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金曜日, 11月 08, 2019

ニフクラ Oracle DBを稼働させることができるニフクラOVMの提供を開始

ニフクラでOracle Databaseを稼働することができる、OVMという環境の提供が開始されました。
OVM ニフクラ

以前より何度か本ブログでもOracle Databaseをクラウド環境に持ち込むことの難しさを取り上げています。
クラウド環境でOracle Databaseを利用するには

取り敢えず現状Oracle Databaseをクラウド上で動かすには、Oracle Cloud(OCI)を利用するか、許可されたクラウドサービスであるAWS、Azureを利用する、といった方法が基本になります。それ以外に、クラウド事業者が独自に対応させているOracle Database用の環境を利用する、という方法も実はあり、国産クラウドだと幾つかそういった環境を提供しているところがあります。

ニフクラも以前はやっていたのですが、色々あってほぼ新規はない状態でした。が、今回新たにOracle Database専用の環境の提供を始めたようです。
恐らく仮想基盤をOracle Linuxで作っているので、オラクル社も文句は言えないですよね?ということだと思われます。

本環境の良い点、悪い点をざっと纏めておきます。(個人的な所感です。)

【良い点】

  • 4vcpuまでSE2であれば1プロセッサ分のライセンスで良い(AWS/Azureと同じ)
  • 11gR2から19cまで対応している(ただし、OSはOracle Linuxのみ)
  • RAC構成を組むことができる(AWS/AzureはRACを組むことができない)

【悪い点】

  • OSがOracle LinuxとWindows Server 2012/2012 R2しか選べない(今更WinSv2012はないので、基本Oracle Linuxになる)
  • SLA対象外
  • メンテナンスで停止することがある(RAC構成を組めば止まらない)
  • サーバ操作が申請制(ホスティングみたいな運用)
  • スペックが低いと割高(CPU少なめ、メモリ多めだとまあまあ?)

ということで、OSがOracle Linuxという部分がネックではありますが、そこが問題なければ検討の余地はあるかと思います。AWS、Azureと違ってRACを組むことができるのはメリットですね。Oracle DBライセンスを含めると、かなり高額になるとは思いますが。
ただ、結構費用がかかりますよね。スペックが変動する可能性がないのであれば、もうOracle DB部分はホスティングとかでいいんじゃない?という気もします。

本当に、オラクルがVMwareとかHype-V環境で自由にOracle Databaseを使って良いよ、ライセンスは仮想サーバに紐づくよ、と言ってくれるだけでみんな幸せになれるんですけどね。。。まあ、オラクルによるOracle Databaseを人質にしたOracle Cloud(OCI)への囲い込み作戦が絶賛継続中ですので、そんなのはオラクルが倒産しかけない限りはないでしょうけどね(哀)

火曜日, 9月 17, 2019

[Oracle OpenWorld 2019]Oracle Cloudに関する発表色々

現在サンフランシスコで開催されている「Oracle OpenWorld 2019」にて、Oracle Cloudに関する興味深い発表がいくつかありました。

1つ目
[速報]Oracle CloudがSQL ServerやWindows Serverをサポート。Azureとの相互接続も欧州とアジアへ拡大。Oracle OpenWorld 2019 Publickey 2019年9月17日

早ければ来年にも、日本国内でOracle CloudとAzureの相互接続が実現しそうです。先日東京で開催された「Modern Cloud Day Tokyo」でもこれに関して年内になにか発表できれば、という話だったので、正式に発表されるのも意外と近いかもしれません。

Oracle Cloudイベント『Modern Cloud Day Tokyo』が開催されていました  8月 12, 2019

2つ目
[速報]OracleとVMwareが提携。VMware環境でのOracleをサポート開始。「Oracle Cloud VMware Solution」も発表。Oracle OpenWorld 2019 Publickey 2019年9月17日

これはOracleがVMware環境上でのOracle Databaseの動作を正式サポートする、という発表と、Oracle Cloud上でVMware Cloud Foundationを利用したVMware環境を利用できるようにする、という2つの発表です。前者についてはまだサポートしてなかったのかよ!という話ですが、後者は興味深いですね。これでAWS、Azure、GCPに続き、Oracle Cloud環境でもVMwareを利用できるようになります。まだ正式にサービスを開始しているのはAWSくらいですが、このクラウド時代にこれだけ存在感を残しているVMwareは凄いと思います。自社クラウドを捨てた戦略が正しかったのかもしれません。VMware Cloud Foundationを利用したクラウド環境でのVMware利用については、別途記事にしようと思っています。(ずっと思っているけれど、出来ていない...)

3つ目
[速報]Oracle Cloudを期限なく無料で使える「Always Free」発表。1GBのVM2つ、Autonomous Database 2つなど提供。Oracle OpenWorld 2019 Publickey 2019年9月17日

仕事抜きにすると、これが一番興味深いかもしれません。無期限無料でVMが利用できるのはGCPくらいですが、それでも1台でメモリ600MB、ディスク30GBです。AWS,AzureについてはVMの無期限無料枠はありません。そこをメモリ1GBのサーバ2台まで、ディスクも合計100GBを無期限無料枠というのは大盤振る舞いと言えるのではないでしょうか。更に、他のクラウドでは永久無料枠にないRDB(20GB)も2つ利用できます。凄いですね!
ただ、Oracleなのでいつサービスを止めたり仕様を変えたりするかわからない、というリスクは伴います。細かい情報は分からないのですが、利用できるようになったとしても暫くは開発環境にでも使わせて頂ければ、という感じでしょうか。

4つ目
[速報]Oracle Autonomous Linuxリリース。ダウンタイムなしで自律的にパッチ適用、チューニング実行、RHELと100%互換など。Oracle OpenWorld 2019 Publickey 2019年9月17日

Oracleは以前からAutonomous Databaseで運用の自動化を謳っていましたが、今度はOSの運用自動化ツールを提供するようです。なんか凄い気はしますが、OSってユーザが色々弄れてしまうので、本当にどこまでできるのかな?というのが気になるところです。仕事で本番環境にすぐに利用する気は起きないですが、個人的には興味深いですね。コンテナが流行っている状況ではありますが、まだまだサーバOSをそのまま利用している環境はたくさんあります。こういった技術が広がると、サーバOSの位置づけ自体がまた変わるかもしれませんね。

土曜日, 6月 15, 2019

マイクロソフト、オラクルがMicrosoft AzureとOracle Cloudの相互接続サービスを発表

先週のニュースですが、マイクロソフトとオラクルがMicrosoft AzureとOracle Cloudを相互に接続して利用できるようにすると発表しました。

マイクロソフトとオラクル Microsoft Azure と Oracle Cloud の相互接続を発表 日本マイクロソフトJapan News Center 2019年6月10日
Microsoft and Oracle to Interconnect Microsoft Azure and Oracle Cloud Oracle Jun 5, 2019

まずは米国(Azureで言うところのUS Eastリージョン)からサービスがスタートし、その後、他のリージョンにも広げていく計画のようです。
両社はクラウドの相互接続に関連して、次の協業を明らかにした。 
  • AzureとOracle Cloudにまたがる統合的なアイデンティティ/アクセス管理(IAM)。これにより、シングルサインオンと、ユーザープロビジョニングの自動化が図れるという。また、Oracleのアプリケーションが、AzureのActive Directoryをアイデンティティプロバイダーとして利用できる機能を、早期プレビューとして提供開始したという。 
  • Oracle Cloudで動作するOracleのデータベース(RAC、Exadata、Autonomous Database)と、Azure上で動くカスタムアプリケーションあるいはOracleのパッケージアプリケーション(JD Edwards EnterpriseOne、E-Business Suite、PeopleSoft、Oracle Retail、Hyperion)の組み合わせに対するサポートの提供。これらのOracleアプリケーションは、Oracle Cloud上のOracleデータベースとの組み合わせを前提としたAzure上での動作について、Azure側から認証されることになるという。
MicrosoftとOracle、AzureとOracle Cloudを相互接続 @IT 2019年06月06日

ということなので、WEB/APサーバ、もしくはAppServiceなどで構築したフロントはAzureに配置、データベースはOracle Cloud内の各DBaaSを利用するという構成がサポートありで作れるようになるわけです。これは一定のニーズがあると思います。相互接続がどのくらいのネットワークになるのか、特にレイテンシーがどうなるかが気になるところではありますが、まずは米国での展開の状況を見つつ、情報収集をしたいと思います。

Oracle Cloudについてはこのブログでも何度か取り上げています。
クラウド環境でOracle Databaseを利用するには
2018-19年クラウド動向所感まとめ
Oracle Cloud日本リージョン開設!&Oracle社に対する不満

Oracle Cloudは他のメジャークラウドと比較するとOracle Databaseくらいしか強みがなかったので、このAzureとの提携は良い判断だとは思います。Oracle側から見るとデータベースも後からAzure側に持っていかれるリスクもあるわけです。しかし、プラットフォームとしてのクラウドについては勝負がつきつつあるので、手遅れになる前に決断をしたのでしょうね。この辺り、米国の企業は凄いですよね。日本企業だとまだ現状維持で行けると判断し、対応を始めた頃には手遅れになっていることが多い気がします。

一方でマイクロソフトは最近自社のサービスのみに囚われないで、サービスの拡充を進めています。
Microsoft、Azure環境上でVMware基盤を構築できる「Azure VMware Solutions」を発表!
今回のOracle Cloudとの提携もその一環でしょう。

Oracleにしてもマイクロソフトにしても、シャアトップのAWSへの対抗策としての提携、という側面も大きいと思います。シェアトップのAWSに2位のマイクロソフトがどこまで追いつけるのか、そこにどれだけOracleが関われるのかというのが今後のクラウドプラットフォームレースの注目ポイントですね。

1点懸念としては、こうなってくるとOracleがOracle CloudのIaaS部分の開発に力を入れなくなると考えられます。(そういうところも決断が早いので。)そのため、日本でも早めに相互接続を実現して欲しいですね!

日曜日, 5月 19, 2019

Oracle Cloud日本リージョン開設!&Oracle社に対する不満

予定通りOracle日本リージョン(東京リージョン)が開設しました。

 日本オラクルは2019年5月8日、Oracle Cloudの東京リージョンを開設し、提供を開始したと発表した。同社が開発した「Generation 2 Cloud」(以下、Gen2 Cloud)で構築され、自律型データベース「Oracle Autonomous Database」などのサービスを利用できる。
このニュースは複数媒体が取り上げていますので、ご紹介しておきます。

大阪リージョンも6ヶ月以内(ということは少なくとも年内)に開設予定です。これも予定通りですね。これで国内だけでDR環境を構築できるようになりました。

しかしまあ、個人的にはもうあまりOracleとは関わり合いにはなりたくないので、積極的には使いたくないですね。富士通Oracle Cloud環境も残念な事になりそうですし、某所から入手したOracle自慢のOracle Autonomous Databaseの性能検証結果もなんか安定してなさそうだし、オンプレ版Oracle Databaseのライセンスについても19cからSE RACが廃止され、既存のSE RACユーザは今後EEに上げるかRACを諦めるかの選択を迫られます。

なんかもう信用出来ないですよ。確かにクラウド時代の生き残り戦略を考えると、オンプレOracleを自社のOracle Cloud環境に無理にでも引っ張ってくるというのが良い選択肢な気もします。しかし、それはOracle側の都合だけで、ユーザ側は選択肢を狭められメリットがありません。例えOracle Cloudを次期基盤に選択したユーザでさえ、その次の次はOracleを避けようとするでしょう。Oracleに自社基盤を振り回されるリスクがありますからね。ましてや、Oracle Cloudを選択しないユーザはOracle Databaseすら避けると思います。

少し前にこんな記事がありました。
OracleのCEOマーク・ハード氏が、同社の自立型データベース「Oracle Database 18c」の導入メリットを語った。同製品を導入すれば、「必要な管理者はゼロになる」という。
これは勿論Oracle寄りの記事なので、Oracle Databaseの自律が進んでOracle管理者が失業する、という話を取り上げています。しかし、最近自分はOracle Databaseのシェアが減り、仕事がなくなってOracle管理者が失業すると思うようになってきました。

後半はずっとOracleに対する不満になってしまいましたが、まあ今はそんな気分なので記録としてこのままにしておきます(笑)

土曜日, 9月 01, 2018

クラウド環境でOracle Databaseを利用するには

以前、一度IaaS環境でのOracle利用について纏めました。
【クラウドサービス動向その3】IaaS環境上でOracleを利用するには 2016年10月24日

それからかなり時間も立ったので、再度最新の状況について整理しておきたいと思います。

まず前提として、Oracle Database(以下、Oracle)を冗長化された仮想環境で利用することはなかなかハードルが高いです。というのも、Oracleのライセンスカウントは基本的に物理プロセッサにかかるため、冗長化された仮想環境の場合、Oracleがインストールされている仮想マシンが稼働する可能性のある全ての仮想ホスト(物理サーバ/プロセッサ)に対してライセンスの購入が必要になります。

サーバー仮想化ソフトウェア( Oracle VM 、VMware、Hyper-Vなど)を使用した場合のライセンスカウントはどのようになりますか? 日本オラクル 製品価格/ライセンス情報 FAQ
Q.サーバー仮想化ソフトウェア( Oracle VM 、VMware、Hyper-Vなど)を使用した場合のライセンスカウントはどのようになりますか? 
A.VMware、Hyper-VなどはSoft Partitioningの分類となり、Oracle製品がインストールされる(又は稼働する)物理サーバーに搭載されている全ての物理プロセッサがライセンスカウントの対象となります。
※Oracle製品がインストールされる(又は稼働する)仮想マシン(VM)の数は、必要ライセンス数には関係ありません。
 この稼働する可能性のある仮想ホストというのが厄介です。例えば、5台の仮想ホストがそれぞれ2プロセッサ搭載しているとします。この仮想ホスト5台でクラスタを組んだ場合、1台でもOracleをインストールした仮想マシンが配置されると、5台✕2プロセッサ分のライセンスを購入する必要があります。これはSE2の場合で、EEだとコア数で計算するので更に高額になります。ただ、これはまあ分かります。(納得はいきませんが)

では、このOracleライセンス問題があるので、仮想ホスト5台ではなく2台と3台でクラスタ構成にし、仮想ホスト2台の方でOracle仮想マシンを稼働させた場合はどうでしょうか?この場合、2台✕2プロセッサライセンスで良い気がしますよね?ところがどっこい、例えばこの仮想ホスト5台が1セットのストレージで接続されていたりすると、HA以外の方法、例えばVMwareの場合はStorage vmotion等々で移動することできるよね、ということでやはり5台✕2プロセッサ分必要になるのです。ただ、これはOracle側の承認のさじ加減もかなりあるのですが、正直最近はとても厳しいです。段々と主流になりつつあるHCIなどは更に構成が1つとして見なされる可能性が高いと思われます。

ということで、そもそも冗長化された仮想環境でOracleを利用することが難しくなっています。なお、このルールはSoft Partitioning(VMware、Hyper-Vなど)に適用され、、Hard Partitionin(Oracle VM Server、SAN Boot構成など)には適用されません。
Oracle社の俺様ルールな気もしますが、そうなっています。

Soft PartitioningとHard Partitioningの違いは以下の資料をご参照下さい。
Oracle Partitioning Policy

ここまでの説明で、冗長化された仮想基盤の塊であるクラウド環境でOracleを利用することのハードルの高さをご理解頂けたのではないでしょうか。では、ここから本題のクラウド環境でOracleを利用する方法を纏めていきます。
なお、ここで記載している事項は2018年9月1日現在の内容となります。特にライセンスの考え方については変わることがあるので、必ず購入元にご確認をお願いします。

1.Oracleが承認したクラウド環境(AWS、Azure)を利用する

クラウドに関わっている方であればご存知かとは思いますが、超メジャークラウドであるAWSとAzureについてはOracleを仮想マシン上で利用することが可能です。AWSに至っては、DBのマネージドサービスであるRDSでOracleも提供しています。
なぜこの2つのクラウドがOracleを利用することが出来るのかというと、Oracle社が認めているからです。

クラウド・コンピューティング環境における Oracle ソフトウェアのライセンス Oracle
本資料は、以下のベンダーが提供するクラウド・コンピューティング環境に適用されます:
Amazon Web Services  Amazon Elastic Compute Cloud (EC2), Amazon Relational Database Service (RDS)
Microsoft Azure Platform
(以下、これらを「承認されたクラウド環境」と表記します)
本ポリシーは、これらのOracle製品プログラムに適用されます。
承認されたクラウド環境におけるOracleプログラムのライセンス許諾の際には、以下のようにカウントする必要があります。
  •  Amazon EC2 and RDS  ハイパースレッディングが有効の場合 2 vCPU = 1 Processor,ハイパースレッディングが無効の場合 1 vCPU = 1 Processor
  • Microsoft Azure  ハイパースレッディングが有効の場合 2 vCPU = 1 Processor,ハイパースレッディングが無効の場合 1 vCPU = 1 Processor
なお、承認されたクラウド環境において Oracle Processor ライセンスをカウントする場合、Oracle Processor Core Factor Table は適用されません。 
製品名称にStandard Edition One、Standard Edition 2もしくはStandard Editionが付くプログラムが許諾される場合、インスタンスのサイズに基づく価格設定がなされます。承認されたクラウド環境のインスタンスが4 Amazon vCPU以下の場合、もしくは、4 Azure vCPU以下の場合は、1ソケット、すなわち1 Processorとしてカウントされます。承認されたクラウド環境のインスタンスが4 Amazon vCPUもしくは4 Azure vCPUを超える場合は、Amazon vCPU数もしくはAzure vCPU数を4で割り、小数点以下を切上げてソケット数を計算します。
ハイパースレッディングが有効かどうかは、仮想マシンのインスタンスタイプによって異なりますので、確認が必要です。例えば、Azureの場合はDSv2までは無効でしたが、DSv3からハイパースレッディングが有効になりました。

このようにAWS、Azure環境上ではOracleを利用することが可能です。ライセンスの数え方が変わったり、AzureのOracleライセンス込みのイメージが急遽停止になったりなど色々騒ぎになったこともありましたが、現在はこの様になっています。ただ、RACなど一部の機能は利用できないため、大規模なOracle環境、高可用性が必要なOracle環境を動かすのはあまりオススメしません。

2.Oracle Cloudを利用する

Oracle社としての大本命は、Oracle社のクラウドサービスであるOracle Cloud環境でOracleを利用してもらうことでしょう。Oracle Cloud環境ではIaaS上でも勿論Oracleライセンスを持ち込み利用することができますし、Oracleのマネージドサービス(DBaaS)を利用することも可能です。Oracle CloudのDBaaSであるDatabase Cloud Serviceでは、なんとRAC構成も組むことができます(割高ですが)。更に以前このブログでも取り上げましたが、Autonomous Database Cloudという自動化されたOracleも提供されています。

【クラウドサービス動向その5】Oracle Innovation Summit Tokyo 2018に行ってきました①

Oracle Cloudで提供されるDBaaSであれば信頼性もパフォーマンスもでそうなので、大きなDBも動かせると思われます。(まだ大きい構成は触っていないので、思われますという表現ですが。。。)これまでは日本国内では富士通環境で提供されている第1世代のOracle Cloudだけしか利用できませんでしたが、近々Oracle社が提供する第2世代が利用できるリージョンが国内でオープンします。そうなると、Oracleを多く利用しているユーザのクラウド化の向き先が変わるかもしれません。

少し余談ですが、Oracle Cloud IaaS環境でのOracleライセンスの数え方はAWS、Azureとは変わります。

Oracle Processor Core Factor Table 補足資料 Oracle

Oracle Cloud 上で稼働する Oracle ライセンスについて:
Oracle Cloud 上に永久ライセンス、もしくは期限付きライセンスを持ち込み、インストールする場合
例: Oracle Java Cloud Service 上にインストール/稼働する Oracle SOA Suite for Oracle Middleware ライセンス(Oracle Cloud ドキュメント上で認定されたプログラムリスト参照)
Oracle Cloud 上での使用を満たす数量の契約ライセンスが必要です。
具体的には、Processor ライセンスは以下の比率で Oracle Cloud に持ち込むことが可能です。
- 1 Processor ライセンスあたり 2 OCPU 上で当該プログラム使用可能 (1 Processor:2 OCPU)Named User Plus(NUP) ライセンスを Oracle Cloud に持ち込む場合、Cloud でプログラムを使用するために十分な数の NUPライセンスが必要です。つまり、実際のユーザー数か、Processor ごとの最少ユーザー数の、どちらか多い方の数量の NUP ライセンスが必要です。
- 1 Processor あたりの最少ユーザー数が 25 のプログラムの場合、2 OCPU ごとに 25 NUP ライセンスが必要
- 1 Processor あたりの最少ユーザー数が 10 のプログラムの場合、2 OCPU ごとに 10 NUP ライセンスが必要 
契約ライセンス名称に Standard Edition One, Standard Edition 2、もしくは、Standard Edition が含まれる場合(WebCenter Enterprise Capture Standard Edition、Java SE Support, Java SE Advanced、Java SE Suite 各製品を除く) 、 Oracle Compute Units(OCPU)上におけるライセンスは以下比率が適用されます。
- Processor ライセンスはソケットとしてカウントしているとみなし、1 Processor ライセンスあたり 4 OCPU 上で当該プログラム使用可能(1 Processor: 4 OCPU)
1 Sever あたりの最少ユーザー数が 10 NUP ライセンスである Standard Edition 2 の NUP 最少ユーザー数については、a) 実際に使用しているユーザー数 b) 8 OCPU ごとに最少ユーザー数 10 NUP ライセンス のどちらか多い方の数量の NUPライセンスが必要です。また、インスタンスが 8 OCPU を下回る場合も、最少ユーザー数は 10 NUP が必要です。
1OCPU=2vCPU(ハイパースレッディング有効)なので、AWS、Azureの半額ということになりますね。なんかずるい気もしますが、各社自分たちの強みを生かして自社クラウドへの囲い込みを行っている流れなので、仕方がないのかもしれません。

3.Oracle部分だけハウジング、もしくはホスティングにする

最後の方法としてはOracle部分はクラウドではなく、データセンタに置いておく、という作戦です。クラウド環境でOracleを利用するには、というタイトルと反する方法な気もしますが、これはこれで有効な方法です。というのも、国産クラウドの多くはクラウド環境を提供しているデータセンタでハウジングやホスティングも提供しており、構内接続をすることで容易にハイブリッドクラウド環境を利用できるようにしています。勿論、AWS、Azureも専用線接続サービスを提供しているので、ネットワーク通信費用を度外視すればこれらのサービスとの組み合わせでも実現可能です。

Oracle Cloudで大きなDBを構築できるとご紹介したものの、だ新しいサービスであるため、高可用性や高信頼性が求められる環境をいきなり実績のないサービスに移行できるのか、という課題があります。その場合、一旦DBに関しては従来型の物理Oracleでというのも検討する価値はあるかと思います。

ちなみに、Oracleを持ち込むことができないGoogle Cloud Platform(GCP)ですが、アクセンチュアのOracleサービスにGCP環境を接続させることで、Oracleが利用できるようになるよ、というサービスを始めます。これも似た考え方ですよね。

GCPでOracleが実行可能に、Googleが発表した「3つのハイブリッドクラウド」 TECH.ASCII.jp 2018年08月06日

最後になりますが、Oracleがある環境のクラウド化を進める一番わかり易い方法はOracleをやめる、ということなのかもしれません。Oracleは高コストですし、ライセンスの考え方が変わるリスクもありますからね。しかし、DBを変えるのはかなり大変な作業です。特にOracleの場合はたくさんのストアドプロシージャが組み込まれていたりして、簡単に変えられないことも多いかと思います。また、Oracleを利用する前提のパッケージもたくさんあります。そんな環境でも、ぜひクラウドのメリットを享受するため、クラウド化を勧めて頂ければと思いますし、この記事が少しでも参考になれば嬉しいです。

日曜日, 7月 29, 2018

【クラウドサービス動向その6】Oracle Innovation Summit Tokyo 2018に行ってきました②

Oracle Innovation Summit Tokyo 2018に参加した所感を纏めておきます。

1.Oracle Autonomous Database Cloud
Oracleの最大の強みであり、最も力を入れているOracle Database、そのある意味究極の姿がOracle Autonomous Database Cloudなのかもしれません。まだ、Oracle Database In-Memoryに対応していないなど、機能が不足している部分はありますが、中級DBA程度の自動チューニングというのはなかなか魅力的だと思います。
Oracle Database CloudでRAC構成を取る場合、Extreme Performanceを選択する必要があります。これが結構高くて(月額150千円~)、正直オンプレで構成を組んだほうが全然安いんですよね。でも、Autonomous Database Cloudはそれよりか少し高いくらい(月額168千円~)で利用できるので、AutonomousのAutonomousっぷり次第ですが、お金をかけられるシステムであれば、価値を見出すことはできるかなとは思います。
パッチのオンラインでの自動適用については勝手に当たることがリスクと捉えることもできますが、今の時代適用しないことも大きなリスクなので、どう考えるかですよね。まあ、自分は当てたほうが良いと思う派です。本当にミッションクリティカルな環境を取り扱っている方々には悩ましい問題かとは思いますが。。。

上記で書いたことと逆のことを今度は書きますが、Oracle Databaseを利用しているのは予算をたくさん使えるシステムだけではありません。自分はコストを抑えられるStandard Editionの環境(月額24千円~)に関わることが多いのですが、そういったところにAutonomous技術の恩恵が受けれないのは残念な気もします。例えばどの程度やってくれるのかわかりませんが、Azure Database Serviceも自動チューニング機能がありますし、今後自律機能は商用Database、クラウドDatabase Serviceにとって当たり前の機能になっていく気がします。今後、Oracle Database Cloud Service自体がどうなっていくのか、気になるとことです。

2.Enterprise Cloud
Enterprise Cloudといっても、NTTコムのクラウドサービスのことではありません。企業向けのクラウド、という意味合いです。
今回参加したセッションの中で「我々はエンタープライズを知っている。エンタープライズに対応できるクラウドを提供できるのは我々だけだ。」というメッセージが何度か出てきました。これはまあ、AWSやGCPを意識しての発言ですね。
Oracleは実際、長く企業の基幹システムで利用されてきましたし、実際オンプレ環境で多くのOracle Databaseが稼働しています。なので、エンタープライズを知っているというのは、その通りでしょう。
実際Oracle Cloudは企業向け工夫を幾つかしています。例えば、月額定額の課金体系を用意していたり、ディスクもIOPSについては課金されなかったり、インターネット向けのネットワーク通信も10TB/月間まで無料です。まあ、日本企業の商習慣もあっている良い作戦だと思います。
でもこれって、国内クラウドがAWS、Azure、GCPに対抗するためにやっていることと、全く同じなんですよね。Oracle Cloudの国内リージョンが開設されたとき(近々開設されると思いますが)、国内クラウド陣営はより一層厳しい戦いを強いられるようになると思います。

3.富士通の存在
今回びっくりしたのは、全く富士通の存在感がなかったことです。一応スポンサーにはなっているんですけどね。富士通は富士通センター内にOracle Cloud環境を用意し、既にサービス提供を行っています。

国内データセンターからオラクルのパブリッククラウドサービスを提供開始、エンタープライズ・システムのクラウド化を推進 2017年4月20日 富士通株式会社

その後、2018年2月14日にOracleは独自に国内リージョンを開設すると発表しました。

 Oracle Cloudは、2016年から富士通の国内データセンターからも提供されてきた。新設データセンターと富士通データセンターそれぞれの位置付けについてオーバーマイヤー氏は、「新設データセンターは日本市場の顧客からの期待に応え開設するもの」と繰り返したうえで、「今後も(富士通と)協力しながら両立していくことは間違いない」と語った。

「Oracle Cloud」日本国内へのデータセンター新設計画を発表 2018年02月15日 ASCII.jp

Oracleのパートナーは富士通以外にもたくさん存在するわけで、Oracleのクラウド拡大戦略を考慮すれば独自国内リージョン開設は当然の流れではあります。今後富士通センターのOracle Cloudの位置付けがどうなるのか気になるところですが、まだ決まっていない、といったところでしょうか。富士通自身もクラウド全体の見直しを行ったばかりですし、まだまだ検討中なのかもしれません。
でも流石にOracle Cloud国内リージョン開設までには発表されると思いますので、動向に引き続き注目しておきたいと思います。

土曜日, 7月 28, 2018

【クラウドサービス動向その5】Oracle Innovation Summit Tokyo 2018に行ってきました①

久しぶりの投稿です。

最近はクラウド関連の仕事しかしていないのですが、その関連?ということで「Oracle Innovation Summit Tokyo 2018」に行ってきました。Oracle Cloudとはなっていませんが、基本的にOracle Cloudについてのイベントとなっていました。

Oracle Innovation Summit Tokyo 2018

基調講演を聞いたので、ちょっと纏めておきます。

【シッダールタ・アガルワル氏】
ちょっと言いにくい名前のアガルワル氏はOracle Cloud全体の話をしてくれました。特にAutonomous関連の話が多かったですが、チャットボットなども簡単に作れるよ、というデモがありました。デモはチャットボットの動作です。
どこまでOracle Cloudの機能でどの程度作り込みが必要なのかが分からなかったので、なんとも言えませんが、自分がイメージしているOracleっぽくないサービスの紹介だったので、面白かったですね。あとデモは英語だったので、日本語対応などはどうなるのでしょうか。
あとはAutonomousの話で、レガシーシステムをRPAを入れて自動化に組み込んだという海外事例の話がありました。Oracleの言っているAutonomousはクラウドサービスだけでなくて、ビジネスプロセス全体の自動化だよ、ということですよね。

【マリア・コルガン氏】
コルガン氏はひたすらAutonomous Database Cloudの話でした。まあ、Oracleの一番の売りですし、今回はこの話が聞きたかったので参加したみたいなところもあります。
AWS、Azure、なぜかMariaDB、PostgreSQLまで持ち出して、他のサービスとの優位性を話していました。こうやって躊躇なく競合他社と比較してくるのがOracleっぽいですよね。

【ローレント・ジル氏】
ジル氏は5ヶ月前にOracleに起業した会社を買収され、Oracleに参加したそうです。ジル氏の話はすべてOracle Cloud Infrastructure(OCI)に関連するものでした。AWSもAzureもGCPも良いものだからどうぞ使ってください、でもOracle Cloudも良いので使ってみてください。という自分的にはOracleらしからぬスタンスのセッションだったという印象です。スーツではなく、Tシャツでしたし。話の半分が既に国内に存在しているEdge Servicesについてでしたが、OCI自体もVery Very Very Soonに国内で提供されるとのことです。
実際にパフォーマンステスト結果などのスライドもありましたが、日本リージョンでのテスト結果とのことでしたので、まあ年内とかに開設されるんでしょう。

午後のセッションもいくつか聞いてきました。Oracleと繋がりの強いSIerは既に色々検証しているようで、その率直な感想が面白かったです。第一世代は酷かったよとか。使ってるんだけど(笑)
あとはNTTデータ先端技術のセッションは色々面白かったですね。AWSから人材を引き抜いているから、AWSのデザインパターンが適用できるという話もためになりました。

ちょっと長くなったので、一旦ここまでで区切っておきます。

月曜日, 10月 24, 2016

【クラウドサービス動向その3】IaaS環境上でOracleを利用するには

最近はIaaS上で基幹システムを動かしたい、という話が増えてきました。そういった場合、課題になるのがデータベースです。データベースがOSSのMySQLやPostgresだったら全く問題ないのですが、基幹システムだと商用DB、たとえばMS SQL、そしてOracleを使っていることが多いのです。MS SQLの場合、SPLAで利用するか、SA権付きで購入の上、ライセンスモビリティを利用してIaaS上にライセンスを持ち込む、とったことが出来ます。しかし、Oracleに関してはちょっと厄介です。

まず、Oracle社がOracleを利用して良いよ、と明言しているクラウドがあります。それは、AWSとAzureです。
※AWSの場合、マネージドサービスであるRDSでOracleを利用する、という方法もあります。

クラウド・コンピューティング環境における Oracle ソフトウェアのライセンス
日本オラクル株式会社

この資料には、以下の記述があります。
本資料は、以下のベンダーが提供するクラウド・コンピューティング環境に適用されます:
Amazon Web Services – Amazon Elastic Compute Cloud (EC2), Amazon Simple Storage Service (S3) 、
Microsoft Windows Azure Platform
(以下、これらを「承認されたクラウド環境」と表記します)
つまり、AWSとAzure以外のクラウドに関しては、基本的にはOralceを動かすことを承認していないよ、ということになります。ではそれ以外のクラウドでOracleを利用したい場合はどのようになるのでしょうか?OracleのFAQに、以下の記載があります。
Q.他社のクラウド・サービスに、ライセンス持ち込み(BYOL: Bring Your Own License)でオラクル製品を使う場合、必要なライセンス数はどうなりますか?
A.クラウド・サービスにオラクル製品を導入して使用する場合も、原則としてオラクル製品がインストールされる、または稼働する物理サーバーにライセンスが必要となります。
クラウド・サービスが仮想化環境である場合、必要ライセンス数等は仮想化環境にオラクル製品を導入する場合と同様です。
ただし、オラクル社にて承認されたクラウド・サービスについては、クラウド環境のインスタンスに割り当てられたバーチャル・コアを物理コアと同等に換算し、ライセンス数を計算します。
詳細は「クラウド・コンピューティング環境における Oracle ソフトウェアのライセンス」をご参照下さい。
Q.Oracle Database Standard Edition 2 のライセンスを他社のクラウド・サービスに持ち込むことは可能ですか?
A.Oracle Database Standard Edition 2 は、2 CPUソケットまでのサーバーに導入可能なライセンスです。
クラウド環境であっても、Oracle Database Standard Edition 2の導入先が2 CPUソケットの物理サーバーであれば、Oracle Database Standard Edition 2を導入可能です。
なお、他社クラウド・サービスにオラクル製品を導入して使用する場合も、原則としてオラクル製品がインストールされる、または稼働する物理サーバーにライセンスが必要となります。
クラウド・サービスが仮想化環境である場合、必要ライセンス数等は仮想化環境にオラクル製品を導入する場合と同様です。
ただし、オラクル社にて承認されたクラウド・サービスにOracle Database Standard Edition 2 のライセンスを持ち込む場合(BYOL)は、クラウド環境のインスタンスに割り当てられたバーチャル・コアを物理コアと同等に換算し、ライセンス数を計算します。
また、承認されたクラウド・サービスでは、Oracle Database Standard Edition 2 は 8 バーチャル・コアまでのインスタンスにのみ導入できます。 
ここで登場する承認されたクラウドサービス、というのはAWSとAzureのことです。つまり、それ以外のクラウドサービスでは、Oracleが稼働する可能性がある物理サーバの全てのソケット数分ライセンスを購入しろ、と言っているわけです。パブリッククラウドは物理サーバをたくさん並べてユーザから見えなくしているわけで、そんな購入の仕方は不可能なわけです。正直、これだけ仮想化やクラウドが普及している現代で、物理ソケット数にライセンスが紐づく、という方法しか提供していないのは、時代錯誤といっても良いのではないでしょうか?

なお、AWSとAzure以外のクラウド環境でも、一部のクラウド環境についてはOracle社と個別の契約を結び、Oracleを利用できるようにしているようです。ただ、この契約も米国Oracleの意向で変わってしまったという話もあり、Oracle部分はベアメタルや専用仮想サーバなどで逃げていることも多いようです。

本当に最近のOracleライセンスは変更が多くて、最近だとSE1の廃止、及びSE2による実質大幅値上がりがありました。
日本オラクルが1月30日にデータベース(DB)ソフト「Oracle Database」のライセンス体系を変更した。中小規模システム向けで安価な「Standard Edition One(SE1)」を廃止。「Standard Edition(SE)」のライセンス内容を変更した「Standard Edition 2(SE2)」に一本化した。
同社は2月29日に、旧ライセンスであるSE1とSEの販売を終了。3月1日からSE2と大規模システム向けの「Enterprise Edition(EE)」だけを販売する。
SEユーザーにとっての問題は料金ではなく、利用できる最大CPUソケット数が減る点だ。SEのライセンス価格はSE2と同じ210万円(同)。SEからSE2への移行に追加料金は不要で、保守料も変わらない。
 しかし、SE2では最大CPUソケット数がSEの4から2に減る。「仮想化したり、RACを使ったシステムでは最大CPUソケット数が規定を超える可能性がある」と、パートナーであるアシストのデータベース技術本部ビジネス推進部の岸和田隆部長は懸念する。
日本オラクルがDBライセンスを変更、費用増迫られる中小規模システムも
ITPro 2016年2月29日

これ以外にも、Azureで提供されているOracleライセンス付きイメージVMを突然停止させたりもしています。
休み明けにメールを確認すると、2016年05月02日にAzure Teamから以下のタイトルのメールが来ていた。
『ご対応のお願い: 2016年5月31日に、Azure はライセンスが含まれているOracle VMのサポートを終了します』
メールによると2016年5月30日までにVMの使用を中止するか、適切なライセンスを取得する必要があるという。なお、適切にライセンスを取得した旨を連絡しない場合、通知なしにVMを停止する場合もあるという。この件はMicrosoft及びOracleのサイトにはまだ掲載されていないようだ。
対応までに一ヶ月も無いというのは、あんまりではなかろうか…
MicrosoftがAzureにおけるライセンス込みOracle VMサポートの終了を通達
スラド 2016年5月11日

これは、Oracleライセンス付きのVMイメージが使えなくなった、という話なので、AzureにOracleライセンスを持ち込めなくなったというわけではありません。しかし、Oracleの横暴さが分かるエピソードではないでしょうか?

あまりOracle批判ばかりしても仕方がないのですが、最後に1つ。先日の「Oracle OpenWorld 2016」の講演の中で、AWSを批判して以下のような発言がありました。
Ellison氏の批判は続く。RedshiftやAurora、そしてNoSQLデータベース「Amazon DynamoDB」はAWSでしか稼働しないことに対して、Oracle DBのほかに「Oracle MySQL」「Oracle NoSQL」がオンプレミスやOracle Cloudはもちろん、「Micrsoft Azure」やAWSでも稼働することを挙げた。このことからAWSを「IBMメインフレームよりも閉鎖的」と言い表している。
 「IBMメインフレームの互換機を富士通や日立、Amdahlが開発していた。MVS(IBMメインフレームOSの一つ)やCICS(トランザクション処理用ミドルウェア)、IMS(データ管理システム)などはメインフレーム互換機でも稼働していた。AuroraやRedshift、DynamoDBはAWSでしか動かない」
AWSのデータベースは「IBMメインフレームより閉鎖的」:オラクルCTO
ZDN絵tJapan 2016年09月21日

これは、もう何を言っているんだ?という感じですね。確かに、Auroraなども独自機能部分を使って作り込んでしまうと互換性は減りますが、(少なくと現時点では)MySQL互換のDBなので、MySQLに戻すことはそこまで大変ではないと思います。一方で、Oracleはクラウドだろうがオンプレだろうが確かに『Oracleが許可している環境』であればどこでも動きますが、許可を頂く必要があるわけです。そして、その許可、使用料については全てOracle社が握っているわけです。

私も昔はOracleもよく触っていましたし、今もやっぱりRDBといえばOracleなイメージがあります。シェアも高いですからね。しかし、ここ数年のOracleは、顧客の過去の資産(プログラム、ノウハウ、データ)を人質にとり、収益を上げているだけな企業に思えます。なんか感じ悪いですね。まあ、そこでの収益をクラウドに突っ込もうとしているのかも知れませんが。。。

米国は分かりませんが、日本はかなりパッケージソフト文化だと思います。その場合、ユーザ企業がどのDBを利用するかは、どのパッケージを利用するかに大きく依存します。パッケージがDBにOracleを利用している、ということが弱みになるのであれば、パッケージ開発元もDBを変えてくるのではないか、と思います。それが進んだとき、Oracleは大きくシェアを落とすのではないでしょうか?そうしたら、SE1復活ですかね(笑)それか、もうExadata中心で行くとか。

Oracle Cloudの話も一緒に纏めようかと思っていたのですが、長くなったので一旦ここで切りますね。次回はOracle Cloudの話にしましょう。