土曜日, 6月 17, 2023

航空業界の2050年までに二酸化炭素排出を実質ゼロにする目標

航空業界は2050年までに二酸化炭素排出を実質ゼロにすることで、合意しています。 

第41回国際民間航空機関(ICAO)総会の開催結果について 国土交通省 令和4年10月11日

9月27日~10月7日に、国際民間航空機関(ICAO)総会が開催され、国際航空分野における脱炭素化の長期目標として、「2050年までのカーボンニュートラル」を目指すこととする長期目標が採択されるとともに、航空安全、航空保安、航空管制などの分野における次期3か年の活動方針・計画等が承認されました。また、日本が理事国に再選されました。
自動車業界も色々と目標を立てていますが、航空業界も挑戦的な目標を立てていますね。航空輸送は世界の二酸化炭素排出量の約2.5%を占めているということで、段階的な二酸化炭素排出削減の目標が設定されています。

ただ、自動車などと異なり大型ジェット機の電動化は難しそうですよね?そこは考慮されており、2050年時点でSAFの利用が65%、電動化・水素が13%という想定となっています。


自動車の方は、今年の4月に欧州での2035年ガソリン車廃止がe-fuelであればOKに方針が変わったと話題になりました。ただ、このe-fuelにはSAF(バイオ燃料)は含まれていません。まあ、SAFを積極的に利用しようという航空業界ですら、今のところ全く足りない状況ですからね。航空機燃料向けにSAFの開発競争も進んでいます。

上記の世界経済フォーラムの記事を読むと、現在フライトによる二酸化炭素排出の半分を占めている2,500海里未満のフライトは全て電動、もしくは水素燃料に置き換えることが可能と考えられている、との記載があります。2,500海里は約4,630kmです。日本国内便の最長路線は新千歳空港と那覇空港を結ぶ線の約2,587kmなので、国内線は全て電動、もしくは水素燃料の航空機に置き換わっていく、ということになりますね。

電動航空機ですが、例えば現在イスラエルの企業が開発するアリスが9人乗りで航続距離400kmとなっています。

航続距離はまだ短いですし小型ですが、将来的にはもう少し大きく、そして航続距離も伸びると考えられます。小型で航続距離が1,000km〜1,500kmくらいの航空機はそう遠くないうちに電動化が進むのかもしれません。まだ先ですが、500kmくらいまではこれまた電動のeVTOLの活用となりそうですし、比較的短距離移動用の航空機はBEVになるのかもしれません。

水素燃料の航空機については自動車と同じように、水素を燃料電池として利用してモーターでプロペラを回すパターンと、水素エンジン(ガスタービン)を利用するパターンがあります。自動車の方はトヨタが中心に取り組んではいるものの水素エンジンはまだこれからで、燃料電池車のほうが進んでいる気がしますね。ただ、航空機の場合は現在の大型ジェット機と考えると、水素エンジンが完成しないと置き換えは難しそうです。

水素を利用した旅客機については、エアバスが2020年にコンセプトを発表しています。

コンセプトの発表ではありますが、2035年の実用化を目指すとしています。なんとなくですが、水素エンジンについては自動車よりも航空機のほうが2030年、40年代に進みそうな気がしますよね。自動車はもうBEVと燃料電池車で良いじゃない、となりそう。

先日、HondaJet 2600について本ブログで取り上げました。

ホンダもSAFに取り組んでいる企業です。実際、HondaJetでのSAFの試験なども実施しています。

SAFも良いのですが、ぜひ航空機向けの水素エンジンにもチャレンジして欲しいでところですね。二輪向けには水素エンジンのコンソーシアムを立ち上げたようなので、ぜひ航空機にも応用して欲しいと思います。川崎重工といい、二輪向けエンジンを小型航空機にに転用しよう!というのは結構やれそうなので。

色々書きましたが、水素を活用した航空機の登場は2030年代になるかな、と思っています。まずは2020年代にeVTOLをはじめとする小型電動航空機がどこまで実用化されるのか、に注目ですね。

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