日曜日, 10月 27, 2019

米国防総省のクラウド契約、マイクロソフトに決定

米国防総省は25日、総額100億ドル規模のクラウド契約先をマイクロソフトに決定したと発表しました。

米国防クラウド大型案件、AmazonでなくMicrosoft受注 日経新聞 2019/10/26
【シリコンバレー=佐藤浩実】米国防総省は25日、新たなクラウドサービスの契約を米マイクロソフトと結ぶと発表した。契約額は最大で100億ドル(約1兆円)規模にのぼる見込みだ。米政府機関で最大のクラウド調達となる今回の案件をめぐっては米IT(情報技術)各社が競争を繰り広げ、トランプ大統領も選定プロセスに介入していた。
国防総省がマイクロソフトと契約を結んだのは、契約期間が10年にわたる「JEDI」と呼ぶプロジェクト。クラウドを活用した最新のITで、職員の業務や作戦遂行を支える。同省のダナ・ディーシー最高情報責任者(CIO)は今回のクラウド契約が「(国防戦略において)重要なステップになる」と述べた。
この「JEDI」プロジェクトですが、元々今年の8月頃には結果が発表される予定でした。しかし、オラクルが連邦裁判所に訴えたり、ロビー活動を行うなどして決定を妨害したため、発表が延期となっていました。

オラクル控訴で米国防省1兆円規模のJEDIクラウド入札勝者発表は延期 techcrunch 2019年8月27日
賞金が100億ドル(約1兆580億円)の場合Oracle(オラクル)の執念深さは見上げたものだ。米国防省が計画しているJEDIクラウドの調達プロセスについて、1年以上にわたってOracleは考えられるかぎりの法的手段を使って抗議を続けてきた 。しかしそのつどプロセスに問題があることの立証に失敗している。先月もOracleの訴えを連邦裁判所は棄却したが、それで諦めるOracleではなかった。
Oracleは米国を代表するコンピューティングサービスの1つだが、自分たちの利益が不当に脅かされていると感じれば泣き寝入りする会社ではない。特に連邦政府の調達が100億ドル規模とあればなおさらだ。米国時間8月26日に発表された訴訟は連邦請求裁判所(Federal Claims Court)の上級裁判官、Eric Bruggink(エリック・ブルッギンク)判事の判決に対する控訴だ。今回、Oracleの主張は1社の総取りとなるようなJEDIの調達プロセスそのものが違法だとしている。
 (中略)
トランプ大統領は先月、マーク・T・エスパー国防長官に「調達プロセスが不当にAWSに有利だ」という主張を再度調べるよう命じた。その調査は現在続いている。国防省は4月にAmazonとMicrosoftの2社をファイナリストとして発表した。8月末までに勝者を指名するはずだったが、抗議、訴訟、調査が続いているためまだ決定できない状況だ。

今回の入札は最終的にAmazon(AWS)かマイクロソフト(Azure)の2社だけが候補に残っていました。(Oracle、IBMは要件を満たせず、Googleは辞退)
多くの予想ではAWSに決まるだろうと思われていましたが、いや、正確に言うと入札仕様書を作ったのが元AWSの社員という話もあり、AWSありきの入札と思われていました。(来月そんなことはなかった、という報告書がデルようですが。)しかし、最終的にはAzureに決まりましたね。正直びっくりです。

AWSでもAzureでもどちらでも対応可能だとは思いましたが、最終的にAzureになったのは政治的な圧力があったことが主要な要因でしょう。なんと言ってもトランプ大統領が大嫌いなワシントンポストは、Amazon CEOのジェフ・ベゾスの傘下ですから。国防総省としては、本当はAWSが良かったけれどホワイトハウス側がうるさくてなかなか決まらず、このままプロジェクトが遅れるくらいだったらAzureで行こう、と考えたのでは?と勝手に推測したりしています。

まあ何にせよ、大きな問題がなければ今後10年間の米国防総省のインフラ基盤はAzureになるわけです。次の10年のAIなどに関する技術革新はこれまでと比べ物にならないと推測されますが、米軍のIT技術革新はマイクロソフトの技術力に委ねられる事になったわけですね。また、Iaasを中心としたクラウドに関してはAWSが業界首位でしたが、今回の決定を踏まえて、Azureがどこまでその差を詰めていくのか、また他のユーザ、プレイヤーがどう動くのかに注目です。

(ご参考)
トランプ氏、国防総省のクラウド契約に介入か 前長官スタッフが内幕本 CNN 2019.10.27
米国防総省クラウド入札の行方 2018/9/20
※以前この入札について取り上げた本ブログ内の記事です。 

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