政府系クラウドに参入した富士通は、AWSとどう戦うのか? 狙いは「政府共通プラットフォーム」に載らないシステム ITmedia 2020年04月02日
この記事は富士通が日本政府向けクラウドに参入しますよ、という発表を行ったという記事なのですが、その中で気になる一節がありました。
総務省が手掛けるAWSベースの政府共通プラットフォームは、これまで府省が別々に運用してきた情報システムをクラウド上に集約したもので、運用体制の統一によるコスト削減効果とセキュリティ強化を見込んでいる。これについて「政府共通プラットフォームに載るのは政府全体の資産の8.8%で、ごく一部に過ぎません」と指摘するのは、富士通の出口雅一氏(戦略企画・プロモーション室 クラウドストラテジー統括部 シニアディレクター)だ。この「政府共通プラットフォームに載るのは政府全体の資産の8.8%で、ごく一部に過ぎません」というのは、現実全くその通りなんですよね。でもこれって、現行の政府共通プラットフォームの大きな問題の一つではないでしょうか?
この記事は富士通の発表に関する記事なのでそのあたり深く突っ込んではいませんが、結局のところ総務省主導による政府用プラットフォームの共通化、それによるコストの削減がうまく行っていない、という問題がずっと続いているわけです。これは各省庁が各々の案件ごとに入札を行っているためで、まあ競争を持たせるために入札を行うのは仕方がない部分もありますが、それを改善できていない状況が続いていることが原因なわけです。結果として政府の情報システムの90%以上が案件ごとに構築され、各々のルールで運用されています。まあ、無駄が多くなりますよね。
「クラウド・バイ・デフォルト原則」というのも良いと思いますし、そのための基準策定も必要なことなので良いと思います。しかし、結局この「政府共通プラットフォーム」に情報インフラ基盤を寄せていく、ということを総務省がリーダーシップを持って行わない限り、結局様々なクラウド環境に細々とシステムが構築されていく状況になるだけでしょう。ある意味、定期的なインフラリプレイスがないクラウドの方が厄介なことになるかもしれません。
本当はIT担当大臣などがリーダーシップを発揮するべき部分なのですが、まあ今の大臣にそんなことは無理でしょうね。そして、この問題について認識していると思われる富士通がこの現状を嬉々としてビジネスチャンスと説明しているのも、まあ残念です。
一方でアメリカは国防総省のJEDIプロジェクトなど、思い切って1社に寄せようとしているのが凄いですよね。まあ、それはそれで問題は色々生まれそうではありますが、情報システムの効率化などの観点では圧倒的にメリットがあるように思えますよね。やはりIT関連に関しては、アメリカのほうが日本より数年先を歩いている(というか走っている)と改めて感じます。
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