空業界ですら、今のところ全く足りない状況ですからね。航空機燃料向けにSAFの開発競争も進んでいます。

上記の世界経済フォーラムの記事を読むと、現在フライトによる二酸化炭素排出の半分を占めている2,500海里未満のフライトは全て電動、もしくは水素燃料に置き換えることが可能と考えられている、との記載があります。2,500海里は約4,630kmです。日本国内便の最長路線は新千歳空港と那覇空港を結ぶ線の約2,587kmなので、国内線は全て電動、もしくは水素燃料の航空機に置き換わっていく、ということになりますね。

電動航空機ですが、例えば現在イスラエルの企業が開発するアリスが9人乗りで航続距離400kmとなっています。

航続距離はまだ短いですし小型ですが、将来的にはもう少し大きく、そして航続距離も伸びると考えられます。小型で航続距離が1,000km〜1,500kmくらいの航空機はそう遠くないうちに電動化が進むのかもしれません。まだ先ですが、500kmくらいまではこれまた電動のeVTOLの活用となりそうですし、比較的短距離移動用の航空機はBEVになるのかもしれません。

水素燃料の航空機については自動車と同じように、水素を燃料電池として利用してモーターでプロペラを回すパターンと、水素エンジン(ガスタービン)を利用するパターンがあります。自動車の方はトヨタが中心に取り組んではいるものの水素エンジンはまだこれからで、燃料電池車のほうが進んでいる気がしますね。ただ、航空機の場合は現在の大型ジェット機と考えると、水素エンジンが完成しないと置き換えは難しそうです。

水素を利用した旅客機については、エアバスが2020年にコンセプトを発表しています。

コンセプトの発表ではありますが、2035年の実用化を目指すとしています。なんとなくですが、水素エンジンについては自動車よりも航空機のほうが2030年、40年代に進みそうな気がしますよね。自動車はもうBEVと燃料電池車で良いじゃない、となりそう。

先日、HondaJet 2600について本ブログで取り上げました。

ホンダもSAFに取り組んでいる企業です。実際、HondaJetでのSAFの試験なども実施しています。

SAFも良いのですが、ぜひ航空機向けの水素エンジンにもチャレンジして欲しいでところですね。二輪向けには水素エンジンのコンソーシアムを立ち上げたようなので、ぜひ航空機にも応用して欲しいと思います。川崎重工といい、二輪向けエンジンを小型航空機にに転用しよう!というのは結構やれそうなので。

色々書きましたが、水素を活用した航空機の登場は2030年代になるかな、と思っています。まずは2020年代にeVTOLをはじめとする小型電動航空機がどこまで実用化されるのか、に注目ですね。

金曜日, 6月 16, 2023

大阪シティバスがEVモーターズ・ジャパンのEVバス100台を導入すると発表

 大阪シティバスはEVモーターズ・ジャパンのEVバスを導入すると発表しました。 大阪シティバスは大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)の子会社です。

大阪市高速電気軌道株式会社様へEVバスを100台 納車いたします EV モーターズ・ジャパン 2023.06.15

大阪・関西万博で活躍するEVバスのデザインを決定しました 大阪シティバス 2023年6月15日


元々、大阪シティバスは2025年の万博に向けて100台のEVバスを導入すると発表していました。

EVバス100台を導入し、エネルギー効率化を目指した運行管理システムを開発 万博輸送及び市内での運行に活用します 大阪シティバス 2022年7月20日

今回のEVモーターズ・ジャパン側のプレスリリースでは100台となっているので、数字があっています。ただ、大阪シティバス側のプレスリリースだと、150台(150台のうち100台については、グリーンイノベーション(GI)基金事業の一環として〜)となっているんですよね。今回の契約とは別で更に50台を調達するのかもしれません。


EVモーターズ・ジャパンは北九州に拠点を持つ、EVバス、トラックを開発・販売するファブレス企業(企画・開発・設計だけ行い、工場は持たずに生産を他社に任せるメーカー)です。独自のアクティブ・インバーターにより、バッテリーの電力コントロールを行い、省電力化、バッテリーの長寿命化を行っている、というのを売りにしています。EV自動車のリーダーであるテスラもこのあたりのバッテリー管理技術に注力しているので、EV自動車はバッテリーも大事ですが、バッテリーをどう使うか、もかなり重要なんでしょうね。

バスの生産は現在中国の「威馳騰汽車(Wisdom Motor)」が行っているそうですが、今年(23年)北九州で組み立て工場を稼働させる予定です。


自分は子供の頃、バスに結構乗っていたのですが、あのディーゼル車独自のアイドリング時の揺れがとても苦手だったんですよね。ということで、早くすべてのバスがEVバスになって欲しい、と思っている派です。流石に高速バスや高速道路を走るような観光バスはなかなか難しいとは思いますが、路線バスなどは予定が見えるので、EVバスに移行しやすいと思うんですよね。

燃料電池のEVバスも良いとは思いますが、現在非常に高額(1台1億円程度)なのと、各所に水素ステーションを配備する必要があるため、現在の路線バスを置き換えるのは、なかなか難しいのではないかと考えています。そうなるとEVバスなのですが、現在EVバスは中国メーカーのBYDが最もシェアを持ち、その後に同じく中国のアルファバスが続いています。既存のディーゼルバスをEVバスに改造する取り組みも進んでいるようですが、やはり航続距離が100km程度と短いため、正直言うほどよいものではない、と考えています。そうなってくると(ファブレス企業ではありますが)現在唯一の国産EVバスメーカーであるEVモーターズ・ジャパンには頑張って貰いたいですし、今回の大型契約の獲得は弾みになったのではないんか、と思うところです。

まあ、万博で走らせるバスが全て中国メーカー製だとカッコがつかないですからね。結局生産は中国なのですが。

ちなみに現在の主要国内バスメーカーは以下の3社があります。

  • いすゞ自動車
  • 日野自動車
  • 三菱ふそうトラック・バス

この内、いすゞ自動車と日野自動車が2003年にバス車体製造子会社として「ジェイ・バス」を設立しています。また、いすゞ自動車と日野自動車とトヨタ自動車は2024年度にEVバスの生産を始めると発表しています。という状況でしたが、ここで日野自動車と三菱ふそうトラック・バスが2024年に経営統合を行うことで合意しています。国内バス・トラック業界はどうなって行くのでしょうか。。。


ということで、大阪では今後EVモーターズ・ジャパン製のEVバスが多く走ることになりそうです。最初の納品は来月予定しているらしいので、楽しみですね。

水曜日, 6月 14, 2023

HondaJet 2600の製品化が決定

 本田技研工業、及びその子会社であるホンダ エアクラフト カンパニーは2021年に発表したHondaJet 2600 Conceptを製品化することを発表しました。

新型小型ビジネスジェット機の製品化を決定 本田技研工業 2023年06月14日

Honda Aircraft Company Announces Plan to Commercialize New Light Jet Honda Aircraft Company Jun 13, 2023

ちなみに、2021年のニュースリリースはこちらです。

「NBAA 2021」に小型ビジネスジェットコンセプト機 「HondaJet 2600 Concept」を参考展示 本田技研工業 2021年10月13日


HondaJet 2600は既に世界中の空を飛んでいる超軽量ビジネスジェットHondaJetを大型化し、乗員合わせて最大11名乗り、最大航続距離を2,625ノーティカルマイル(約4,862km)まで拡大した軽量ビジネスジェットです。2028年頃のアメリカ連邦航空局(FAA)の型式証明取得を目指し、現在は設計の最終段階で(恐らくテスト機の)製造が開始されたところ、とのことです。

HondaJet 2600の2600は2600ノーティカルマイルのことで、この距離を乗員含め5名載せた状態で飛行できるということです。この距離が飛べると、アメリカ大陸横断できるそうです。

楽しみですね!

1つ気になったのが、今回エンジンが「Williams FJ44-4C」ということで、軽量ビジネスジェット向けによく使われている他社製エンジンを利用すると発表していることです。HondaJetは航空業界では珍しく、自社開発のエンジンを利用しています。エンジンのホンダ、と呼ばれるくらいなのでHondaJet 2600でも拘るのかと思っていましたが、ここはあっさり実績のある他社製品を利用する判断をしてきましたね。

確かに、航空機はエンジンについても型式証明を取得する必要があるので新たに自社開発するとコストと時間がかかりますし、技術としても革新的なものはなかなか難しいと思うので、この判断はありかな、と思います。それにホンダ自体、現在はeVTOLや小型ロケットなど、新規にエンジン開発が必要なものたちにも並行してプロジェクトを進めていますので、注力するところにメリハリを付ける、という意味でも正しい判断なのかもしれません。また、もしかするとですが初期出荷時は他社エンジンだけれど、今後マイナーバージョンアップを続けていく間に自社開発のエンジンに変更する、といった可能性もありますよね。サイズが全く違いますが、確かボーイングなどもエンジンを選ぶことができるようになっていたと思いますので、そういうのもありかもしれません。(ボーイングの方は航空会社のメンテナンス性を考慮した仕組みだと思いますが。)

ここで、HondaJetの歴史を振り返ってみます。

「HondaJetの歩みより」抜粋しています。

2006年 HondaJetで航空機市場への参入計画を発表
     HondaJetの受注を米国で開始
2007年 エンジンの性能テスト開始
2008年 HondaJetの受注をカナダ、メキシコ、欧州で開始
2010年 量産型初号機初飛行
2011年 量産型3号機飛行試験開始
2012年 量産型4号機飛行試験開始
     量産1号機の生産を開始
2013年 FAAより型式検査承認(TIA)を取得
     FAAからのHF120(エンジン)の型式認定を取得
2014年 量産1号機が初飛行
2015年 FAAより型式証明を取得
     HondaJetの引渡しを開始

HondaJetのときは発表後すぐに受注を開始しています。そして、最終的に型式証明を取得するまで9年かかっています。

今回のHondaJet 2600も受注開始はすぐにでも発表されそうですね。そして、今回はエンジンの開発や型式証明の取得はありませんし、製造・整備運用環境の準備はHondaJetのラインに増やすだけなので、5年でいけるとの判断でしょうか。ホンダはeVTOLも2025年に事業化判断を行い、事業化する場合は5年後の2030年に型式証明を取得する、としています。5年で型式証明を取れる、という自信があるんでしょうね。


HondaJet 2600は、既存のHondaJetよりも多くのものを遠くまで運ぶことができます。HondaJetも魅力的な航空機ですが、ビジネスジェットの中でも最も小さいカテゴリなので、用途が限られてしまします。その点HondaJet 2600は色々と広がりが出そうなので、楽しみです。

ホンダも巨大企業ではありますが、航空機メーカーとしては1モデルしか出していません。やはり複数のラインナップを出していくことが、航空機メーカーとしての地位確立には欠かせません。既存のHondaJet、今回のHondaJet 2600、そして(まだ正式に事業化するかは決まっていませんが)eVTOLはラインナップとして見えてきました。後はビジネスジェットを更に大型化するのもありだし、やって欲しいところではあるのですが、強力なライバルが多いんですよね。ということで、個人的には開発するeVTOLをベースに航続距離を1,000km−1,500kmに伸ばした航空機(垂直離着陸機でなくてもよく、将来的には無人化)などがeVTOLとHondaJetの間のラインナップとして良いのではないかと思います。国内にはジェット機だと離発着できない空港も多いので、そういった小さい空港を活用するにも、電動化したプロペラ機(eVTOLベースだと少し違いますが)を物流やちょっとした人の移動に利用するのが良いのでは?と考えています。海外でも需要がある気がしますし。


ホンダはeVTOL、小型ロケットなど、まだ先の長い話ではあるけれど楽しみなプロジェクト複数がありますが、ここに新たにHondaJet 2600が加わりましたね!

火曜日, 6月 13, 2023

川崎重工が無人航空機の災害時活用のテストを開始

 川崎重工が和歌山県の南紀白浜空港を拠点に災害時の被害確認などのテストを目的に、無人航空機の飛行試験を11月から開始するとの報道がありました。

無人航空機の災害活用へ実験 南紀白浜空港と川崎重工 日本経済新聞 2023年6月12日

11月から月4回程度のペースで平日の昼間に約4時間飛行させ、4年間はテストを行うとのことです。このあたりは南海トラフ地震が発生するとされており、更に南紀白浜空港は標高が約90mもあり津波などによる浸水リスクがほぼないということで、確かに拠点にするならここだ!という感じですね。


で、気になる無人航空機のモデルについてはイメージ画像と「縦10メートル、横16メートル」というサイズ感の情報しかありません。画像とサイズ感を見ると、イスラエルのIAIが開発したヘロンではないかと思うのですが、どうでしょうか?

ヘロンのスペックは以下のとおりです。(Wikipediaより引用)

  • 全長:8.5m
  • 全幅:16.6m
  • 最大離陸重量:1,250kg
  • エンジン:ロータックス914 レシプロエンジン(115馬力)×1
  • 最大速度:222km/h
  • 運用高度:9,144m+
  • 航続時間:40時間+
  • ペイロード:250kg

サイズ感もほぼ同じですし、外見もそっくりです。

ちなみに、航空自衛隊が導入したRQ-4B グローバルホークは全長:13.52m、全幅:35.42m、海上保安庁が導入したRA MQ-9B シーガーディアンは全長:11m、全幅:20mと今回報道されている無人航空機のサイズよりも大きくなっています。

自衛隊に配備されている無人航空機のスペック

イスラエル製のヘロンはアメリカ製のグローバルホーク、シーガーディアンと比較すると安価で、性能も悪くないということでドイツ、カナダ、インド、韓国など様々な国で導入されている偵察用無人航空機です。今回は災害対応という名目ではありますが、偵察用の無人航空機はたくさん飛ばしてなんぼ、なところもありますので、今後の自衛隊、海上保安庁への導入に向けたファーストステップ、という位置づけかもしれませんね。


ただ、川崎重工には自社開発の無人航空機も頑張って貰いたいですよね。哨戒機や早期警戒機がなくなるわけではないとは思うものの、段々と無人機に役割の比重が移っていきそうです。そうなったときに無人航空機は全て外国製です、というのは悲しいですし、安全保障上の問題になります。陸上自衛隊に配備されているスキャンイーグルと同様のものは恐らくすでにフジ・インバック社が頑張ってそうですし、更には東南アジアに進出しようとしています。

防衛省に納入した「無人機」、フジ・インバックが東南アジアに拡販 日刊工業新聞 2023年6月10日

川崎重工や三菱重工、SUBARUなどの既存の防衛用航空機産業を担っている各社には、より大型の無人航空機に取り組んで頂ければと思います。無人戦闘機のテスト機は作ってましたけどね。

金曜日, 6月 09, 2023

ドローン型式認証申請・取得状況(2023年6月時点)

 先日、ドローンのレベル3、レベル4の飛行について纏めました。

無人航空機(ドローン)のレベル3、レベル4飛行について

これらの飛行を行うドローン機種にはレベルに応じて第一種型式認証、第二種型式認証を取得する必要がありますが、その取得状況について纏めておきます。

なお、拾い漏れの情報がある可能性はありますので、その旨ご了承下さい。

【第一種型式認証】

ACSL式PF2-CAT3型

  • 概要:目視外・補助者なし貨物輸送用小型ドローン(レベル4飛行用)
  • 型式認証取得日:2023年3月13日
  • 製造元:ACSL
  • 動力:バッテリー(電力)
  • 最大離陸重量:9.8kg
  • 最大ペイロード重量:1.0kg
  • 最大航続距離:不明
  • 最大航続時間:20分(最低離陸重量時)/17.5分(最大離陸重量時)
  • 最高速度:10m/s(36km/h)
  • ホバリング限界高度:不明
  • 補助安全装置:日本化薬社製パラシュート搭載
  • 価格:不明

イームズ式E600-100型 ※開発中

  • 概要:目視外・補助者なし貨物輸送用ドローン(レベル4飛行用)
  • 型式認証取得日:申請中
  • 製造元:イームズロボティクス
  • 動力:バッテリー(電力)
  • 最大離陸重量:24.9kg
  • 最大ペイロード重量:5.0kg
  • 最大航続距離:不明
  • 最大航続時間:20分(最大離陸重量時)
  • 最高速度:15m/s(54km/h)
  • ホバリング限界高度:150m
  • 補助安全装置:不明
  • 価格:不明(開発中)

【第二種型式認証】

  • 概要:目視外・補助者なし貨物輸送用ドローン(レベル3飛行用)
  • 型式認証取得日:申請中
  • 製造元:イームズロボティクス
  • 動力:バッテリー(電力)
  • 最大離陸重量:24.9kg?
  • 最大ペイロード重量:10kg
  • 最大航続距離:不明
  • 最大航続時間:17分
  • 最高速度:約80km/h
  • ホバリング限界高度:150m
  • 補助安全装置:不明
  • 価格:不明(開発中)
  • ※スペックはベースとなっているE6150MPのものを記載

Airpeak S1 ※型式認証申請中
  • 概要:目視外・空撮用ドローン(レベル3飛行用)
  • 型式認証取得日:申請中
  • 製造元:SONY
  • 動力:バッテリー(電力)
  • 最大離陸重量:7.5kg
  • 最大ペイロード重量:約2.5kg
  • 最大航続距離:15km
  • 最大航続時間:約30分(ペイロード無し時)/約17分(最大ペイロード時)
  • 最高速度:25m/s(90km/h)※ペイロード無し、障害物ブレーキ無効時
  • ホバリング限界高度:不明
  • 補助安全装置:不明
  • 価格:110万円 ※現行価格(型式認証取得後、変更の可能性あり)