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月曜日, 9月 29, 2025

ITインフラSIビジネスの行方と主要5社の戦略

 日本のITインフラ市場はクラウド移行と生成AIへのシフトが加速し、従来のハードウェア構築/運用を請け負う「人月型SI」からハイブリッドIT・マネージドサービス・AI運用のサブスクリプションビジネスへ急速に変化しています。IDC Japanは、国内ITサービス市場が2024年に7兆2千億円規模に達し、2024〜2029年の年平均成長率は6.6%と予測しています。特にクラウド移行やAI活用を伴うプロジェクト型市場が牽引役となり、公共・金融・製造・流通などでモダナイゼーションが進む。この潮流の中で、国内大手SIerはどのような戦略を描き、いつ何が起きるのか――最新の発表や各社の発言を基に予想と共に整理します。

全体トレンド:クラウド×ソブリン×AIが軸

  • ソブリンクラウドの登場:2024年以降、日本政府の経済安全保障やISMAP/FISC等の規制に対応した「ソブリンクラウド」が各社から発表。日本オラクルによると、Oracle Alloyを使ったソブリンクラウドサービスは2026年度から日本企業が本格的に提供し始めると宣言。既に富士通と野村総研は稼働中で、NTTデータも2025年12月開始予定。

  • 運用の自動化とAIエージェント:AI/生成AIを活用した業務自動化が急進。日立は品質保証業務にAIエージェントを適用し、問い合わせ対応時間を9割削減し、2026年度までに事業所全体へ展開する予定と発表した。NECは大規模日本語LLM「cotomi」に128Kトークン対応やAIエージェント連携を加え、業務特化のAIエージェント市場を拓いている。

  • 人材構造の変化:インフラ構築要員は減少し、クラウド運用・FinOps・SecOpsなどの専門家やAIコンサルタントの需要が増大。各社とも生成AIセンターやコンサルティング組織を拡充しており、従来の下請け人月モデルから脱却しつつある。

主要SIer5社の戦略とタイムライン

富士通

富士通はUvanceの「Hybrid IT」領域で、Oracle Alloyを活用したソブリンクラウドを提供します。2024年4月にオラクルと協業を発表し、データや運用の主権を保持したクラウド環境を自社データセンターから提供する計画を明らかにしました。サービスは2025年4月に提供を開始し、6月末には第2リージョンを稼働させて東西のディザスタリカバリーが可能になりました。特徴は運用権限・データ・法的・セキュリティの四つの主権を確保し、アップデートやパッチのタイミングを富士通自身がコントロールできる点。

今後の予想タイムライン

年度予想される動き
2025年度東西リージョンの本格運用開始。政府・金融・医療案件でソブリンクラウドの採用が始まり、運用人員はデータ主権対応やFinOps人材中心に再構成。
2026年度日本オラクルのJOC (Japan Operation Center) 稼働に伴い、ソブリンクラウドのエコシステムが拡大し、富士通は業種別アプリと組み合わせた「Sovereign AI」サービスを投入すると予想。
2027〜2029年NRIやNTTデータと連携したマルチクラウド統合サービスが一般化。富士通は国産量子コンピュータ棟の建設(2026年度竣工予定)を足掛かりに、量子+AI時代のインフラを整備し、国内外展開を目指す。

NEC

NECは既存の社会ソリューション事業と組み合わせて業務特化型AIエージェントを強化しています。2024年から商用提供している日本語LLM「cotomi」は2025年7月に128Kトークンへの対応やModel Context Protocol準拠を実現し、AIエージェント連携機能を拡充l。cotomiは法律・製造・公共分野などで活用され、ERPやCRMなど他システム連携も進める計画です。

今後の予想タイムライン

年度予想される動き
2025年度cotomiの128Kトークン版を既存顧客にロールアウトし、MCP対応によりBoxやERP/CRMと連携したAIエージェント活用を推進。公共分野向けの軽量LLMを地方自治体へ導入。
2026年度AIエージェントのツール連携基盤を商用化し、多数のマルチエージェントが協調して業務を自動化するサービスを展開。規制対応やセキュリティ監査機能を強化。
2027〜2029年業種特化AIプラットフォームを海外の社会インフラ事業と連携し、国内では医療・交通などのミッションクリティカル領域への適用を拡大。人間とAIの協働を促進するコンサルティング事業が主軸となる。

NTTデータ

NTTデータは「OpenCanvas」ブランドでマルチクラウド運用+ソブリンクラウド設計を進めています。2024年10月、Oracle Alloyを採用したソブリンクラウドを国内東西リージョンで提供する計画を発表し、東日本リージョンは2025年12月、西日本リージョンは2027年3月稼働予定と明らかにしました。Googleとの提携にも積極的で、2025年7月にはGoogle Distributed Cloud Air Gap(ネットワークから完全に隔離可能なクラウド)を日本国内で提供し、データ主権を保証する高セキュリティ環境を整備しています。さらに2025年8月にはGoogleとのグローバル戦略提携を発表し、50以上の業種別AI/クラウドソリューションと5,000人規模のGoogleクラウド技術者育成を計画しています。

今後の予想タイムライン

年度予想される動き
2025年度Oracle Alloy基盤の東日本リージョン稼働(12月)、Google Distributed Cloud Air Gap提供開始。国内公共・金融機関向けの試験導入が進む。
2026年度Oracle Alloyによるソブリンクラウドサービスが日本全体で本格稼働し、JOCを介してパートナー支援が強化される。複数のAIエージェントを使ったFinOps/SecOps自動化ツールが発売される。
2027年度西日本リージョンの稼働により、国内全域のソブリンクラウド需要を取り込む。複数の海外拠点への展開と、現地規制に対応したソブリン環境の輸出を開始。
2028〜2030年1000億円規模のソブリンクラウド事業を達成することを目指し、AI×クラウド運用の標準型サービスをパッケージ化して海外の公共・医療案件に提案。

日立

日立はOT×IT融合のLumada事業を軸に、AIエージェントやデジタルツインを現場の安全性・品質保証に活用しています。2025年2月に日立製作所と日立システムズなど3社のデータセンター事業を統合し、Generative AI時代に対応した統合運営本部を設置すると発表。同年6月には大みか事業所で品質保証業務にAIエージェントを適用し、問い合わせ対応時間を約9割削減できることを実証しました。成果を踏まえ、2026年度には鉄道だけでなく電力・上下水道など事業所全体への適用を目標としています。また、同年7月には作業現場の安全性を高める次世代AIエージェント「Frontline Coordinator – Naivy」を発表し、NVIDIAのデジタルツイン技術と連携させる予定です。

今後の予想タイムライン

年度予想される動き
2025年度データセンター事業統合完了。AIエージェントによる品質保証や現場安全支援ソリューションを発売。AIアンバサダー制度を通じて社内に1000件超の生成AI活用事例を展開。
2026年度大みか事業所全体の品質保証業務へAIエージェントを展開。現場安全AIとNVIDIA Omniverse連携ソリューションを各工場・エネルギープラントへ拡販。
2027〜2029年Lumada×AI×デジタルツインにより、鉄道・エネルギー・水道など社会インフラ全体で自律運用を支援するプラットフォームを構築。グローバル市場への横展開を図る。

SCSK

SCSKは基幹系システムの運用・更改を得意とする「堅実型」SIerとして、ハイブリッドメインフレーム+クラウド生成AI導入支援の二軸を強化しています。2025年12月にはIBMの最新メインフレーム「IBM z17」を導入し、既存のz16と合わせてMF+(Mainframe Plus)ホスティングサービスとして提供開始する予定です。このサービスでは、SCSKがメインフレームを共有で提供し、運用を引き受けることで顧客の管理負荷を軽減しつつ、z17のAI機能を活用してレガシーシステムとAI活用を両立させます。また、AWS上にAIエージェント環境を短期構築する「InfoWeave AIエージェント構築ソリューション」を提供し、ブラウザ操作自動化や複数AIの協調によりデータ収集・分析・レポート生成を自動化できることを強調しています。

今後の予想タイムライン

年度予想される動き
2025年度IBM z17を導入したMF+ホスティングサービスを開始し、金融・公共・製造のレガシーシステム更改を支援。InfoWeaveによるAIエージェント導入案件が増加し、数日で稼働開始できるノーコード型テンプレートが強み。
2026年度MF+を用いたハイブリッドクラウド環境とNebulaShift(クラウドネイティブ変革支援)を組み合わせ、既存メインフレーム資産のモダナイゼーションを本格化。金融機関で生成AIを活用したバックオフィス自動化サービスを展開。
2027〜2029年基幹系+クラウド+AIエージェントを統合するマルチクラウド管理サービスを構築。堅実な保守運用にAIによる予兆監視やFinOps機能を加え、顧客ごとのプライベートメインフレーム+クラウド運用をサブスクリプションで提供する。

今後の国内ITインフラビジネスの姿

  • 従来型SIの縮小と役割転換:クラウド&AI時代において、サーバ設計やケーブリングのような従来のインフラSI作業は減少し、インフラSIという形は消えていく。しかしデータ主権・ガバナンス・セキュリティを担保しながらマルチクラウド運用やAI導入を支える**ガイド役(クラウドMSP/AIエージェントチューニング事業者)**として進化することが求められる。

  • ソブリン需要の拡大:2026年度にはOracle Alloyを使ったソブリンクラウドが複数社から提供開始予定。公共・医療・金融のデジタル庁案件や自治体標準システム更新で採用が進み、海外クラウドとの棲み分けが明確化する。国内ベンダーは自社データセンター×運用主権を武器に差別化する必要がある。

  • AIエージェント市場の元年:NECのcotomiや日立の現場AI、SCSKのInfoWeaveなど、2025〜2026年に業務特化AIエージェントが相次ぎ商用化される。生成AIを複数組み合わせ、ブラウザ操作やコード生成まで自律的に実行するマルチエージェント環境が普及し、人月型運用は大きく変わる。IDCや各社発表を踏まえると、2026年は「AIエージェント元年」となる可能性が高い。

おわりに

2025年以降の日本のITインフラビジネスは、クラウドの主権確保・AI自動化・マルチクラウド統合を柱とする新たな競争に突入しています。主要SIer5社はそれぞれ強みを活かしながらも、従来の受託開発や人月ビジネスから脱却し、運用高度化とコンサルティングへ舵を切りました。富士通とNTTデータはソブリンクラウドのリーディングプレーヤーとして公共・医療案件を取り込み、NECと日立は業種特化AIで差別化、SCSKは基幹運用とAIの橋渡し役として安定成長を目指します。今後5年で、SIerは“インフラ構築屋”から“クラウド+AI運用アドバイザー”へと進化し、新しいインフラビジネスの形を創り出すでしょう。

日曜日, 7月 27, 2025

〖2025年7月版〗国産クラウド(IaaS)最新動向まとめ

 2020年1月版・2019年1月版で国産クラウド(IaaS)をまとめてから5年近くが経ちました。この間に各社のサービス統廃合や新規参入、政府のガバメントクラウド整備など大きな動きがありました。2025年7月時点の国産クラウド動向を振り返り、主要サービスをカテゴリー別に整理します。対象は国内企業が自社の設備とブランドで提供するIaaSに限定し、ハイパースケーラーのリセールサービスは除外します。

国産クラウドを取り巻く環境

2023~2025年にかけて、日本政府はガバメントクラウドの整備を進め、ISMAP(情報システムセキュリティ管理評価制度)に登録されたクラウドのみを調達する方針を示しました。経済安保の観点からデータ主権を守る国産クラウドの重要性が増し、円建て価格や日本法準拠、国内サポートといった特徴を持つサービスが再評価されていますcloud.sakura.ad.jp。また、2024年4月には富士通クラウドテクノロジーズの「ニフクラ」が「FJcloud‑V」に統合されるなどブランド再編も進みましたfujitsu.com

〖通信事業者系〗

NTTコミュニケーションズ/ドコモビジネス – Smart Data Platform(SDPF)

旧「Enterprise Cloud」をベースに再編された SDPF は、データ利活用に必要な機能をワンストップで提供する次世代プラットフォームです。クラウド/サーバー機能はISMAPで求められるマルウェア対策や暗号化機能などの高いセキュリティ要件を満たしntt.com、2021年にISMAPクラウドサービスリストに登録されました。サービスメニューにはポータルによる管理機能、オンデマンド型ベアメタルサーバーや仮想サーバー、ブロック/ファイルストレージ、ファイアウォール、イメージ管理などが含まれていますntt.com。NTTはISO 27001やISO 27017を取得しntt.com、今後もサービス強化と対象リージョン拡大を図るとしていますntt.com

KDDI – KCPS(KDDI Cloud Platform Service)

KDDIのクラウド基盤は、共有型の「バリュー」と専有型の「プレミアム」で構成されています。バリューでは12種類のvCPU/メモリ構成から選択でき、プレミアムでは16 vCPU/64 GBメモリの物理サーバーを専有で利用できる他、ストレージを複数ノードに分散する「Extra Availability」オプションを提供しますbiz.kddi.com。同サービスはSOC1・SOC2 Type2を継続取得し、ISMAP登録(認証番号 C21‑0010‑2)も行っておりbiz.kddi.com、公共案件の調達要件にも対応しています。

BIGLOBE – BIGLOBEクラウドホスティング

BIGLOBEのIaaSは国内データセンターで運営される純国産クラウドで、VMware仮想化による高品質なサーバーを提供します。サーバーやストレージは5分程度で追加可能で、プライベートLAN・ファイアウォール・WAF・VPNなどの機能を備え、データ転送量は無料ですjpn.nec.com。事業者向けサービスとしてSLA 99.99 %を保証し、ISO/IEC 27001・Pマーク・PCI DSS認証を取得したデータセンターで運用されていますjpn.nec.com

ソフトバンク – ホワイトクラウド ASPIRE

ソフトバンクの自社クラウドはVMware vSphereを基盤とし、ソフトバンクの信頼性の高いネットワークとデータセンターを組み合わせたIaaSです。稼働率99.999 %のSLAを掲げ、ISMAPへは2022年6月に登録されています。また、2023年10月にはVMwareの主権クラウドプログラム(Sovereign Cloud)の認定を受けましたsoftbank.jp

IIJ – IIJ GIOインフラストラクチャーP2

IIJ GIO P2は、仮想サーバーとベアメタルサーバーを柔軟に組み合わせ、公私のリソースを混在させたハイブリッド構成を実現するIaaSです。VMware環境をそのまま移行できるホステッドプライベートクラウドとパブリックリソースを提供し、システム特性に合わせて最適な組み合わせが可能だと説明されていますiij.ad.jp。昨年からは新リージョンやGPUなどのオプションが強化されています。

〖国内SIer系〗

CTC – CUVIC mc2

伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)のCUVIC mc2は、基幹システム向けの高信頼・高性能なIaaSです。SAP ERP/S 4HANA用途を意識し、必要なIT基盤を実利用分で課金する従量制を採用しています。利用企業の中でコアシステムに採用される例が多く、一般的なパブリッククラウドでは不足しがちな安定性と堅牢性を提供しますctc-g.co.jp

NEC – NEC Cloud IaaS

NECは2014年に自社開発の国産クラウド「NEC Cloud IaaS」を提供開始し、2020年に刷新しました。政府や企業のDXを支える基盤として、複数のリージョンで高信頼なサービスを提供し、ISMAPに対応するため認証取得を強化しています。資料では多要素認証やアクセス制御、環境分離、脆弱性管理などを備え、政府・自治体向け案件でも採用が進んでいるとしていますjpn.nec.com

日立 – エンタープライズクラウドサービス/ComiComiCloud

日立製作所は複数のIaaSラインアップを提供しています。エンタープライズクラウドサービスとその後継「G2」は、ISO 27017に基づくクラウドセキュリティ認証(ISMSクラウドセキュリティ認証)を取得しており、IaaS/PaaSの主力サービスとして登録されていますhitachi.co.jp。さらに、日立は従量課金型プライベートクラウド「ComiComiCloud」のマネージドサービスを拡充し、オンプレミスやパブリッククラウドを統合管理するハイブリッドクラウド運用サービスを2023年に開始しましたhitachi.co.jp。ComiComiCloudは顧客指定の場所に日立資産を設置して専有環境を構築し、シンプルな従量課金と標準サービスで基幹システムの運用を支援するのが特長ですhitachi.co.jp

富士通 – FJcloud‑V(旧ニフクラ)

富士通クラウドテクノロジーズが提供していた「ニフクラ」は2024年4月に「FJcloud‑V」に統合されましたfujitsu.com。FJcloud‑VはVMware vSphereをベースにした仮想化環境を提供し、仮想サーバーやネットワーク、オブジェクトストレージなどを自由に構成できます。またオンプレミスのVMware環境からの移行を容易にする機能も提供しますvalue-domain.com。ラインアップとしては仮想サーバーのほか、物理専有リソースを提供するFJcloud‑baremetalもあり、企業の用途に応じた選択が可能です。

〖データセンター事業者〗

さくらインターネット – さくらのクラウド

さくらインターネットのクラウドは「日本で一番わかりやすいクラウド」を掲げ、使いやすさ・連携性・シンプルな料金体系に重点を置いていますjaspanet.or.jp。GUIやAPIに加え地図ビューでリソース配置を可視化する管理画面や2要素認証・権限管理を備えjaspanet.or.jp、専用サーバやハウジング、VPS、AWS接続など他サービスと組み合わせる柔軟な構成が可能ですjaspanet.or.jp。料金は時間単位・日単位・月額で上限があり、データ転送量は無料jaspanet.or.jp。東京第1・第2、石狩第1・第2の4ゾーンを持ちjaspanet.or.jp、石狩データセンターは寒冷地の特徴を活かした省エネと低災害リスクで知られますjaspanet.or.jp。さくらのクラウドはISMAP登録済みでjaspanet.or.jp、バックボーン1.85 Tbps・1ホストあたり10 Gbpsのネットワークや冗長化構成により、月間SLA 99.95 %と自動フェイルオーバーを実現していますjaspanet.or.jp。2023年にはデジタル庁のガバメントクラウド対象として採択され、要件充足に向けた開発が進んでいます。

IDCフロンティア – IDCFクラウド

IDCFクラウドは国内15ゾーンを持つパブリッククラウドで、24時間365日サポート、99.999 %のSLAを提供しています。インスタンスは高性能なCPU/メモリ構成と独自開発のストレージ基盤を備え、専有ハードウェアやマネージドデータベース、ロードバランサー、コンテナ基盤など多様なサービスを提供していますidcf.jp。2024年2月にはメモリ内キャッシュ機能「CacheDB」を追加するなど、サービスの拡充を続けていますidcf.jp。IDCフロンティアはコロケーションや大手クラウドとの閉域接続を提供しており、ハイブリッド/マルチクラウド構成を支援していますidcf.jp

GMOクラウド – ALTUS(アルタス)ほか

GMOグローバルサイン・ホールディングスのクラウドサービスには、初心者向けクラウドサーバー「ALTUS by GMO」があります。Pleskでコマンド不要の操作ができ、電話サポートや0円からの低廉な料金、無制限のデータ転送を特徴としていますgmo.jp。さらに専用ハイパーバイザーによる「GMOクラウド Private」は、標準・バリューの2シリーズで企業向けの高セキュリティなプライベートクラウドを提供し、冗長構成や専用線接続、スケールアップに対応しますgmo.jp

NTTPC – WebARENA VPSクラウド

NTTPCコミュニケーションズが提供するWebARENA VPSクラウドは、オープンソースの国産クラウドコントローラー「Wakame‑vdc」を採用し、一つのコントロールパネルで複数インスタンスを一括管理できますweb.arena.ne.jp。インスタンスの起動や停止、バックアップやロードバランサー設定、セキュリティグループ管理などをGUIで実行できるほか、契約情報管理機能も用意されていますweb.arena.ne.jp。2024年にはGPU対応のIndigo GPUや高速回線を備えたIndigo Proも登場し、幅広い用途に応えています。

新規サービス

近年、生成AIブームに伴いGPUクラウド需要が急増しています。GMOインターネットグループは「GMO GPUクラウド」を立ち上げ、2024年発売のNVIDIA H200 GPUと国内初導入の高速ネットワーク「NVIDIA Spectrum‑X」、DDN AIストレージを組み合わせた高速学習環境を提供しています。サイトでは生成AIや機械学習向けに国内最速クラスのGPUクラウドをうたっており、TOP500ランキングで38.06 PFLOPSを記録し世界37位・国内6位となった性能を紹介していますgpucloud.gmo。また、GMOインターネットは2025年7月にVPSサービス「ConoHa VPS」をAIエージェントと連携するMCP(Model Context Protocol)対応にアップデートし、日本語で生成AIと対話しながらサーバー操作ができる機能を国内クラウド事業者として初めて公開しましたinternet.gmo。自然言語で「4コアのサーバーを作って」と依頼するとAIが自動的にVPSを構築するなど、AI時代の新しいクラウド運用手法を提案していますinternet.gmo

〖その他〗

旧記事で触れた楽天クラウドはその後動きが少なく、2025年7月時点では公式サイトへのアクセスも難しくなっています。NTT Comの「Cloudn」は2020年末でサービス終了し、SDPFへ統合されましたkuniyon.blogspot.com。国産クラウド市場は今後も統廃合と新規参入が続きそうです。

終わりに

2025年現在、国産クラウドはガバメントクラウドをはじめ公共・金融・製造など高度なセキュリティと法規制への対応が求められる領域で存在感を高めています。各サービスはISMAPやISO 27017認証を取得し、仮想サーバーに留まらずGPUやベアメタル、AI連携など多様化が進んでいます。ハイパースケーラーと比べてサービス範囲が狭いものの、円建て価格や日本語サポート、国内データセンターといった利点は大きく、用途に応じた使い分けが重要です。今後も政府のクラウド調達政策や経済安全保障の動向、新技術への対応によって国産クラウドの姿は変化していくでしょう。

水曜日, 2月 12, 2025

AWS GuardDuty と同等の脅威検知機能を Azure で実現するためには

 

はじめに

クラウド時代のセキュリティ対策として、AWS では GuardDuty が脅威検知の中心的存在といえる。GuardDuty は、AWS 環境のログ(VPC Flow Logs、CloudTrail、DNS ログ、S3 イベントなど)を機械学習や外部の脅威インテリジェンスと組み合わせることで、自動的に不審な振る舞いを検知してくれるシンプルかつ強力なサービスだ。多くの AWS 利用企業にとって、GuardDuty を有効化することは、手軽にセキュリティ基盤を整備できる近道となっている。

では、Azure 環境において同等の機能を備えたセキュリティ構成を組みたい場合、どのようなサービスを選定すればよいのだろうか。Azure はクラウドとしてのサービス領域が広範囲であり、複数のセキュリティソリューションが提供されている。その中でも特に GuardDuty に近い観点で脅威検知を担ってくれるのが、Microsoft Defender for Cloud(旧称 Azure Security Center) である。

Azure Sentinel の位置づけ

一方で、Azure のセキュリティサービスを語るうえで外せないのが Azure Sentinel だ。Sentinel は、SIEM/SOAR(Security Information and Event Management/Security Orchestration Automated Response)機能を備えた総合的なプラットフォームで、ログ相関分析や自動対応を含む高度な運用を実現できる。しかしながら、その分コストも上昇しやすく、運用も複雑になりがちだ。AWS であれば GuardDuty と比較されることが多いが、実は Sentinel は GuardDuty 単体というよりも、Security Hub + GuardDuty + Detective + Macie といった複数サービスを横断的に統合したような機能を提供するイメージに近い。

そのため、「まずは GuardDuty と同等の脅威検知を Azure 側でも実装したい」という場合には、Azure Sentinel まで導入する必要は必ずしもない。より簡潔に Azure リソースを監視し、不審な振る舞いを見つけるなら、Microsoft Defender for Cloud を活用するほうがスムーズなケースが多い。

Microsoft Defender for Cloud(旧称 Azure Security Center)の機能

Defender for Cloud は、Azure リソース全体のセキュリティ態勢を一元管理し、脆弱性評価から脅威検知までをカバーしている。具体的には、VM(Windows/Linux)、コンテナ、Azure App Service、Azure Storage、SQL Database など、さまざまなワークロードに対して以下のような機能を提供する。

  1. セキュリティ評価と推奨事項

    • どのリソースがセキュリティ的に弱点を抱えているかを可視化し、改善策(推奨事項)を提示する。AWS でいうと Security Hub におけるベストプラクティス評価や、Inspector に近いイメージ。
  2. 脅威検知

    • Microsoft が持つ膨大な脅威インテリジェンスや機械学習モデルを活用して、VM やコンテナ、データベースなどの異常挙動を見つけ、アラートを上げる。
    • これは GuardDuty のようにスイッチを入れれば一通り不審な挙動を監視してくれる仕組みに近いが、AWS の場合よりも保護対象が細分化されている(Defender for Servers、Defender for Storage、Defender for SQL など)。
  3. コスト面での調整が可能

    • 監視したいワークロード単位でプランを選ぶことで、導入範囲とコストをコントロールしやすい。
    • GuardDuty は基本的にロギングするイベント量に応じた従量課金だが、Defender for Cloud はモジュールごとの固定料金・従量課金の組み合わせで、料金体系がやや異なる。適切に導入範囲を絞ることで、過剰なコストを防ぐことができる。

GuardDuty と Defender for Cloud を比較する

こうした Microsoft Defender for Cloud の特徴を踏まえると、AWS の GuardDuty と比較すると次のような共通点や相違点が見えてくる。

  • 共通点

    1. クラウドのログや挙動を自動で監視し、不審なパターンを検知してアラートを発行する。
    2. 専門的な脅威インテリジェンスや機械学習がバックエンドで動いているため、利用者はスイッチを入れるだけで大まかな検知機能をすぐに利用できる。
    3. 料金は従量課金形式をベースとし、導入範囲やログ量に応じて変動する。
  • 相違点

    1. GuardDuty は AWS 向けに特化しており、設定が非常にシンプル。その代わり、詳細な脅威調査には Detective を使ったり、脆弱性評価には Inspector を利用したりといった補完が必要になる。
    2. Defender for Cloud は、構成としては一つのダッシュボードから脆弱性評価から脅威検知までを網羅しているが、実際にはプランごとに有効化が必要。各ワークロードに最適化されている分、初期の選定やチューニングがやや煩雑になりやすい。
    3. Azure のもう一つの選択肢である Sentinel は大規模 SIEM としての役割を担うため、GuardDuty と比較するにはややオーバースペックで、コスト面も上がりやすい。脅威検知だけなら Defender for Cloud を優先するケースが多い。

Sentinel を導入しない理由と役割分担

Azure Sentinel は、セキュリティログの相関分析や脅威ハンティング、自動対応(SOAR 機能)までをカバーする強力なサービスだが、GuardDuty のようなピンポイントの脅威検知とは異なる。AWS 全体の総合的な SIEM 機能と比べるのなら、Security Hub や Detective、Macie、さらには外部 SIEM 製品とも合わせた運用規模に近い。
そのため、まずは GuardDuty と同等の仕組みを実現したいだけなら、Sentinel まで導入するとオーバースペックになりやすいし、料金も高額になる可能性がある。Azure のみで運用し、かつログ分析や脅威ハンティングまで踏み込みたい場合には Sentinel が有効だが、「GuardDuty 相当の脅威検知」であれば Defender for Cloud の導入を検討すべきだろう。

結論:Azure で GuardDuty 相当を実装するために

AWS で GuardDuty を使う構成を Azure で再現したいなら、Microsoft Defender for Cloud(旧称 Azure Security Center)を中心に導入するのが定番のアプローチになる。特に VM やストレージ、コンテナなどの各ワークロードに対して Defender プランを有効化し、セキュリティ評価(Security Score)脅威検知 の仕組みを利用することで、GuardDuty に近い運用が可能となる。

もし、Azure 上の全リソースや Office 365、オンプレミス環境、さらに他クラウドとの統合的な監視や相関分析を行いたいのであれば、そこに Azure Sentinel を加えて一段階上のレベル(SIEM/SOAR)の運用を目指すこともできる。しかし、GuardDuty の単なる対比という観点では、Sentinel は必ずしも必要ではない。

こうした理由から、「AWS と Azure でほぼ同等の脅威検知の構成を組む」という比較を行う場合は、AWS 側では GuardDuty + Security HubAzure 側では Microsoft Defender for Cloud というセットで比較するとわかりやすい。導入のしやすさ、運用のシンプルさ、アラート対応のフロー、そしてコストの考え方などを対比しながら検証すると、それぞれのプラットフォームのメリット・デメリットが明確になるだろう。


おわりに

クラウドが普及し、マルチクラウド戦略を取る企業も増える中、AWS と Azure のセキュリティ機能を比較する場面は多くなっている。GuardDuty と Sentinel はよく引き合いに出されるものの、実際には Sentinel は SIEM/SOAR の領域に踏み込んでおり、GuardDuty とはやや用途が異なる。
そのため、GuardDuty と同等の脅威検知を Azure で行うのであれば、Microsoft Defender for Cloud の脅威検知機能を軸に置くのが最適解となる。この基本方針をもとに、それぞれの特徴やコスト、運用設計を丁寧にすり合わせることで、最適なクラウドセキュリティ環境を整備していくことができるだろう。

土曜日, 7月 08, 2023

富士通のクラウドなど各種サービスの稼働状況公開サイト

 富士通のクラウドサービス稼働状況がわかるサイトがいつの間にか公開されていました。

富士通のIaaS系サービス(FJcloud)だけでなく、データセンター、各種SaaSも対象となっており、幅広いサービスの稼働状況が一覧で確認できます。
何か調子がおかしいぞ、と感じたらこのサービスを確認するのが良いかもしれません。