1つ目
水曜日, 3月 20, 2024
VTOL型固定翼ドローン関連記事メモ
1つ目
月曜日, 2月 12, 2024
実用化への準備が進む川崎重工製無人ヘリ「K-RACER」
このブログでも何度か取り上げている川崎重工無人ヘリ「K-RACER」ですが、実用化に向けた実証実験が進んでいるようです。
以前取り上げたこのブログの記事はこちら
川崎重工の無人ヘリK-RACERと類似する航空機を比較してみる
現在最新の「K-RACER-X2」はペイロード200kgと国産無人航空機(ヘリ・ドローンタイプ)としては最大級のサイズです。
実証実験は「K-RACER-X1」の時から実施している長野県伊那市で昨年秋に実施されたようです。
無人ヘリコプターの実証機「K-RACER-X2」 国内最大となる200kgの貨物搭載能力を実証 川崎重工 2024年01月12日
川崎重工、無人VTOL実証機「K-RACER-X2」の飛行試験およびデモ飛行を実施。ペイロード200kgの大型物流ドローン DRONE 2023年11月14日
更に今年1月には自衛隊での実証実験も実施しています。
自衛隊、川崎重工の無人ヘリコプター「K-RACER-X2」の実証実験動画を公開 DRONE 2024年2月11日
国家防衛戦略等においては、空中・水上・海中等における非対称な優勢の確保に資する能力を獲得するため、無人アセット防衛能力を強化することとしており、広域に分散展開した部隊等への迅速な補給品の輸送を実施するため、輸送用UAVの導入について、検討の上、必要な措置を講ずることとしています。 pic.twitter.com/PdlUZg0rPV
— 防衛省 海上自衛隊 (@JMSDF_PAO) February 9, 2024
このように実証実験は着々と進んでいるようですね。民需だけでも採算が取れるようにという話ではあった気がしますが、はやり防衛費が増えていることもあり自衛隊向けの活用も進みそうです。
今年元旦の地震でも改めて迅速な空輸での支援物資展開、また観測などが重要であることが改めて認識されました。こういった用途には無人ドローン、ヘリの活用が欠かせませんので、いち早く実用化されることを期待しています。
実用化にあたっては制度の問題が大きいと考えられます。このあたり、政治主導で国交省などがスムーズに動けるようにして欲しいですね。安全第一ではありますが、無人機に関しては飛ぶ場所を選べばコストなどとのバランスをみることができると考えています。
日曜日, 7月 09, 2023
eVTOL開発の国内ベンチャー企業「HIEN Aero Technologies」
- バッテリーのみではなく、ガスタービン発電を利用したシリーズハイブリッド方式とすることで長い航続距離を確保する
- マルチコプタータイプではなく、リフト&クルーズタイプ
- 寸法:5000 x 3200 x 900 mm
- 最大離陸重量:90kg
- ペイロード:25kg
- 最大速度:180km/h以上
- 飛行時間:60分程度
- 航続距離:150km以上
- 給電能力:20kWh
- 燃料:灯油(Jet-A1 / B)
- デリバリー目標:2023年?
- 寸法:6000 x 9000 x 2500 mm
- 最大離陸重量:600kg
- ペイロード:150kg
- 最大速度:180km/h以上
- 航続距離:180km以上
- 給電能力:50kWh
- 燃料:灯油(Jet-A1 / B)
- デモフライト目標:2025年
- 寸法:10000 x 16000 x 3200 mm
- 最大離陸重量:2000kg
- ペイロード:500kg
- 最大速度:180km/h以上
- 航続距離:180km以上
- 給電能力:400kWh
- 燃料:灯油(Jet-A1 / B)
- デリバリー目標:2030年
- 寸法:?
- 最大離陸重量:?
- ペイロード:1000kg
- 最大速度:?
- 航続距離:?
- 給電能力:?
- 燃料:灯油(Jet-A1 / B)
月曜日, 7月 03, 2023
VTOL型固定翼ドローンのメーカー及びモデル
- 外形寸法:2150 x 1235 x 415 mm (プロペラ含まず)
- 動力:バッテリーのみ
- 最大離陸重量:11kg
- 最大ペイロード重量:1kg
- 航続距離:50km
- 航続時間:40分
- 最大速度:100km/h
- 巡航速度:65km/h
- ホバリング限界高度:不明
- 価格:500万円〜
- 全幅:4500mm
- ペイロード:10kg
- 飛行時間:90分以上
- 全長: 1475mm
- 全幅: 2100mm
- 動力:バッテリーのみ
- 最大離陸重量:不明
- 重量: 2580g (バッテリー無)
- 最大ペイロード重量:2.5kg (航続時間40分)
- 航続距離:120km
- 航続時間:120分
- 最大速度:120km/h
- 巡航速度:不明
- ホバリング限界高度:不明
- 価格:不明
- 全長: 2480mm
- 全幅: 3500mm
- 動力:バッテリーのみ/エンジン利用
- 最大離陸重量:不明
- 重量: 12kg (バッテリー無)
- 最大ペイロード重量:10kg
- 航続距離:400km(バッテリーのみの場合は120km)
- 航続時間:350分
- 最大速度:150km/h
- 巡航速度:不明
- ホバリング限界高度:不明
- 価格:不明
- 外形寸法:167cm x 198cm x 66cm
- 動力:バッテリーのみ
- 最大離陸重量:25kg
- 最大ペイロード重量:最大5kg
- 航続距離:110km(ペイロードなし)、75km(5kg)
- 航続時間:不明
- 最大速度:144km/h
- 巡航速度:100km/h
- 最大高度:5000メートル
- 価格:不明
- 全長:1.9m
- 翼長:3.3m
- 動力:モーター(バッテリー&水素)
- 本体重量:21.3 kg
- 最大ペイロード重量:不明
- 航続距離:200km(ペイロード10kg時)
- 航続時間:不明
- 最大速度:不明
- 巡航速度:不明
- 最大高度:不明
- 価格:不明
水曜日, 6月 28, 2023
三菱重工の中型ドローン
- 動力:バッテリーのみ/ハイブリッドタイプ
- 最大離陸重量:不明
- 最大ペイロード重量:200kg
- 航続距離:不明
- 航続時間:2時間(ハイブリッドタイプ)
- 巡航速度:60km/h(最大90km/h)
- ホバリング限界高度:不明
- 価格:不明(開発中)
- 動力:エンジン
- 最大離陸重量:650kg
- 最大ペイロード重量:200kg
- 航続距離:100km程度
- 巡航速度:不明
- ホバリング限界高度:3,100m
- 価格:不明(開発中)
実運用に向けた認証取得のハードルは高そうだ。この機体は通常のドローン(無人航空機)ではなく、より多くの積載量をより遠くへ運ぶ「無操縦者航空機」という新しいカテゴリーとして開発しているため、現状では有人航空機と同様、「型式証明」の取得が必要になる。「現在、国土交通省で詳細を検討しており、その動向を注視している」(三菱重工の説明員)としている。
火曜日, 6月 13, 2023
川崎重工が無人航空機の災害時活用のテストを開始
川崎重工が和歌山県の南紀白浜空港を拠点に災害時の被害確認などのテストを目的に、無人航空機の飛行試験を11月から開始するとの報道がありました。
無人航空機の災害活用へ実験 南紀白浜空港と川崎重工 日本経済新聞 2023年6月12日
11月から月4回程度のペースで平日の昼間に約4時間飛行させ、4年間はテストを行うとのことです。このあたりは南海トラフ地震が発生するとされており、更に南紀白浜空港は標高が約90mもあり津波などによる浸水リスクがほぼないということで、確かに拠点にするならここだ!という感じですね。
で、気になる無人航空機のモデルについてはイメージ画像と「縦10メートル、横16メートル」というサイズ感の情報しかありません。画像とサイズ感を見ると、イスラエルのIAIが開発したヘロンではないかと思うのですが、どうでしょうか?
ヘロンのスペックは以下のとおりです。(Wikipediaより引用)
- 全長:8.5m
- 全幅:16.6m
- 最大離陸重量:1,250kg
- エンジン:ロータックス914 レシプロエンジン(115馬力)×1
- 最大速度:222km/h
- 運用高度:9,144m+
- 航続時間:40時間+
- ペイロード:250kg
サイズ感もほぼ同じですし、外見もそっくりです。
ちなみに、航空自衛隊が導入したRQ-4B グローバルホークは全長:13.52m、全幅:35.42m、海上保安庁が導入したRA MQ-9B シーガーディアンは全長:11m、全幅:20mと今回報道されている無人航空機のサイズよりも大きくなっています。
イスラエル製のヘロンはアメリカ製のグローバルホーク、シーガーディアンと比較すると安価で、性能も悪くないということでドイツ、カナダ、インド、韓国など様々な国で導入されている偵察用無人航空機です。今回は災害対応という名目ではありますが、偵察用の無人航空機はたくさん飛ばしてなんぼ、なところもありますので、今後の自衛隊、海上保安庁への導入に向けたファーストステップ、という位置づけかもしれませんね。
ただ、川崎重工には自社開発の無人航空機も頑張って貰いたいですよね。哨戒機や早期警戒機がなくなるわけではないとは思うものの、段々と無人機に役割の比重が移っていきそうです。そうなったときに無人航空機は全て外国製です、というのは悲しいですし、安全保障上の問題になります。陸上自衛隊に配備されているスキャンイーグルと同様のものは恐らくすでにフジ・インバック社が頑張ってそうですし、更には東南アジアに進出しようとしています。
防衛省に納入した「無人機」、フジ・インバックが東南アジアに拡販 日刊工業新聞 2023年6月10日
川崎重工や三菱重工、SUBARUなどの既存の防衛用航空機産業を担っている各社には、より大型の無人航空機に取り組んで頂ければと思います。無人戦闘機のテスト機は作ってましたけどね。
金曜日, 6月 09, 2023
ドローン型式認証申請・取得状況(2023年6月時点)
先日、ドローンのレベル3、レベル4の飛行について纏めました。
これらの飛行を行うドローン機種にはレベルに応じて第一種型式認証、第二種型式認証を取得する必要がありますが、その取得状況について纏めておきます。
なお、拾い漏れの情報がある可能性はありますので、その旨ご了承下さい。
【第一種型式認証】
- 概要:目視外・補助者なし貨物輸送用小型ドローン(レベル4飛行用)
- 型式認証取得日:2023年3月13日
- 製造元:ACSL
- 動力:バッテリー(電力)
- 最大離陸重量:9.8kg
- 最大ペイロード重量:1.0kg
- 最大航続距離:不明
- 最大航続時間:20分(最低離陸重量時)/17.5分(最大離陸重量時)
- 最高速度:10m/s(36km/h)
- ホバリング限界高度:不明
- 補助安全装置:日本化薬社製パラシュート搭載
- 価格:不明
イームズ式E600-100型 ※開発中
- 概要:目視外・補助者なし貨物輸送用ドローン(レベル4飛行用)
- 型式認証取得日:申請中
- 製造元:イームズロボティクス
- 動力:バッテリー(電力)
- 最大離陸重量:24.9kg
- 最大ペイロード重量:5.0kg
- 最大航続距離:不明
- 最大航続時間:20分(最大離陸重量時)
- 最高速度:15m/s(54km/h)
- ホバリング限界高度:150m
- 補助安全装置:不明
- 価格:不明(開発中)
- 概要:目視外・補助者なし貨物輸送用ドローン(レベル3飛行用)
- 型式認証取得日:申請中
- 製造元:イームズロボティクス
- 動力:バッテリー(電力)
- 最大離陸重量:24.9kg?
- 最大ペイロード重量:10kg
- 最大航続距離:不明
- 最大航続時間:17分
- 最高速度:約80km/h
- ホバリング限界高度:150m
- 補助安全装置:不明
- 価格:不明(開発中)
- ※スペックはベースとなっているE6150MPのものを記載
- 概要:目視外・空撮用ドローン(レベル3飛行用)
- 型式認証取得日:申請中
- 製造元:SONY
- 動力:バッテリー(電力)
- 最大離陸重量:7.5kg
- 最大ペイロード重量:約2.5kg
- 最大航続距離:15km
- 最大航続時間:約30分(ペイロード無し時)/約17分(最大ペイロード時)
- 最高速度:25m/s(90km/h)※ペイロード無し、障害物ブレーキ無効時
- ホバリング限界高度:不明
- 補助安全装置:不明
- 価格:110万円 ※現行価格(型式認証取得後、変更の可能性あり)
木曜日, 6月 08, 2023
東京愛らんどシャトル路線から考える無人航空機に必要な航続距離
ここ数回、無人ヘリ、大型ドローンを始めとする無人航空機を取り上げています。川崎重工の無人ヘリK-RACERがその代表例ですが、このモデルは現在山岳地帯での荷物輸送を想定して開発が進められています。一方で、日本は島国ですので離島が数多くあります。こういった離島向けに物流サービスを提供するにはどの程度の航続距離が必要なのかを少し考えてみたいと思います。
離島と言っても様々な地域に様々な島があるのですが、ここでは一旦東京都の伊豆諸島をベースに考えてみます。伊豆諸島は空港がある島もあるのですが、ヘリポートのみの島も多くあります。これらの島を毎日ヘリコプターで運行しているのが、東京愛らんどシャトルです。
東京愛らんどシャトルの1日の運行路線は以下のとおりです。
- 八丈島→青ヶ島
- 青ヶ島→八丈島
- 八丈島→御蔵島
- 御蔵島→三宅島
- 三宅島→大 島
- 大 島→利 島
- 利 島→大 島
- 大 島→三宅島
- 三宅島→御蔵島
- 御蔵島→八丈島
- 八丈島→青ヶ島:70km
- 八丈島→御蔵島:88km
- 御蔵島→三宅島:24km
- 三宅島→大 島:78km
- 大 島→利 島:26km
水曜日, 6月 07, 2023
三菱重工のドローン
最近、川崎重工の無人ヘリK-RACERを本ブログで何度か取り上げましたが、三菱重工のドローンに関する記事が出ていました。
三菱重工が型式認証を視野に入れたドローンを開発!超大型機も登場か ドローンジャーナル 2023年6月7日
副題が「民間航空機関連事業で培った安全性・品質保証の知見を応用」というのがなんともですね。
国内重工メーカーでは川崎重工が無人ヘリのK-RACER、IHIは大型ドローンのi-Gryphonとそれぞれヘリコプター、マルチコプタータイプの無人航空機を開発中ですが、3大重工メーカーの中でも最大手の三菱重工でも、ドローン開発が進んでいるようです。
記事内には2つのドローンが登場します。
1つ目は、シングルローター型のドローン(ヘリコプタータイプ)で、これは国内ドローンベンチャーのプロドローンと共同開発しているやつですね。駆動はエンジンとバッテリーの2つを選択可能です。なお、プロドローンだとPDH-GS120という製品名になります。このモデルは最大離陸重量は30kgと小型ですが、エンジン駆動の場合、最大速度90km/h、巡航速度60km/hで2時間飛行できるので、恐らく航続距離は100km程度となかなかのスペックのものです。ヤマハ発動機の大型無人ヘリであるFAZER R G2と比較するとペイロードはもちろん敵いませんが、速度と(恐らく)航続距離は勝っているので少量の荷物の輸送、記事にあるような点検、監視業務などはこちらの方がメリットがありそうです。(小型な分、燃料も少なくて済みますし。)
ちなみに、この無人ヘリは今年の3月に開催された「DSEI Japan」で三菱重工が展示していた無人艦船を母艦にした無人ヘリによく似ており、バッテリータイプのモデルが展示されていました。やはり艦船上だと安全性の問題からガソリンの利用は難しいのかもしれません。全て無人化しようとしているので、燃料補給の自動化も課題になりそうですし。
三菱重工が沿岸監視の無人母艦、無人航空機/潜水艇を搭載 日経クロステック/日経エレクトロニクス 2023.03.28
次に、記事内に登場する2つ目のドローンは大型のドローンです。スペックの詳細は書かれていないのですが、最大積載量200kgでモーターとエンジンを組み合わせたハイブリッドタイプの場合、航続時間は約2時間だそうです。川崎重工の無人ヘリK-RACERとスペックが近く、最大離陸重量150kg以上となるのでドローンの枠組みからは外れます。
3トントラックに載せることができるとのことで、これも4トントラックに載せることができるK-RACERと似ています。ただ、スタンスですが、記事内に以下のコメントがあります。
この機体は、ドローンでなく無操縦者航空機として開発されており、航空機と同じ区分になる。ドローンであればレベル4飛行の運用を目指すため、「型式認証」を取得するところだが、無操縦者航空機は有人航空機が取得する「型式証明」の取得が必要となる。ドローンの型式認証に比べ、民間旅客機等が取得する型式証明は、アメリカ連邦航空局(FAA)や欧州航空安全機関・欧州航空安全庁(EASA)の世界的な基準に準拠する必要があり、ハードルが高く、多くのノウハウも必要とされる。
同事業部の間畠 真嗣 氏は「このようなタイプの機体は新しいため、現時点では証明取得に高いハードルが待ち構えていると思いますが、今後も同じような機体が登場すると予測されていますので、世界的な基準の動向を見つつ、社会実装の機会を探っていきます。都市部での利用は証明取得のハードルが高いため、まずは人の少ない山間部や海上から運用を始め、実績を重ねながら発展できればと考えています」と語った。
ということで、型式認証取得については様子見のようです。国交省などに積極的に動くようアプローチをしている川崎重工と比べると、かなり消極的なコメントにも聞こえますが、まあK-RACER側の型式認証が進んだら2番手として流れに乗ってくる気がしますね。記事内にある「民間航空機開発で培った安全性・品質保証・認証取得のノウハウを応用し〜」ということで、実際航空機開発メンバーが多数所属しているのであれば、三菱重工こそ積極的に開発を進めれば良いのに、という気もします。まあ一度痛い目を見ているので、仕方がない部分もあるのかもしれません。
ということで、まだ詳細は分かりませんが、K-RACERのライバルがすでに国内にいることが分かりました。どちらも開発中の機体であり、実際に世の中に出てくるかは分かりませんが、あと2-3年後もすると少なくとも近しいものは社会実装されていくと思うので、楽しみにしています!
火曜日, 6月 06, 2023
川崎重工の無人ヘリK-RACERと類似する航空機を比較してみる
先日以下の記事を書きました。
K-RACERは今後の展開は色々と考えられそうですが、まずは山岳地帯の物資輸送を目的として開発が進められています。このジャンル自体がニッチなのでそこまでの競合は現れなさそうではありますが、類似する航空機にどのようなものがあるのか、また違いは何かが気になったので、比較してみたいと思います。
まずは、川崎重工が進める無人機、K-RACER-X2です。
- 概要:川崎重工が開発中の無人ヘリ/2026年に量産予定
- 製造元:川崎重工(川崎重工業航空宇宙システムカンパニー)
- 動力:エンジン
- 最大離陸重量:650kg
- 最大ペイロード重量:200kg
- 航続距離:100km程度
- 巡航速度:不明
- ホバリング限界高度:3,100m
- 価格:不明(開発中)
K-RACER-X1からペイロードが増加し、200kgとなりました。ちなみに現在はK-RACER-X2ですが、量産機はK-RACER-X3とか4とかになったりするのでしょうか。この無人ヘリのポイントは最大離陸重量が600kg程度、ペイロードが200kg、航続距離が100km程度の3つです。この3つと類似するモデルを比較していきます。
eVTOLとの比較
ペイロードが200kgというと、ちょうどeVTOLの2人乗りくらいにあたります。そこで、まずは現在開発が進められている2名乗りのeVTOLと比較しています。このクラスのeVTOLはマルチローター機が多いので、ヘリコプターと性能は似たものになりそうです。またこのクラスのeVTOLは物流用途にも発展する計画がすでにあります。
K-RACERと比較した場合のeVTOLのメリットとデメリットを比較してみたいと思います。
メリット
- eVTOL自体が有人航空機として型式認証を取得するため、飛行に制限がない(K-RACERは恐らく無人地帯のみなどの制限がかかる)
- eVTOL自体の市場が大きくなると考えられ、出荷台数が多くなる見込み。そのため、K-RACERと比較し、機体単価を抑えることができると考えられる。
デメリット
- 無人飛行について法整備、許可が出るのは恐らく2030年代(K-RACERは2026年のサービス開始を目指している)。
- 基本的にバッテリー稼働なので航続距離が短く、充電のために電力が必要だが山岳部で電力を確保する(特に高速充電装置)ことが難しい。
具体的な機種(モデル)を上げてみます。
- 概要:EHang開発のeVOLT「EH216」の物流輸送用版
- 製造元:億航智能(EHang)
- 動力:バッテリー(電力)
- 最大離陸重量:不明
- 最大ペイロード重量:250kg
- 航続距離:30km ※設計飛行距離
- 最高速度:130km/h
- ホバリング限界高度:不明
- 価格:約4,800万円
2人乗りのeVTOLであるEH216は実用化に向けて最も進んでいるeVTOLの1つです。実際、日本国内でも何度もテスト飛行しています。ただし中国メーカーということで、米国、欧州の航空当局が型式認証をスムーズに出すかが課題になりそうです。課題はあるものの、他社のモデルと比較すると圧倒的なコストパフォーマンスなので、エントリー機として、特に安全性にある程度妥協できる物流用途では普及しそうな気がします。
- 概要:国内ベンチャーSkyDriveが開発する2人乗りeVTOL
- 製造元:SkyDrive
- 動力:バッテリー(電力)
- 最大離陸重量:不明
- 最大ペイロード重量:不明(2名)
- 航続距離:10km
- 最高速度:100km/h
- ホバリング限界高度:不明
- 価格:2億円
国内ベンチャーSkyDriveが開発中のeVTOLです。2025年の大阪万博での飛行を予定していますが、現時点で開発状況がよく分からないので間に合うのか?というのと、海外製と比較しコスト、航続距離に課題があると考えられるモデルです。今のところ物流用としてのリリースはありませんが、人を運ぶ用途だけだと広がりが限られるので、無事開発が進んだ暁には物流用途も発表されると予想しています。
- 概要:ドイツのeVTOLベンチャーが開発する輸送用大型ドローン
- 製造元:Volocopter
- 動力:バッテリー(電力)
- 最大離陸重量:不明
- 最大ペイロード重量:200kg
- 航続距離:40km?
- 最高速度:110km/h
- ホバリング限界高度:不明
- 価格:不明
- 概要:ロビンソン・ヘリコプターが開発する小型ヘリコプター
- 製造元:ロビンソン・ヘリコプター
- 動力:エンジン
- 最大離陸重量:1370Ib(622Kg)
- 最大ペイロード重量:515lbs(233kg) ※乗員数2
- 航続距離:324km
- 最高速度:83kt(153.7km/h)
- ホバリング限界高度:14,000f(4,267m)
- 価格:4,500万円
- 概要:R22を拡大型として開発されたヘリコプター
- 製造元:ロビンソン・ヘリコプター
- 動力:エンジン
- 最大離陸重量:2,400lbs(1088Kg)
- 最大ペイロード重量:958lbs(434kg) ※乗員数4
- 航続距離:621km
- 最高速度:204 km/h
- ホバリング限界高度:14,000f(4,267m)
- 価格:6,400万円
- 概要:ヤマハ発動機の大型無人ヘリ
- 製造元:ヤマハ発動機
- 動力:エンジン(レギュラーエンジン)
- 最大離陸重量:110g(120kgのモデル有)
- 最大ペイロード重量:33kg(50kgのモデル有)
- 航続距離:90km
- 最高速度:72km/h
- ホバリング限界高度:2,800m
- 価格:不明(レンタル/業務委託のみ 2017年4月〜)
- 概要:ロケット開発などを手掛けるIHIエアロスペースが開発中の大型ドローン
- 製造元:IHIエアロスペース
- 動力:エンジン(ハイオクガソリン)
- 最大離陸重量:149kg
- 最大ペイロード重量:47kg
- 航続距離:50km
- 巡航速度:60km/h
- ホバリング限界高度:3000m
- 価格:不明(開発中)
- 概要:会沢高圧コンクリートが開発した大型ドローン
- 製造元:アラセ・アイザワ・アエロスパシアル合同会社
- 動力:エンジン
- 最大離陸重量:310kg
- 最大ペイロード重量:150kg(積載量+燃料重量で200kg以下)
- 航続距離:不明(ペイロードなし:航続時間6時間以上/ペイロード150kg:航続時間2時間以上)
- 巡航速度:不明
- ホバリング限界高度:不明
- 価格:不明(開発中)
月曜日, 6月 05, 2023
無人航空機(ドローン)のレベル3、レベル4飛行について
先日以下の記事を書いたのですが、
一度現在の無人航空機の制度について整理しておきたいと思います。
まず、2022年12月5日に無人航空機の新制度が始まりました。詳細は国土交通省が作成しているポータルサイトで解説されています。
現在、ドローンの飛行レベルは4つに別れています。
レベル1:目視内での操縦飛行(有人地帯は条件あり)/空撮・橋梁点検など
レベル2:目視内での自律飛行(有人地帯は条件あり)/農薬散布・土木測量など
レベル3:無人地帯での目視外飛行/無人地域での荷物配送など
レベル4:有人地帯での目視外飛行/荷物配送・建設現場の測量など
※レベル1、2は有人地帯の飛行は禁止されていませんが、第三者が立ち入らないように「立入管理措置」を講じる必要があるため、実質第三者の上空を飛ばすことはできません。
まず前提として、現在100g以上の重さの無人航空機は国土交通省に登録しないと飛ばすことができません。
そして更に特定飛行に該当する飛行を実施する場合は許可が必要になるのですが、機体認証を行うことで許可不要で飛行できる場合があります。
まず、特定飛行とは何か?という話なのですが、これは飛行レベル3,4にあたる目視外飛行や、夜間飛行などいくつかの条件に当てはまる飛行となります。飛行カテゴリごとにカテゴリーⅠ、Ⅱ、Ⅲと分類され、カテゴリーⅠは申請不要ですが、カテゴリーⅡ、Ⅲは申請が必要、または機体認証を取得しておく必要があります。こちらについては判断フロー図が公開されています。
で、機体認証には第一種機体認証と第二種機体認証があります。レベル4飛行を行う場合は第一種機体認証を受けた無人航空機を一等無人航空機操縦士の資格を持つ人が飛行させる必要がある、という制度になっています。レベル3飛行の場合は単純に第二種機体認証があれば必ず許可不要、とはならなそうなのが少しややこしいところですね。
型式認証と機体認証についてですが、機体ごとに必要な認証が機体認証で、その機体の機種(モデル)が型式認証を持っていれば、機体認証を一部省略できますよ、という仕組みです。一般的には第一種機体認証を取る機種であれば、第一種型式認証を取得済みのモデルから選ぶよ、となると考えられます。
ここまで現在のドローンに関する制度を簡単に纏めました。制度化はされたものの、まだまだ普及に向けての道のりは長そうですね。そもそも物流ドローン、警備用ドローンなどは人手不足解消も目的の1つとなっていますが、そのドローンを1機飛ばすために高度な資格を持つ人材が必要になってしまうのであれば、あまり意味がありません。今後1操縦士で複数機を飛ばす技術開発なども進みそうではありますが、飛行ルートをある程度固定化できる場合は、完全自律飛行を認める必要があるのではないでしょうか?一方で、測量や災害時の活用などについては操縦士ありきで良いと思います。
日曜日, 6月 04, 2023
自衛隊に配備されている無人航空機のスペック
以前より報道されていますが、自衛隊に現在配備されている戦闘ヘリ、観測ヘリ、救難捜索機などが無人機に置き換わる計画となっています。
空自捜索機や陸自戦闘ヘリを廃止、無人機で代替へ…防衛予算効率化 読売新聞 2022/12/09
輸送用ヘリはもちろん残るので、自衛隊からヘリコプターが全てなくなるわけでは有りません。ただ、前線に出る有人のヘリはなくなりますし、更に遭難や監視系の固定翼機についても無人機に置き換わりそうです。
この置き換えはこれから進んでいくものですので、置き換わり先の無人機がすべて決定しているわけではありません。ただ、すでにいくつか導入済みの無人機もあります。今回はそちらを整理してみましょう。
陸上自衛隊が導入している無人偵察機がスキャンイーグル2です。以下のスペックはWikipediaからの引用です。(無印スキャンイーグルの性能かも)
- 全長:1.55m(電子光学センサー装備時)
- 全幅:3.11m
- 自重:13.1kg
- 最大離陸重量:22kg
- エンジン:3W 2サイクル単気筒エンジン(1.5馬力)×1
- 最大速度:148km/h
- 上昇限度:5,944m(最大)/4,572m(常用)
- 航続時間:24時間+
- ペイロード:3.4kg
- 価格:1機あたり2億5000万円
航空自衛隊が2021年より導入を開始した無人航空機がRQ-4 グローバルホークです。正確にはブロック30なのですが、実はこの機種はアメリカ空軍では2022年に全機退役し、後継機が稼働しています。3機導入されています。以下のスペックはWikipediaからの引用です。(RQ-4Aの仕様なので、大型化されたRQ-4Bはもう少し性能が良い可能性があります。)
- 全長:13.52m
- 全幅:35.42m
- 全高:4.64m
- 空虚重量:6,710kg
- 最大離陸重量:12,111kg
- ペイロード:907.2kg
- エンジン:ロールスロイス製AE3007Hターボファン×1
- エンジン推力:37kN
- 巡航速度:343kt
- 実用上昇限度:19,800m
- フェリー航続距離: 22,779 km
- 滞空時間:36時間
- 価格:3機で386億円億円(1機あたり128億円)
自衛隊ではなく海上保安庁が導入した無人航空機。現在3機体制で運用されています。海上保安庁ではシーガーディアンで取得した情報を自衛隊にも連携しています。以下のスペックはWikipediaからの引用です。(シーガーディアンの元になったMQ-9 リーパーのスペックと思われる。)
- 製作: ジェネラル・アトミックス
- 操縦員(遠隔操作): 2名(パイロット1名、センサー員1名)
- エンジン: ハネウェル TPE331-10Tターボプロップエンジン、出力950 SHP(712 kW)
- 最大燃料搭載量: 1,815 kg (4,000 lb)
- 長さ: 11 m (36 ft)
- 翼幅: 20 m (66 ft)
- 空虚重量: 2,223 kg (4,900 lb)
- 最大離陸重量: 4,760 kg (10,500 lb)
- 最高高度: 15,200m (50,000 ft)
- 運用高度: 7,600m (25,000 ft)
- 滞空時間: 14〜28時間
- 航続距離: 5,926 km (3,200 nmi, 3,682 mi)
- ペイロード: 3,750 lb (1,700 kg)
- ハードポイント:6つ
- 最高速度: 482 km/h (300 mph, 260 knots)
- 巡航速度: 276-313 km/h (172-195 mph, 150-170 knots)
- レーダー: AN/APY-8 Lynx II
- センサー: MTS-B
- 価格:1332万5,000USドル(海上保安庁は諸々40億円の契約)
ざっと書き出してみましたが、グローバルホークとシーガーディアンの価格差が結構ありますね。両方ともかなりの価格ですが、それでも有人機に比べると安いのかもしれません。ずっと飛べますし。
スキャンイーグルを導入している陸上自衛隊については今後国産無人機メーカーのフジ・インバック製無人機の導入が予定されています。
国防需要を狙う「固定翼型無人機」、滞空40時間を目指す ニュースイッチ 2022年06月03日
日本は島国ですので、監視すべき海域、海岸沿いは非常に多いです。大型の無人機はコストの問題で数を揃えることが難しいので、ある程度の性能の小型機で数を揃え、常に各海域を監視しているくらいが良いのではないかと思います。(操縦士を増やす必要などの課題はありますが、そこは自律飛行の技術を駆使して頂ければと。)その方が海難事故などの初動対応の迅速化にも繋がりますし。そこにはフジ・インバックの無人機をぜひ活用して欲しいですね。もちろん、大型機や攻撃用無人機の方も国産化を図って欲しいと思います。無人機が増える分、国産の有人機が減るわけですし。今後の海上保安庁、自衛隊の導入無人航空機に注目ですね。
金曜日, 6月 02, 2023
無人ドローン レベル4飛行向け型式認証
ちょうど昨日以下の記事を書いたのですが、
本日、無人ドローンのレベル4飛行向けの型式認定に関する記事がでました。
日本初のレベル4飛行を実現したACSLの型式認証プロジェクト ドローンジャーナル 2023年6月1日
無人航空機の飛行レベルはレベル1~4に分かれているのですが、レベル1,2が目視内飛行で、3からが目視外飛行となります。レベル3と4の違いは3は無人地域のみ可能で、4は有人地域(住宅地の上など)の飛行となります。従来レベル4は禁止されていましたが、2022年12月5日より解禁となりました。ただし、レベル4飛行を行うためには「第一種型式認証・第一種機体認証」が必要となります。正確にはドローン利用者が行う機体認証だけでも良いのですが、ドローンメーカーが型式認証を取得することで、機体認証の項目が省略される仕組みになっているため、実質的にはドローンメーカー側での型式認証が必須となっています。
そして、現時点でこのレベル4飛行のための型式認証を受けているのはACSL製のACSL式PF2-CAT3型のみとなります。
ACSL、日本初、レベル4対応の無人航空機の第一種型式認証書を国土交通省より取得 ACSL 2023.03.13
航空機の型式認定と比べてしまうとあれですが、ドローン開発としてはかなり大変そうですね。今回は費用が10億円程度かかったそうです。1000台出る機種であれば1台あたり100万円となりますが、100台しか売れなかれば1000万円となりドローンとしてはかなり高額にせざる得なくなります。そう考えると今後もレベル4対応のドローンは数から多くても十数機種ほどしかでなさそうですね。小規模ベンチャーではおいそれと手を出すことは難しそうです。
もう1つ気になるのは今回のモデルはバッテリーのみで稼働するタイプですが、空飛ぶ軽トラとも呼ばれるペイロード50kgで航続距離50km対応のモデルだとエンジン稼働のモデルになってきます。そうした場合、求められる安全基準がより高くなるため開発費用が更に高額になりそうです。まあ、元々大型のモデルは5000万円~数億レベルの価格になってきそうなので、10億+α程度のコスト感であれば大丈夫、となる可能性もあります。
川崎重工の無人ヘリK-RACERも型式認定が10億円くらいでできれば良し、という感じでしょうが、あちらはサイズ感が全く違うので難しいかもしれません。いや、有人地域を基本飛ばない想定なので、もしくは。今後の大型無人航空機の動向に引き続き注目ですね。
川崎重工の無人ヘリK-RACERは飛び立てるのか?
最近は無人ドローンを物流に利用しようとする検証などが進んでいますが、無人ドローンの場合、最大離陸重量が150kg未満&運べる荷物(ペイロード)が50kg未満の機種が利用される場合が多いです。これはこのブログでも以前取り上げましたが、最大離陸重量が150kgを超えると無人機でも航空機扱いとなり、耐空証明などが必要で商用利用可能な機種を開発するハードルが一気に上るためです。
一方で、この最大離陸重量が150kg未満、という制限を超える無人機も開発中ではあります。それが川崎重工が開発する無人ヘリK-RACERです。この機体は200kgの荷物を運ぶことができます。
川重が無人ヘリに「Ninja H2R」のモンスターエンジン、山小屋に200kg 日経XTECH 2022.08.12
川崎重工としてはK-RACERを利用した物資運搬サービスを2026年に開始したいとしています。ただ、前述の通り航空機扱いになるので、ハードルが高い耐空証明が必要となります。この認定プロセスをなんとかならないか、という議論が規制改革推進会議が設置したスタートアップ・イノベーションWGで行われていました。
まず、第4回スタートアップ・イノベーションWG(令和4年11月29日)で課題定義され、
第4回 スタートアップ・イノベーションワーキング・グループ 議事次第
その後、第12回スタートアップ・イノベーションWG(令和5年4月21日)でフォローアップが行われています。
第12回 スタートアップ・イノベーションワーキング・グループ 議事次第
それぞれ議事録も公開されています。両方読みましたが、結構面白いです。
ざっくりまとめると、以下のような要望です。
- 川崎重工としては無人ヘリを利用した山岳地域向けの輸送サービスを始めたい
- 有人ヘリパイロット高齢化による人手不足解消のために必要なサービスである
- ただ、市場規模は50億円程度である
- 数百億円程度かかる航空機向け耐空証明取得が必要になると、事業として成り立たない
- 従来の耐空証明取得は有人であることを前提にしているため、条件を緩和できないか
- 無人なので墜落しても乗員が死亡/負傷することもないし、山岳地域だけしか飛ばないので墜落時の重大事故リスクも少ない(山火事等のリスクはある)
一方で国土交通省側も飛行するのであれば安全確認は必要であるというスタンスは崩しておらず、現時点では以下のようになっています。
- EASA(欧州航空安全機関)が出している最大離陸重量が600kg未満の無人機に対する規制緩和案(まだ確定していない)などを参考に、必要な基準を国土交通省航空局と川崎重工で調整 ※K-RACERの最大離陸重量は650kgだけど
- 今年度(令和5年度)内に川崎重工が耐空証明申請を出せるようなスケジュール感で勧めている(川崎重工としては本当は上期に出したいけど)
個人的には国交省側も比較的柔軟に対応している気がしますが、どうなのでしょうか?スケジュール感については、eVTOL関連で航空局が手一杯になっている可能性もありますね。
空を飛ぶものなので安全性は必要なのはもちろんではあるのですが、無人機なので有人機よりも事故発生率が高いのは妥協し、いかに重大事故にならないようにするか(例えば墜落しそうになったらパラシュートを利用して軟着陸するとか)を考える必要がありますよね。そうしないと価格が高くなりすぎて、物流サービスとして成り立たなくなってしまいます。
K-RACERは非常に楽しみにしているものの1つなので、早く実用化して欲しいです!気になるのは他のサービス、海外への展開計画がないのかです。まず国内で山岳での輸送サービスを開始することに注力しているのだとは思いますが、それ以外でも色々と活躍(災害時の対応、遭難者捜索など)できそうな気もしますし、海外展開も今であればできる気もします。後は自衛隊への提案がないのか、とかですかね。ちょっと航続距離100kmというのが短いかもしれませんが。
ちなみに川崎重工については、K-RACERを開発している航空宇宙カンパニーではなくカワサキモータースが開発しようとしている無人固定翼機の方も注目しています。
「Ninja H2R」エンジンベースの固定翼無人機、Kawasakiが防衛展で構想披露 日経XTECH 2023.03.24
無人航空機構想について カワサキモータース 2023年3月10日
こちらは更に大きい機体になるので認証を取るのが大変な気がしますが、ぜひ実用化して欲しいですね!
火曜日, 3月 28, 2023
無人航空機(ドローンなど)の重量に関する制限事項
eVTOLがマイブームなのですが、色々と調べるうちにドローンの活用、課題も色々とあることが分かりました。今回は無人航空機の重量に関する制限事項をまとめてみます。
100g未満(小型無人機)
こちらは法律上は航空機ではなく、「小型無人機」です。小型無人機であり、航空機ではないため「航空法」の対象となりません。元々は200g未満だったのですが、2022年6月20日の航空法改正に伴い100g未満となりました。
航空法の対象ではありませんが、どこでも飛ばして良いというわけではなく、飛ばす場所の定められたルールを守ることが重要です。
この重さのドローンだと基本的にホビー用途になると考えられます。もちろん撮影等もできるモデルはありますが、性能が限られているため本格的な用途は難しいと考えられます。
100g以上(無人航空機)
2022年6月20日の航空法改正により、100g以上の無人航空機は登録が必要になりました。これは利用する個人、団体を登録するわけではなく、機体を登録する制度になります。従って従来趣味でラジコン飛行機を複数台持っていた人は全て登録する必要があり(飛ばす場合)、結構大変なことになったと思われます。
ドローンとしてのレンジはこのあたりからが多いのではないでしょうか。また、無人航空機に対する規制事項が航空法で定められています。
全ての無人航空機の機能及び性能に関する規制 すぎな行政書士事務所
【具体的な機種】
- 概要:SONY製空撮用ドローン
- 製造元:SONY
- 動力:バッテリー(電力)
- 最大離陸重量:約7.0kg
- 最大ペイロード重量:約2.5kg
- 最大飛行時間:約22分 ※ペイロード無しの場合
- 最大速度:25m/s(90km/h)※ペイロード無しの場合
- ホバリング限界高度:2,500m
- 価格:110万円
- 概要:国産ドローンメーカーACSL製の物流用途向けドローン
- 製造元:ACSL
- 動力:バッテリー(電力)
- 最大離陸重量:25kg
- 最大ペイロード重量:5㎏
- 航続距離:20㎞ ※ペイロード3.5kg時と思われる。
- 最大速度:10m/s(36km/h)
- ホバリング限界高度:不明
- 価格:300万円
25kg以上(無人航空機)
最大離陸重量25kg以上(本体、バッテリー・燃料など、荷物を含め25kg以上離陸させる能力がある無人航空機)については、前述の規制に更に追加の規制があります。具体的には堅牢性、耐久性やフェールセーフ機能です。
最大離陸重量25kg以上の無人航空機の機能及び性能に関する規制 すぎな行政書士事務所
【具体的な機種】
- 概要:ヤマハ発動機の大型無人ヘリ
- 製造元:ヤマハ発動機
- 動力:エンジン(レギュラーエンジン)
- 最大離陸重量:110g(120kgのモデル有)
- 最大ペイロード重量:33kg(50kgのモデル有)
- 航続距離:90km
- 最高速度:72km/h
- ホバリング限界高度:2,800m
- 価格:不明(レンタル/業務委託のみ 2017年4月〜)
- 概要:ロケット開発などを手掛けるIHIエアロスペースが開発中の大型ドローン
- 製造元:IHIエアロスペース
- 動力:エンジン(ハイオクガソリン)
- 最大離陸重量:149kg
- 最大ペイロード重量:47kg
- 航続距離:50km
- 巡航速度:60km/h
- ホバリング限界高度:3000m
- 価格:不明(開発中)
- 概要:eVTOLを開発している国内ベンチャーSKYDRIVE開発の運搬用ドローン
- 動力:バッテリー(電力)
- 最大離陸重量:85kg?
- 最大ペイロード重量:30kg
- 航続距離:2km(1km往復の運用)
- 巡航速度:36km/h(10m/s)
- ホバリング限界高度:不明
- 価格:不明
150kg以上(無人航空機)
最大離陸重量が150kg以上を超えると、今度は航空法ではなく航空機製造事業法の規制対象になります。航空機製造事業法では航空機の製造、修理を行う事業、設備が許可制となり、航空検査技術者による確認も行われます。ということで、製造、運用についてかなりハードルが上がるわけですね。そのため、物流用ドローンなども基本的に150kg未満を目安に開発されています。
なお、元々は100kg以上だったのですが、平成25年度に農業用無人ヘリなどの活用推進のため150kg以上に緩和されました。また、本規制については既に規制緩和が多数要望されており、今後見直しが行われる可能性があります。
【具体的な機種】
- 概要:川崎重工が開発中の無人ヘリ/2026年に量産予定
- 製造元:川崎重工(川崎重工業航空宇宙システムカンパニー)
- 動力:エンジン
- 最大離陸重量:650kg
- 最大ペイロード重量:200kg
- 航続距離:100km程度
- 巡航速度:不明
- ホバリング限界高度:3,100m
- 価格:不明(開発中)
- 概要:EHang開発のeVOLT「EH216」の物流輸送用版
- 製造元:億航智能(EHang)
- 動力:バッテリー(電力)
- 最大離陸重量:不明
- 最大ペイロード重量:250kg
- 航続距離:30km ※設計飛行距離
- 最高速度:130km/h
- ホバリング限界高度:不明
- 価格:約4,800万円
(参考資料)
無人航空機を巡る状況と航空機製造事業法の制度について 2023年1月 製造産業局航空機武器宇宙産業課