最近、川崎重工の無人ヘリK-RACERを本ブログで何度か取り上げましたが、三菱重工のドローンに関する記事が出ていました。
三菱重工が型式認証を視野に入れたドローンを開発!超大型機も登場か ドローンジャーナル 2023年6月7日
副題が「民間航空機関連事業で培った安全性・品質保証の知見を応用」というのがなんともですね。
国内重工メーカーでは川崎重工が無人ヘリのK-RACER、IHIは大型ドローンのi-Gryphonとそれぞれヘリコプター、マルチコプタータイプの無人航空機を開発中ですが、3大重工メーカーの中でも最大手の三菱重工でも、ドローン開発が進んでいるようです。
記事内には2つのドローンが登場します。
1つ目は、シングルローター型のドローン(ヘリコプタータイプ)で、これは国内ドローンベンチャーのプロドローンと共同開発しているやつですね。駆動はエンジンとバッテリーの2つを選択可能です。なお、プロドローンだとPDH-GS120という製品名になります。このモデルは最大離陸重量は30kgと小型ですが、エンジン駆動の場合、最大速度90km/h、巡航速度60km/hで2時間飛行できるので、恐らく航続距離は100km程度となかなかのスペックのものです。ヤマハ発動機の大型無人ヘリであるFAZER R G2と比較するとペイロードはもちろん敵いませんが、速度と(恐らく)航続距離は勝っているので少量の荷物の輸送、記事にあるような点検、監視業務などはこちらの方がメリットがありそうです。(小型な分、燃料も少なくて済みますし。)
ちなみに、この無人ヘリは今年の3月に開催された「DSEI Japan」で三菱重工が展示していた無人艦船を母艦にした無人ヘリによく似ており、バッテリータイプのモデルが展示されていました。やはり艦船上だと安全性の問題からガソリンの利用は難しいのかもしれません。全て無人化しようとしているので、燃料補給の自動化も課題になりそうですし。
三菱重工が沿岸監視の無人母艦、無人航空機/潜水艇を搭載 日経クロステック/日経エレクトロニクス 2023.03.28
次に、記事内に登場する2つ目のドローンは大型のドローンです。スペックの詳細は書かれていないのですが、最大積載量200kgでモーターとエンジンを組み合わせたハイブリッドタイプの場合、航続時間は約2時間だそうです。川崎重工の無人ヘリK-RACERとスペックが近く、最大離陸重量150kg以上となるのでドローンの枠組みからは外れます。
3トントラックに載せることができるとのことで、これも4トントラックに載せることができるK-RACERと似ています。ただ、スタンスですが、記事内に以下のコメントがあります。
この機体は、ドローンでなく無操縦者航空機として開発されており、航空機と同じ区分になる。ドローンであればレベル4飛行の運用を目指すため、「型式認証」を取得するところだが、無操縦者航空機は有人航空機が取得する「型式証明」の取得が必要となる。ドローンの型式認証に比べ、民間旅客機等が取得する型式証明は、アメリカ連邦航空局(FAA)や欧州航空安全機関・欧州航空安全庁(EASA)の世界的な基準に準拠する必要があり、ハードルが高く、多くのノウハウも必要とされる。
同事業部の間畠 真嗣 氏は「このようなタイプの機体は新しいため、現時点では証明取得に高いハードルが待ち構えていると思いますが、今後も同じような機体が登場すると予測されていますので、世界的な基準の動向を見つつ、社会実装の機会を探っていきます。都市部での利用は証明取得のハードルが高いため、まずは人の少ない山間部や海上から運用を始め、実績を重ねながら発展できればと考えています」と語った。
ということで、型式認証取得については様子見のようです。国交省などに積極的に動くようアプローチをしている川崎重工と比べると、かなり消極的なコメントにも聞こえますが、まあK-RACER側の型式認証が進んだら2番手として流れに乗ってくる気がしますね。記事内にある「民間航空機開発で培った安全性・品質保証・認証取得のノウハウを応用し〜」ということで、実際航空機開発メンバーが多数所属しているのであれば、三菱重工こそ積極的に開発を進めれば良いのに、という気もします。まあ一度痛い目を見ているので、仕方がない部分もあるのかもしれません。
ということで、まだ詳細は分かりませんが、K-RACERのライバルがすでに国内にいることが分かりました。どちらも開発中の機体であり、実際に世の中に出てくるかは分かりませんが、あと2-3年後もすると少なくとも近しいものは社会実装されていくと思うので、楽しみにしています!
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