土曜日, 10月 15, 2016

【クラウドサービス動向その1】VMware Cloud on AWSの発表とその影響

かなり久しぶりの投稿ですね。最近クラウド専任で仕事をしているのですが、クラウド技術って変化が激しいですし、今が普及期かなと思います。こういった変化が多い時期に少しでも投稿しておくと、後から読み返したときに面白いかなと思ったので、ちょっと何か書いてみます。ちなみに、自分が担当しているのはほぼIaaSです。

今週、クラウド業界に大きなニュースがありました。それは、AWSとVMwareの提携です。
 米Amazon Web Services(以下、AWS)と米VMwareは13日(米国時間)、米サンフランシスコにおいて共同会見を開催、AWS上でvSphereベースのプライベートクラウド環境をネイティブに利用できる「VMware Cloud on AWS」の提供など、ハイブリッドクラウドでの両社による戦略的提携を強化していく方針を発表した。
 会見にはAWSのアンディ・ジャシー(Andy Jassy)氏、VMwareのパット・ゲルシンガー(Pat Gelsinger)氏の両CEOがそろって登壇、パブリッククラウドとプライベートクラウドのトップによる提携のインパクトの強さをあらためて印象づけている。
AWSとVMwareがハイブリッドクラウドで戦略的提携を発表、「VMware Cloud on AWS」を提供へ
クラウドWatch 2016年10月14日

どうなんでしょうか?自分的にはこれはかなり大きなニュースだと思います。
AWSは言わずと知れたパブリッククラウドの先駆者で、世界シェアも3割、国内シェアに至っては4割を超えています。一歩VMwareと言えば、仮想化ソフトウエアで大きなシェアがあり、何よりVMwareを利用したクラウドサービスが結構あるのです。

確かにAWSは他のクラウドと比較し、ハイブリッドクラウド構成が難しいパブリッククラウドサービスなイメージがありましたし、実際にそうです。AWSの中の人達も、オンプレの延長ではなく、クラウドネイティブの構成を組んでください、といつも説明しています。一方で、VMwareは自身のクラウドサービスvCloud Airはあまりうまく行っていないように感じます。米国はよく分かりませんが、国内では17年3月でサービスが停止してしまいます。

これからますます普及していくクラウドで、取りこぼしがないようにAWSはここで手を打っておきたかった、と考えられますね。VMwareの方は今年は色々と提携の話やマルチクラウド対応の話を勧めていましたが、一番大きなところとも提携を進めてました、ということでしょう。しかし、1番と1番の提携っていうのは何かズルい気もします(笑)

この提携の影響は色々とあると思いますが、自分は以下の3つを注目しています。

1つ目は、VMwareを基盤に利用している国内クラウド事業者が今後どうしていくかです。世界規模で考えると一番小さい話なのですが、今国内でクラウドに携わっているもとのしては気になります。まあ、当面動きはないと思いますが、vCloud Airは国内ではVMwareパートナーから提供されています。それ以外でもVMwareを利用している事業者は多いですよね。彼らがAWSと対抗するときの決め文句の一つが、「AWSと違って、既存のオンプレのVMware環境をそのまま持ってこれますよ!クラウドをやめたいときも、簡単にオンプレに戻せますよ!」です。アプリケーション層の見直しが嫌なユーザ、ベンダーロックインを恐れているユーザには、これは結構効きますね。でも、それと同じことがAWSで出来るようになったら、AWSなら更にAWSの様々な機能も利用できますよ、という話になったら、どうしたもんでしょうか?VMware Cloud on AWSはまだ詳細が出てきてないですし、17年半ば提供とのことなので、まだ機能も価格も分かりませんが、どう差別化出来るのかは注目ポイントです。

2つ目はクライアント仮想化部分の提携に関してす。1つ目とも少し関連しますが、VMwareのクライアント仮想化製品であるVMware Horizon Viewは、色々な事業者が仮想ディスクトップサービスとして提供しています。今回の発表には全くここの話は出て来てませんので、AWSは扱わないかもしれないですが、個人的には注目しています。というのも、マイクロソフトのクラウドサービスであるAzureでは、独自の仮想ディスクトップサービスであるAzure RemoteAppの提供を止め、Citrixと共同開発のXenApp "express"に切替えることを発表しています。(サービス停止は17年8月末予定)。Windowsのターミナルサービス系では、CtrixとVMwareは2強ですからね。それがそれぞれクラウドサービスの2強と手を組んでタッグマッチをやるというのは面白そうです。
AWSも独自にAmazon WorkSpacesというサービスを提供していますが、どうなるでしょうか?個人的な見解としてはAmazon WorkSpacesを止めることはないと思いますが、VDI(クライアントOS提供)でVMware Horizon Viewを提供してくる可能性はあるのではないかと考えています。Amazon WorkSpacesはサーバOSをクライアントとして利用するタイプなので、動かないソフトが結構あるんですよね。そいうった場合はクライアントOS提供が良いのです。でも、ここを独自に作って差別化するのはあまり価値がないと思うので、クライアントOS提供のサービスをAWSが出すのであれば、VMware Horizon Viewを使うのかな、と思います。出すのであれば、ですが。

3つ目はGoogleがハイブリッドクラウドに対してどのような手を打ってくるかです。今回の提携で、AWSはパブリッククラウド中心のサービスではありますが、弱点であるハイブリッドクラウド部分を克服しようとしています。2番手のAzureは元々オンプレHype-Vと相性が良いですし、その連携はWindows Server 2016では更に顕著になりそうです。また、大規模なプライベートクラウドが構築できる、Azure Stackという製品ももう暫くすると提供されます。つまり、2番手のAzureは元々ハイブリッドクラウド構成は得意分野なんですよね。一方で、Googleのクラウド戦略でハイブリッドクラウドの対応をどうするかはあまり聞こえて来ません。年内に国内リージョンも本番化される予定のはずで、来年は国内でも普及が進むかなと思っているのですが、普及のためにはハイブリッド対応への答えも必要なのかも知れません。

本当に、クラウドサービスは話題が多いですよね。専任でやってても拾うだけで大変です(笑)AWSは11月にも大きなイベントがありますので、そちらの発表も期待しましょう!

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