前回に引き続きですが、eVTOLに関連するニュースなどの情報を色々と見た結果を踏まえ、今後の動向を予想してみます。
- 2025年に向けてeVTOL(空飛ぶクルマ)が盛り上がる
- 2025年-2030年にかけて実証実験が進む一方、航空機の型式証明がなかなか取れず倒産するベンチャー、撤退する企業が続出する
- 2025年-2030年にかけて型式証明が取得できないため、eVTOLを無人ドローンに転用し、物流用途に利用しようという流れが生まれる
- ただし、完全EVのeVTOLは航続距離が短い、バッテリーが痛みやすい等の課題が多く、実際に利用されるのはハイブリッド、エンジン搭載型となる
- 2030年前後に商業化が始まるが、パイロット不足のため細々としたスタートとなる
- 一方で、2025年頃からeVTOLの離発着場、所謂空の道の整備が進み、環境は整う
- 2035年-2045年?eVTOLの自動運行の実現により普及が進む
1.2025年に向けてeVTOL(空飛ぶクルマ)が盛り上がる
これは言わずもがなですが、大阪万博が2025年に開催され、その目玉の1つがeVTOLです。ですので、政府、大阪府含め、制度など環境が25年までに急速に進められ、マスコミなども大きく取り上げると考えられます。
25年の大阪万博で空飛ぶクルマ4機種が舞う、ANAやJALが運用 日経XTECH 2023年2月22日
また大阪万博での採用も決まっているJoby Aviation S4も2020年頃から米国連邦航空局(FAA)による型式証明のプロセスに入っており、2023年-2024年の型式証明取得を目標としています。三菱重工のスペースジェットの事例からも分かるように、型式証明取得は簡単には行きませんが、Joby Aviation S4はNASAも入っているプロジェクトなので、まあ2025年にはなんとかなるのではないでしょうか?
このように先行して型式証明を取得するeVTOLも現れ始めるので、2025年頃までは盛り上がると予想されます。
2.2025年-2030年にかけて実証実験が進む一方、航空機の型式証明がなかなか取れず倒産するベンチャー、撤退する企業が続出する
eVTOLは既に実証実験や個人用途で飛んではいます。が、旅客用に利用するためには型式証明取得が必須となります。先行している企業何社かは2025年前後よりパラパラと型式証明を取得していくと考えられますが、現在数多くいるeVTOLに取り組んでいるベンチャー企業はこのあたりで多くがギブアップするのではないでしょうか?
2025年から2030年あたりにかけて倒産、買収等々が進み、業界が再編されると予想します。また、旅客機としてのeVTOLを断念し、個人の趣味用途(ホームビルド航空機)や、荷物を運ぶ用のドローンへの転用で生き残りをかける企業も一定数あると考えられます。
3.2025年-2030年にかけて型式証明が取得できないため、eVTOLを無人ドローンに転用し、物流用途に利用しようという流れが生まれる
eVTOLは言ってしまえば人が乗れるドローンです。FAAなどの型式証明取得のハードルは旅客用の航空機だと非常に高いですが、無人機であればハードルが下がる可能性があります(正直、このあたりは今後どのような扱いになるのかが不明瞭な部分で、現時点ではハードルが下がると言い切れないところはあります)。そのため、旅客用の型式証明取得が難航した場合、無人機としての利用に活路を見出すというのは自然な流れです。
ドローンのレベル4飛行については2022年12月5日より解禁となっており、既に1機種認定されており、今後も増えていくと考えられます。
無人航空機レベル4飛行ポータルサイト 国土交通省
4.ただし、完全EVのeVTOLは航続距離が短い、バッテリーが痛みやすい等の課題が多く、実際に利用されるのはハイブリッド、エンジン搭載型となる
バッテリーだけのeVTOL、特に小型の1-2人乗りのものは航続距離が極めて短い(数キロレベル)ものが多いです。このレベルだと河を渡るレベルの用途であれば問題ありませんが、離島や山岳部への物流には対応できないと考えられます。往復もありますし、充電時間も課題になりそうです。既に現時点でもeVTOL、ドローンともにハイブリッド型やエンジン搭載型が次々に発表、実際に開発されていますので、実際に物流ドローンとして活躍するのはEVではなく、これらを動力とした機種になると考えられます。
5.2030年前後に商業化が進むが、パイロット不足のため細々としたスタートとなる
盛り上がった2025年以降、型式証明を取得し、実運用に入ることができる機種も現れます。しかし、実際の運行はそこまで多くないと予想されます。というのも、そもそも現時点においてヘリなどのパイロットの高齢化、不足が問題になっているからです。
それでなくても人手不足のパイロットを、従来のヘリなどから搭乗人数が少ないeVTOLの運行に多く割り当てることは話が矛盾している気がしますよね。一方で無人ドローンについてはそういった課題はありませんので、eVTOLより先に普及する気がします。ただし、こちらも都心部では安全性上の懸念からなかなか進まず、離島、山岳地域など既存の物流に課題が多い場所からの活用となると考えられます。
6.一方で、2025年頃からeVTOLの離発着場、所謂空の道の整備が進み、環境は整う
こういった事業は手の出しやすいところから始まると推測されるため、eVTOLの離着陸場は早々に整備される気がします。またeVTOL、無人ドローン用の空の道の整備は進むと思いますので、2030年頃にはかなり環境は整うのではないでしょうか。
7.2035年-2045年?eVTOLの自動運行の実現により普及が進む
どこのタイミングで実用化が進むのかというのもありますが、eVTOL最大の魅力は自動運転だと考えています(eVTOL以外の乗り物もそうなのですが)。これが技術的にも制度的にも確立され実用化されると、一気に普及が進むと考えられます。もしかしたらその頃にはバッテリー技術も向上し、バッテリーのみの機種でも十分な航続距離が出ているようになるかもしれません。
こうなってくると費用的な問題はあるものの、人の流れが大きく変わり、医療、観光など、大きな変革がありそうですね。
0 件のコメント:
コメントを投稿