日曜日, 12月 30, 2018

2018-19年クラウド動向所感まとめ

2018年ももう終わりに近づいていていますが、今年のクラウド動向に関する所感を纏めておきます。また2019年の注目ポイントについても触れておきます。

今年もAWSが圧倒的でした。2018年は強いものがより強くなった、という1年でしたね。

クラウドサービスのシェアはAWSが34%強とシェアを拡大、追随する事業者は? ?Synergy Researchより オルタナティブ・ブログ 2018/10/30
IaaS+PaaSクラウド市場でAWSのシェアはさらに増加、引き続きトップを独走、2位はマイクロソフト。2018年第3四半期、Synergy Research Group Publickey 2018/11/21

11月の末に行われたAWS re:Invent 2018でも、数多くの新機能のリリース、もしくはリリース予定の公開が行われました。
AWS re:Invent 2018 製品発表

人工衛星を利用したサービスから、AWS環境をオンプレに持ち込めるサービスまで幅広く、新機能が提供されています。この勢いは2019年になっても衰えないでしょう。
2019年に関しては、特に本格提供が始まったVMware on AWSの普及が注目ポイントになるかと思います。これを利用するとオンプレにある仮想基盤を纏めてAWS環境に移行することができるため、普及すれば一気にオンプレにある仮想マシンたちがAWS上で稼働することになるでしょう。

一方でシェア2位のMicrosoft AzureもAWSを上回る成長率を見せ、勢いづいています。
いよいよ、Microsoft Azure本格普及へ。3年後にAWSのシェアを抜くデータを解説 Si事例サイト 2018/10/18

そう簡単にはAWSに追いつけるとは思いませんが、今後5年程度で同程度までシェアを伸ばす可能性は十分あるかと思います。こちらもユーザ企業に存在する大量のWindows Server資産をどう活用できるかが注目です。
また、更に注目すべきはWindows Virtual Desktopなどのクラウド上での仮想ディスクトップサービスの動向です
「Windows Virtual Desktop」発表--Azureベース、マルチユーザー対応の仮想化環境 ZDNet Japan 2018年09月25日

もともとAzureはVDI on Azureといって、Citrix社の仮想ディスクトップサービスをAzure上で提供する、というサービスを開始していました。Windows Virtual Desktopについてはマイクロソフト社純正の仮想ディスクトップサービスになります。
どちらにせよ、世の中のシステムリソースの多くを占めるクライアントリソースをクラウドサービスとして提供する、というのは大きなインパクトがあります。ましてやクライアントの殆どを占めるWindows Clientがクラウド側にシフトしたとしたら、それだけでもAzureのシェアは大きく上がりそうですね。

そして、3位以降のGoogle、IBM、Alibabaについてもそれぞれ注目ポイントがあります。

Googleに関しては、先般クラウド事業責任者がVMwareの共同創業者であったDiane Greeneから、Oracle幹部だったThomas Kurianに変わりました。技術的には高いものを持ちながら、いまいちエンタープライズ向けのクラウドとしては目立てていないGoogle Cloud Platformが新体制でどの様になるのかが注目です。
Googleは元Oracle幹部だったThomas Kurianに、クラウドビジネスの舵取りを託す TechCrunch Japan 2018年11月20日

IBMについては勿論2018年のIT業界で最大級のニュースになったRed Hat社買収の成果を、2019年以降どのように出していくのかが注目です。
IBM、Red Hatを買収、クラウド業界を一変させ、世界1位のハイブリッドクラウド・プロバイダーに Red Hat 2018年10月30日

Alibabaに関しては急激に存在感を増しているAlibaba Cloudが2019年以降もその勢いを止めることなく拡大していけるのか、というところが注目ですね。今の所は見えていませんが、米中によるハイテク産業貿易戦争の影響などを受けるのかどうか、が気になるところです。今後の継続した拡大のためには中国以外でのシェア拡大が必須条件ですので、この1,2年が勝負どころでしょう。

最後に、2019年に個人的に注目しているクラウド関連イベントを3つほど上げておきます。

1.Oracle Cloud日本リージョン開設
遂に2019年、Oracle Cloudの日本リージョンが開設されます。2019年5月に東京、2019年12月末までに大阪でそれぞれサービス開始の予定です。思っていたよりも時間がかかりましたね。
2019年に東京と大阪でデータセンター稼働--日本オラクルのオーバーマイヤーCEO ZDNet Japan 2018年10月29日

Oracle Cloud自体は以前も取り上げましたが、富士通のデータセンターから既に日本国内から提供されてはいます。
富士通のOracle Cloudソリューション 

しかし、第1世代とうこともあり、Oracle社が謳う最新の機能はあまり利用できない状態でした。Oracle社で提供するリージョンは第2世代ということなので、Oracle社自慢のAutonomous Databaseを始め、色々な最新機能が利用できることでしょう。
国内は中小企業も含め様々な企業がOracleを利用しています。そんな環境をクラウド化するにあたっての選択肢が増えることは良いことだと思いますので、2019年どこまで国内でOracle Cloudが普及するかは注目です。富士通が提供しているリージョンがどうなるかも注目ですけどね。

2.米国防総省「JEDI」プロジェクトの行方
米国防総省のシステムをクラウドに移行するプロジェクト「JEDI」(Joint Enterprise Defense Infrastructure)の開札が2019年4月に迫っています。このJEDIプロジェクトではクラウド事業者1社が基本的に全ての環境を用意し、オプションではありますが、最長で10年間の100億ドルの契約となる可能性があります。
ペンタゴンの100億ドル規模のプロジェクトJEDI(ジェダイ)が、クラウド企業たちを悩ます理由 TechCrunch Japan 2018年9月19日
米国防総省「JEDI」プロジェクト、単一ベンダー独占契約に対するオラクルの異議を却下 ZDNet Japan 2018年11月15日

既にAWSの有利が何度となく報道されていますが、このプロジェクトをAmazonが受注した場合、それでなくとも圧倒的なシェアを持つAWSが更に不動のものとなると考えられます。日本国内での利用者には直接は影響のない事柄ですが、クラウド業界の将来を予測する上では見逃せないイベントです。

3.政府IT調達一元化の影響
政府が中央官庁のIT関連の調達を一元化する計画を2019年に進めるようです。
政府、IT調達を内閣官房に一元化 2019年にも 日経新聞 2018/12/18

IT調達には勿論クラウドも含まれていますので、今後どの様になるのかが気になるところです。

今回書いておこうと思ったクラウドに関係するものは以上となりますが、書き終わってみて国産クラウドサービスに関することが何もないことに気づきました。でも、本当に特段取り上げることがないんですよね。残念ながらこのままだと、国産クラウドについてはサービス終了に関する記事を取り上げるくらいしかないかもしれません。
と悲しみつつも、一方でAWS、Azureなどなどから提供される新機能、新サービスについては非常にワクワクさせられます。今後クラウド業界全体がどのように発達していくか、2019年も目が離せませんね!

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