火曜日, 4月 18, 2023

SkyDrive社製eVTOL「SD-05」の個人販売開始について

 eVTOL国内ベンチャーの雄SkyDriveが2人乗りeVTOL「SD-05」の個人販売を開始したと発表しました。

空飛ぶクルマ「SD-05」の個人向け予約販売も開始!第一号機は千葉功太郎氏が予約購入 SkyDrive 2023.04.13


この「SD-05」は大阪万博で商用運航をする予定の機種ですね。

報道によると150万ドル(約2億円)だそうです。この価格が本当だとすると、ちょっと高すぎる気がします。前回の記事「eVTOLに必要なもの」にも記載しましたが、マルチコプタータイプ2人乗りeVTOLの価格上限は1.2億円(100万ドル程度)だと思っています。150万ドルというのが本体価格だけかどうかは分からないのですが、本体価格だけであればかなり強気ですね。ちなみにEHangの同じくマルチコプタータイプ2人乗りeVTOL「EH216」は34万ドル弱です。ただこちらは中国メーカーなので、型式証明などで今後ゴタゴタするかもしれませんが。

更に同じタイプ2人乗りeVTOLにはVolocopter社(ドイツ)のVolocityがあるのですが、こちらの価格は情報がなくよく分かりません。ただ、Volocityは大阪万博で飛ぶ予定なので、近いうちに判明すると思います。


というか、そもそもなのですが「SD-05」が残り2年を切った大阪万博開幕に間に合う気がしません。情報が出ていないだけかもしれませんが、まだ飛んでないですよね?航空機の開発は飛んでからが本番と言われているのに、まだ実機が飛んでいないのであればまだまだ道のりは遠い気がします。

技術的な観点で言えば、1人乗りの実証機「SD-03」をもっとしっかり作り込んで経験を積んでから2人乗りに手をつけたほうが良かったのでは?と思うところです。別のeVTOL国内有力ベンチャーであるテトラ・アビエーションはそういうアプローチをしています。

ただ、SkyDrive大阪万博で飛ばすぞ!商用運航するぞ!という話が先に来てしまっているので、最低限でも乗客を乗せることが可能な2人乗りに着手せざる得なかった、という状況かとは思います。現場はかなりキツイ事になっているかもしれませんが、既に最低限デモ飛行できれば、などの落とし所は調整しているのかもしれませんね。


SkyDrive については開発が間に合うのか、という話とは別に資金切れも気になるところです。報道によると2022年9月時点で累計約147億円を調達しています。

SkyDrive、総額96億円の資金調達により空飛ぶクルマの開発を加速 ドローンジャーナル 2022年9月28日

更に今月、シリーズC追加調達を実施しています。(金額は不明)

シリーズC追加調達を実施 「100 年に一度のモビリティ革命」実現のために、『空飛ぶクルマ』と『物流ドローン』の開発を強化 SkyDrive 2023年4月6日

eVTOLの開発は800億円〜1000億円程度の費用がかかると言われています。それと比較すると圧倒的に資金不足です。今回の先行販売も資金繰り、もしくは資金集めのアピールのために前倒しで実施したのかもしれません。今後も実機が飛んだ、型式証明登録が見えてきたなどのタイミングで資金調達が加速しそうです。ただ、あまり良いことだけ言って資金を集めると、後々訴訟問題になりかねません。そのあたりのバランスが難しいですね。


eVTOLに挑んでいる国内ベンチャーは意外と多くあるのですが、その中で有人飛行ができるレベルの機種を実際に完成させているのは、私が確認した範囲ではSkyDriveとテトラ・アビエーションくらいです。(別で空飛ぶバイクなどはありますが。)なんとか頑張って実用化、販売開始を目指して欲しいと思います。それとは別でHondaのeVTOLには期待していますけどね。

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