1.Oracle Autonomous Database Cloud
Oracleの最大の強みであり、最も力を入れているOracle Database、そのある意味究極の姿がOracle Autonomous Database Cloudなのかもしれません。まだ、Oracle Database In-Memoryに対応していないなど、機能が不足している部分はありますが、中級DBA程度の自動チューニングというのはなかなか魅力的だと思います。
Oracle Database CloudでRAC構成を取る場合、Extreme Performanceを選択する必要があります。これが結構高くて(月額150千円~)、正直オンプレで構成を組んだほうが全然安いんですよね。でも、Autonomous Database Cloudはそれよりか少し高いくらい(月額168千円~)で利用できるので、AutonomousのAutonomousっぷり次第ですが、お金をかけられるシステムであれば、価値を見出すことはできるかなとは思います。
パッチのオンラインでの自動適用については勝手に当たることがリスクと捉えることもできますが、今の時代適用しないことも大きなリスクなので、どう考えるかですよね。まあ、自分は当てたほうが良いと思う派です。本当にミッションクリティカルな環境を取り扱っている方々には悩ましい問題かとは思いますが。。。
上記で書いたことと逆のことを今度は書きますが、Oracle Databaseを利用しているのは予算をたくさん使えるシステムだけではありません。自分はコストを抑えられるStandard Editionの環境(月額24千円~)に関わることが多いのですが、そういったところにAutonomous技術の恩恵が受けれないのは残念な気もします。例えばどの程度やってくれるのかわかりませんが、Azure Database Serviceも自動チューニング機能がありますし、今後自律機能は商用Database、クラウドDatabase Serviceにとって当たり前の機能になっていく気がします。今後、Oracle Database Cloud Service自体がどうなっていくのか、気になるとことです。
2.Enterprise Cloud
Enterprise Cloudといっても、NTTコムのクラウドサービスのことではありません。企業向けのクラウド、という意味合いです。
今回参加したセッションの中で「我々はエンタープライズを知っている。エンタープライズに対応できるクラウドを提供できるのは我々だけだ。」というメッセージが何度か出てきました。これはまあ、AWSやGCPを意識しての発言ですね。
Oracleは実際、長く企業の基幹システムで利用されてきましたし、実際オンプレ環境で多くのOracle Databaseが稼働しています。なので、エンタープライズを知っているというのは、その通りでしょう。
実際Oracle Cloudは企業向け工夫を幾つかしています。例えば、月額定額の課金体系を用意していたり、ディスクもIOPSについては課金されなかったり、インターネット向けのネットワーク通信も10TB/月間まで無料です。まあ、日本企業の商習慣もあっている良い作戦だと思います。
でもこれって、国内クラウドがAWS、Azure、GCPに対抗するためにやっていることと、全く同じなんですよね。Oracle Cloudの国内リージョンが開設されたとき(近々開設されると思いますが)、国内クラウド陣営はより一層厳しい戦いを強いられるようになると思います。
3.富士通の存在
今回びっくりしたのは、全く富士通の存在感がなかったことです。一応スポンサーにはなっているんですけどね。富士通は富士通センター内にOracle Cloud環境を用意し、既にサービス提供を行っています。
国内データセンターからオラクルのパブリッククラウドサービスを提供開始、エンタープライズ・システムのクラウド化を推進 2017年4月20日 富士通株式会社
その後、2018年2月14日にOracleは独自に国内リージョンを開設すると発表しました。
Oracle Cloudは、2016年から富士通の国内データセンターからも提供されてきた。新設データセンターと富士通データセンターそれぞれの位置付けについてオーバーマイヤー氏は、「新設データセンターは日本市場の顧客からの期待に応え開設するもの」と繰り返したうえで、「今後も(富士通と)協力しながら両立していくことは間違いない」と語った。
「Oracle Cloud」日本国内へのデータセンター新設計画を発表 2018年02月15日 ASCII.jp
Oracleのパートナーは富士通以外にもたくさん存在するわけで、Oracleのクラウド拡大戦略を考慮すれば独自国内リージョン開設は当然の流れではあります。今後富士通センターのOracle Cloudの位置付けがどうなるのか気になるところですが、まだ決まっていない、といったところでしょうか。富士通自身もクラウド全体の見直しを行ったばかりですし、まだまだ検討中なのかもしれません。
でも流石にOracle Cloud国内リージョン開設までには発表されると思いますので、動向に引き続き注目しておきたいと思います。
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