火曜日, 10月 18, 2016

【クラウドサービス動向その2】IaaSはどこまで普及するのか?オンプレとIaaSのコスト比較(低スペックサーバ)

最近、一気にクラウドサービス、特にSaaS、IaaSが普及しています。クラウドサービスの究極はSaaSだとは思ってはいるのですが、既存の資産の移行などを考えると、当面IaaSも活躍するかな、と考えています。

IaaSは既に相当普及しています。では、どこまで普及するのかのでしょうか?例えば、ITサービスを生業としいない一般的な企業が利用するサーバのうち、どの程度の割合がIaaS上で動くようになるのでしょうか?クラウド市場に関する予測については色々な調査機関が公表しているのですが、サーバの配備比率についての予測はちょっと見つけられませんでした。

私の予想としては国内においては、2020年にIaaS側が5割を超えるくらいではないかと考えています。理由としては、既にIaaSを利用し始めている企業、これから利用する企業がこれから4年でサーバリプレイス後にIaaS環境に載せていくと考えると、感覚的にこんなもんかな?といったところです。ちなみに、2015年の国内サーバー市場規模は5,070億円でした。IaaS/PaaSは2015年は1260億円で、2019年には3500億円規模になるという予測があります。そのあたりを考慮すると、当たらずといえども遠からず、といったところではないでしょうか?

2015年 国内サーバー市場動向を発表
2016年3月28日 IDC Japan株式会社

クラウド基盤サービス(IaaS/PaaS)市場に関する調査を実施(2016年)
2016年8月5日 株式会社矢野経済研究所

さて、IaaS化がどこまで進むかはAIだとかIoTだとか色々な要因もあるかとは思いますが、結局はコストだと考えています。というか、ほぼコストだと考えています。IaaSとオンプレのコスト比較というのは結構難しくて、IaaSには物理サーバの運用管理費、データセンタ費、電気代などが含まれているので、単純にはオンプレハードとの比較はできません、と私自身もよく説明しています。現行でハウジングやホスティング契約をしている企業であれば、トータルコストで見ると安いよね、となります。しかし、ずっと自社持ちでハードの面倒も見ている企業だと、なかなか理解してもらえないところです。ではどうすれば良いのか?答えは明瞭で、オンプレよりもIaaSが安くなれば良いのです。

ということで、価格比較をしてみましょう。サーバの価格比較はスペックや、オンプレでも仮想統合すると、などと考え出すと切りがありません。そこで、今回は小規模なファイルサーバを想定し、低スペックなサーバ1台で比較しています。

【オンプレサーバ見積】
オンプレサーバは2015年に国内シェアが1位だった富士通製にしてみました。構成、価格は以下のとおりです。

  • PRIMERGY TX1320 M2
  • OS:Windows Server 2012 R2 Standard
  • CPU:Pentium プロセッサー G4400 (3.30GHz/2コア/3MB)×1
  • メモリ:4GB
  • ディスク:500GB×2(RAID1)
  • UPS(Powerchute含む)
  • サポートパック×5年(本体/UPS)

合計価格:685,400円

5年保守パックやUPSを付けているので単純構成+α感はありますが、このくらいは良いでしょう。ディスクもコストを抑えるためにSATAにしています。HPの方が安いんじゃない?とか営業に割り引いて貰えないの?とかあるかも知れませんが、今回はこの価格を5年間の費用として考えます。場所代、電気代は無視です。

【IaaSサーバ見積】
IaaSの見積もりは国内シェア1位のAWS、2位のAzure、国産IaaSのニフティクラウドの3社で算出してみました。

AWS

  • Windows、t2.medium $ 73.20/月
  • general purpose ssd 500GB  $ 60/月

合計価格:$ 133.20/月×60ヶ月=$ 7,992(5年費用)
※1ドル110円換算だと、879,120円(5年費用)

Azure

  • A2(2vCPU/3.5GB):¥14.79/時間×720時間=10648.8円
  • Storage  LRS    ¥5.10/GB×500GB=2550円

合計価格:13,198.8円/月×60ヶ月=791,928円(5年費用)

ニフティクラウド

  • e-small4 1vCPU・4GB 9,500円/月
  • Windows OS 2,500円/月/1vCPU
  • 標準ディスク 2,000円/100GB/月×4=8,000円
※ニフティクラウドはシステム領域80GBが標準で確保されるため、データ領域として400GBを見込む

合計価格:20,000円/月×60ヶ月=1,200,000円(5年費用)

IaaS部分の見積もりは色々と細かい考慮はしていなくて、例えばAWSとAzureはネットワーク転送に対する課金を顧慮していません。(ニフティクラウドは10TBまで無料。)また、Azureは今回選択しているディスクの場合、IOに対しても課金が発生します。全てに共通で、ネットワーク部分(VPNなど)の費用は考慮していません。とは言いつつ、一旦これで比較をしてみましょう。

5年間総額での比較です。

オンプレサーバ 685,400円
AWS 879,120円
Azure 791,928円
ニフティクラウド 1,200,000円

やっぱりニフティクラウドは高いですね。でも、Azure、AWSはこの構成だとSLA対象外ですが、ニフティクラウドはこの構成でも対象になります。また、予告メンテ停止が発生しない、というメリットがあるんですけどね。AWS、Azureについてはどうでしょうか?なんか惜しい!って感じですね。ただ、AWSの場合長期契約をする前提で利用するリザーブドインスタンスという契約方式があって、3年契約分の割引を考慮すると、5年だと$ 5,658.6(622,446円)になります。ギリギリ潜って来ましたね。

今回の比較ではまだ若干IaaSの方が高い見込みとなりましたが、IaaSサービスは現在競争が激しく、どんどん値下げしています。そのため、いつの間にかIaaSの方が安いよね、と近いうちになると思われます。後は、最初にも記載しましたが、オンプレの場合は電気代や場所代、そしてなにより物理ハード管理の手間があるのです。そこのコストを考えれば既に十分IaaSにする価値はありますね。

またそのうち、少し違った観点で分析してみたいと思います。

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