先日以下の記事を書きました。
K-RACERは今後の展開は色々と考えられそうですが、まずは山岳地帯の物資輸送を目的として開発が進められています。このジャンル自体がニッチなのでそこまでの競合は現れなさそうではありますが、類似する航空機にどのようなものがあるのか、また違いは何かが気になったので、比較してみたいと思います。
まずは、川崎重工が進める無人機、K-RACER-X2です。
- 概要:川崎重工が開発中の無人ヘリ/2026年に量産予定
- 製造元:川崎重工(川崎重工業航空宇宙システムカンパニー)
- 動力:エンジン
- 最大離陸重量:650kg
- 最大ペイロード重量:200kg
- 航続距離:100km程度
- 巡航速度:不明
- ホバリング限界高度:3,100m
- 価格:不明(開発中)
K-RACER-X1からペイロードが増加し、200kgとなりました。ちなみに現在はK-RACER-X2ですが、量産機はK-RACER-X3とか4とかになったりするのでしょうか。この無人ヘリのポイントは最大離陸重量が600kg程度、ペイロードが200kg、航続距離が100km程度の3つです。この3つと類似するモデルを比較していきます。
eVTOLとの比較
ペイロードが200kgというと、ちょうどeVTOLの2人乗りくらいにあたります。そこで、まずは現在開発が進められている2名乗りのeVTOLと比較しています。このクラスのeVTOLはマルチローター機が多いので、ヘリコプターと性能は似たものになりそうです。またこのクラスのeVTOLは物流用途にも発展する計画がすでにあります。
K-RACERと比較した場合のeVTOLのメリットとデメリットを比較してみたいと思います。
メリット
- eVTOL自体が有人航空機として型式認証を取得するため、飛行に制限がない(K-RACERは恐らく無人地帯のみなどの制限がかかる)
- eVTOL自体の市場が大きくなると考えられ、出荷台数が多くなる見込み。そのため、K-RACERと比較し、機体単価を抑えることができると考えられる。
デメリット
- 無人飛行について法整備、許可が出るのは恐らく2030年代(K-RACERは2026年のサービス開始を目指している)。
- 基本的にバッテリー稼働なので航続距離が短く、充電のために電力が必要だが山岳部で電力を確保する(特に高速充電装置)ことが難しい。
具体的な機種(モデル)を上げてみます。
- 概要:EHang開発のeVOLT「EH216」の物流輸送用版
- 製造元:億航智能(EHang)
- 動力:バッテリー(電力)
- 最大離陸重量:不明
- 最大ペイロード重量:250kg
- 航続距離:30km ※設計飛行距離
- 最高速度:130km/h
- ホバリング限界高度:不明
- 価格:約4,800万円
2人乗りのeVTOLであるEH216は実用化に向けて最も進んでいるeVTOLの1つです。実際、日本国内でも何度もテスト飛行しています。ただし中国メーカーということで、米国、欧州の航空当局が型式認証をスムーズに出すかが課題になりそうです。課題はあるものの、他社のモデルと比較すると圧倒的なコストパフォーマンスなので、エントリー機として、特に安全性にある程度妥協できる物流用途では普及しそうな気がします。
- 概要:国内ベンチャーSkyDriveが開発する2人乗りeVTOL
- 製造元:SkyDrive
- 動力:バッテリー(電力)
- 最大離陸重量:不明
- 最大ペイロード重量:不明(2名)
- 航続距離:10km
- 最高速度:100km/h
- ホバリング限界高度:不明
- 価格:2億円
国内ベンチャーSkyDriveが開発中のeVTOLです。2025年の大阪万博での飛行を予定していますが、現時点で開発状況がよく分からないので間に合うのか?というのと、海外製と比較しコスト、航続距離に課題があると考えられるモデルです。今のところ物流用としてのリリースはありませんが、人を運ぶ用途だけだと広がりが限られるので、無事開発が進んだ暁には物流用途も発表されると予想しています。
- 概要:ドイツのeVTOLベンチャーが開発する輸送用大型ドローン
- 製造元:Volocopter
- 動力:バッテリー(電力)
- 最大離陸重量:不明
- 最大ペイロード重量:200kg
- 航続距離:40km?
- 最高速度:110km/h
- ホバリング限界高度:不明
- 価格:不明
- 概要:ロビンソン・ヘリコプターが開発する小型ヘリコプター
- 製造元:ロビンソン・ヘリコプター
- 動力:エンジン
- 最大離陸重量:1370Ib(622Kg)
- 最大ペイロード重量:515lbs(233kg) ※乗員数2
- 航続距離:324km
- 最高速度:83kt(153.7km/h)
- ホバリング限界高度:14,000f(4,267m)
- 価格:4,500万円
- 概要:R22を拡大型として開発されたヘリコプター
- 製造元:ロビンソン・ヘリコプター
- 動力:エンジン
- 最大離陸重量:2,400lbs(1088Kg)
- 最大ペイロード重量:958lbs(434kg) ※乗員数4
- 航続距離:621km
- 最高速度:204 km/h
- ホバリング限界高度:14,000f(4,267m)
- 価格:6,400万円
- 概要:ヤマハ発動機の大型無人ヘリ
- 製造元:ヤマハ発動機
- 動力:エンジン(レギュラーエンジン)
- 最大離陸重量:110g(120kgのモデル有)
- 最大ペイロード重量:33kg(50kgのモデル有)
- 航続距離:90km
- 最高速度:72km/h
- ホバリング限界高度:2,800m
- 価格:不明(レンタル/業務委託のみ 2017年4月〜)
- 概要:ロケット開発などを手掛けるIHIエアロスペースが開発中の大型ドローン
- 製造元:IHIエアロスペース
- 動力:エンジン(ハイオクガソリン)
- 最大離陸重量:149kg
- 最大ペイロード重量:47kg
- 航続距離:50km
- 巡航速度:60km/h
- ホバリング限界高度:3000m
- 価格:不明(開発中)
- 概要:会沢高圧コンクリートが開発した大型ドローン
- 製造元:アラセ・アイザワ・アエロスパシアル合同会社
- 動力:エンジン
- 最大離陸重量:310kg
- 最大ペイロード重量:150kg(積載量+燃料重量で200kg以下)
- 航続距離:不明(ペイロードなし:航続時間6時間以上/ペイロード150kg:航続時間2時間以上)
- 巡航速度:不明
- ホバリング限界高度:不明
- 価格:不明(開発中)
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