川崎重工が和歌山県の南紀白浜空港を拠点に災害時の被害確認などのテストを目的に、無人航空機の飛行試験を11月から開始するとの報道がありました。
無人航空機の災害活用へ実験 南紀白浜空港と川崎重工 日本経済新聞 2023年6月12日
11月から月4回程度のペースで平日の昼間に約4時間飛行させ、4年間はテストを行うとのことです。このあたりは南海トラフ地震が発生するとされており、更に南紀白浜空港は標高が約90mもあり津波などによる浸水リスクがほぼないということで、確かに拠点にするならここだ!という感じですね。
で、気になる無人航空機のモデルについてはイメージ画像と「縦10メートル、横16メートル」というサイズ感の情報しかありません。画像とサイズ感を見ると、イスラエルのIAIが開発したヘロンではないかと思うのですが、どうでしょうか?
ヘロンのスペックは以下のとおりです。(Wikipediaより引用)
- 全長:8.5m
- 全幅:16.6m
- 最大離陸重量:1,250kg
- エンジン:ロータックス914 レシプロエンジン(115馬力)×1
- 最大速度:222km/h
- 運用高度:9,144m+
- 航続時間:40時間+
- ペイロード:250kg
サイズ感もほぼ同じですし、外見もそっくりです。
ちなみに、航空自衛隊が導入したRQ-4B グローバルホークは全長:13.52m、全幅:35.42m、海上保安庁が導入したRA MQ-9B シーガーディアンは全長:11m、全幅:20mと今回報道されている無人航空機のサイズよりも大きくなっています。
イスラエル製のヘロンはアメリカ製のグローバルホーク、シーガーディアンと比較すると安価で、性能も悪くないということでドイツ、カナダ、インド、韓国など様々な国で導入されている偵察用無人航空機です。今回は災害対応という名目ではありますが、偵察用の無人航空機はたくさん飛ばしてなんぼ、なところもありますので、今後の自衛隊、海上保安庁への導入に向けたファーストステップ、という位置づけかもしれませんね。
ただ、川崎重工には自社開発の無人航空機も頑張って貰いたいですよね。哨戒機や早期警戒機がなくなるわけではないとは思うものの、段々と無人機に役割の比重が移っていきそうです。そうなったときに無人航空機は全て外国製です、というのは悲しいですし、安全保障上の問題になります。陸上自衛隊に配備されているスキャンイーグルと同様のものは恐らくすでにフジ・インバック社が頑張ってそうですし、更には東南アジアに進出しようとしています。
防衛省に納入した「無人機」、フジ・インバックが東南アジアに拡販 日刊工業新聞 2023年6月10日
川崎重工や三菱重工、SUBARUなどの既存の防衛用航空機産業を担っている各社には、より大型の無人航空機に取り組んで頂ければと思います。無人戦闘機のテスト機は作ってましたけどね。
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