火曜日, 6月 20, 2023

ハイブリッド航空機開発のフランスベンチャー企業であるボルトエアロにカワサキモータースが出資

 ハイブリッド航空機開発を行ったいるフランスのベンチャー企業であるボルトエアロにカワサキモータースが出資したと報道されています。出資だけでなく、エンジンの提供も行っているようです。

ボルトエアロにカワサキモータースが出資 航空新聞社 2023.05.23

カワサキモータース、仏航空機新興に出資 エンジン供給 日経新聞 2023/6/19


開発している航空機は「Cassio」という名前で、Cassio 330、Cassio 480、Cassio 600の3タイプがあります。Cassio 330は現在開催中のパリ航空ショーに展示されており、2023年末にプロトタイプである1号機が飛行、2024 年の第 2 四半期に耐空証明プログラムに利用するの2号機が飛行予定とのことです。2025年初頭には納品開始予定、という報道もありますが、もう少しかかりそうですね。

VoltAero defines the future of sustainable aviation with its Paris Air Show world debut of the Cassio 330 electric-hybrid aircraft June 18, 2023


Cassio 330は5人乗り、Cassio 600でも9人乗りで航続距離は1,200kmを予定しており、既存の航空機で言うと小型プロペラ機といったところでしょうか。eVTOLのような垂直離着陸機ではなく、離着陸には600m程度の滑走路が必要となります。

先日、HondaJet 2600の製品化が決定という記事の中で、ホンダも航続距離400kmのeVTOLと2,000km以上のビジネスジェットの間としてeVTOL(ホンダの場合はシリーズハイブリッドの予定)を拡張した航続距離1,000km−1,500kmの航空機を作っては?と書いたのですが、このCassioがまさにそれですね。素人が考えることはとっくに検討、開発が進んでいたようです😁


今回資金提供&エンジン提供を行っているのが川崎重工の航空宇宙システムカンパニーではなく、カワサキモータースである、というところも注目です。川崎重工の無人ヘリK-RACERは飛び立てるのか?の記事でも少し触れたのですが、二輪事業などをメインに行なっているカワサキモータースは無人固定翼航空機の実用化構想を持っています。そして、そのエンジンには「Ninja H2R」のエンジンを改造したものを利用する想定です。

こちらの無人固定翼機用のエンジンは2025-26年にエンジンの型式証明取得のための開発を開始し、2030年頃の取得を目指す、という報道がされていました。無人固定翼機向けのエンジンは報道によると直列6気筒で、レシプロエンジンとして利用する想定と思われます。一方でCassio 330向けのエンジンは直列4気筒と記載があり、更にハイブリッド航空機として発電に利用すると思われます。そのため、エンジンは別物のようです。Cassioも2024年から型式証明の認定プロセスに入るということはエンジンも合わせて型式証明取得を進めるはずなので、このあたりはエンジン提供元のカワサキモータースも必ず関わってくると考えられます。どういった体制で進めるのでしょうか?気になることです。

型式証明はなかなか思い通りに進まないものですが、もし仮にCassio330の型式証明取得が順調に進み2025年頃に取得でき、更にカワサキモータース側も型式証明に関わることができると、2025年にはカワサキモータースも航空機エンジンの型式証明取得の経験を持つことができることになります。そうなってくると、前述の2025年頃からを計画している無人固定翼機構想のエンジンの型式証明取得がスムーズに進みそうです。そのあたりを狙っての出資な気もしますね。もちろん、これまでの事業で培ってきたエンジン技術の活用、という一面もあると思います。Cassioでも水素エンジン利用も検討しているようですし。


eVTOLだけでなく、ハイブリッドを含め航空機の電動化、水素エンジン開発など、まだまだ先の長い話ではありますが、航空機に関して面白そうなものが色々と出てきました。今後も継続して注目して行きたいと思います。

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