本田技研工業、及びその子会社であるホンダ エアクラフト カンパニーは2021年に発表したHondaJet 2600 Conceptを製品化することを発表しました。
新型小型ビジネスジェット機の製品化を決定 本田技研工業 2023年06月14日
Honda Aircraft Company Announces Plan to Commercialize New Light Jet Honda Aircraft Company Jun 13, 2023
ちなみに、2021年のニュースリリースはこちらです。
「NBAA 2021」に小型ビジネスジェットコンセプト機 「HondaJet 2600 Concept」を参考展示 本田技研工業 2021年10月13日
HondaJet 2600は既に世界中の空を飛んでいる超軽量ビジネスジェットHondaJetを大型化し、乗員合わせて最大11名乗り、最大航続距離を2,625ノーティカルマイル(約4,862km)まで拡大した軽量ビジネスジェットです。2028年頃のアメリカ連邦航空局(FAA)の型式証明取得を目指し、現在は設計の最終段階で(恐らくテスト機の)製造が開始されたところ、とのことです。
HondaJet 2600の2600は2600ノーティカルマイルのことで、この距離を乗員含め5名載せた状態で飛行できるということです。この距離が飛べると、アメリカ大陸横断できるそうです。
楽しみですね!
1つ気になったのが、今回エンジンが「Williams FJ44-4C」ということで、軽量ビジネスジェット向けによく使われている他社製エンジンを利用すると発表していることです。HondaJetは航空業界では珍しく、自社開発のエンジンを利用しています。エンジンのホンダ、と呼ばれるくらいなのでHondaJet 2600でも拘るのかと思っていましたが、ここはあっさり実績のある他社製品を利用する判断をしてきましたね。
確かに、航空機はエンジンについても型式証明を取得する必要があるので新たに自社開発するとコストと時間がかかりますし、技術としても革新的なものはなかなか難しいと思うので、この判断はありかな、と思います。それにホンダ自体、現在はeVTOLや小型ロケットなど、新規にエンジン開発が必要なものたちにも並行してプロジェクトを進めていますので、注力するところにメリハリを付ける、という意味でも正しい判断なのかもしれません。また、もしかするとですが初期出荷時は他社エンジンだけれど、今後マイナーバージョンアップを続けていく間に自社開発のエンジンに変更する、といった可能性もありますよね。サイズが全く違いますが、確かボーイングなどもエンジンを選ぶことができるようになっていたと思いますので、そういうのもありかもしれません。(ボーイングの方は航空会社のメンテナンス性を考慮した仕組みだと思いますが。)
ここで、HondaJetの歴史を振り返ってみます。
「HondaJetの歩みより」抜粋しています。
HondaJetの受注を米国で開始
2007年 エンジンの性能テスト開始
2008年 HondaJetの受注をカナダ、メキシコ、欧州で開始
2010年 量産型初号機初飛行
2011年 量産型3号機飛行試験開始
2012年 量産型4号機飛行試験開始
量産1号機の生産を開始
2013年 FAAより型式検査承認(TIA)を取得
FAAからのHF120(エンジン)の型式認定を取得
2014年 量産1号機が初飛行
2015年 FAAより型式証明を取得
HondaJetの引渡しを開始
HondaJetのときは発表後すぐに受注を開始しています。そして、最終的に型式証明を取得するまで9年かかっています。
今回のHondaJet 2600も受注開始はすぐにでも発表されそうですね。そして、今回はエンジンの開発や型式証明の取得はありませんし、製造・整備運用環境の準備はHondaJetのラインに増やすだけなので、5年でいけるとの判断でしょうか。ホンダはeVTOLも2025年に事業化判断を行い、事業化する場合は5年後の2030年に型式証明を取得する、としています。5年で型式証明を取れる、という自信があるんでしょうね。
HondaJet 2600は、既存のHondaJetよりも多くのものを遠くまで運ぶことができます。HondaJetも魅力的な航空機ですが、ビジネスジェットの中でも最も小さいカテゴリなので、用途が限られてしまします。その点HondaJet 2600は色々と広がりが出そうなので、楽しみです。
ホンダも巨大企業ではありますが、航空機メーカーとしては1モデルしか出していません。やはり複数のラインナップを出していくことが、航空機メーカーとしての地位確立には欠かせません。既存のHondaJet、今回のHondaJet 2600、そして(まだ正式に事業化するかは決まっていませんが)eVTOLはラインナップとして見えてきました。後はビジネスジェットを更に大型化するのもありだし、やって欲しいところではあるのですが、強力なライバルが多いんですよね。ということで、個人的には開発するeVTOLをベースに航続距離を1,000km−1,500kmに伸ばした航空機(垂直離着陸機でなくてもよく、将来的には無人化)などがeVTOLとHondaJetの間のラインナップとして良いのではないかと思います。国内にはジェット機だと離発着できない空港も多いので、そういった小さい空港を活用するにも、電動化したプロペラ機(eVTOLベースだと少し違いますが)を物流やちょっとした人の移動に利用するのが良いのでは?と考えています。海外でも需要がある気がしますし。
ホンダはeVTOL、小型ロケットなど、まだ先の長い話ではあるけれど楽しみなプロジェクト複数がありますが、ここに新たにHondaJet 2600が加わりましたね!
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