月曜日, 7月 24, 2006

情報セキュリティ市場の行方

今回は普段とは内容を少し変えて、「情報セキュリティの市場がこれからどうなっていくか」について少し考えてみたいと思います。

まず、 IDC Japanが6月15日に国内セキュリティ・ソフトウェア市場予測を発表していますので、そちらを見てみましょう。以下はOpen Tech Pressからの引用です。
IDC Japanは6月15日、国内セキュリティ・ソフトウェア市場の予測を発表した。それによると、2005年の同市場は、個人情報保護法対策に加え、エンドユーザーのセキュリティ脅威に対する認識の高まりなどを受け、前年比21.9%増の1,324億円と大幅な成長を遂げた。2005~2010年の年間平均成長率(CAGR: Compound Annual Growth Rate)は11.2%と、引き続き高い成長が続く見通しだ。

 同社によると、国内セキュリティソフトウェアは、グローバル化、複雑化する脅威への対策に加え、情報保護、管理に関わる法規制の強化という2つの大きな要因に支えられ、今後も伸びが期待されるが、長期的には、技術のコモディティ化による価格低下の傾向により、伸びは緩やかになるという。
【IDC調査】2005年の国内セキュリティ・ソフト市場、21.9%増の1,324億円に Open Tech Press 2006年6月16日

2004年から2005年にかけて情報セキュリティ市場は21.9%増という大きな伸びを示しています。やはり2004年から2005年にかけては個人情報保護法などの影響もあり、一気に情報セキュリティ対策が広く普及しましたからね。それまでは主にウイルス対策のみだった情報セキュリティ対策が急激に幅広い分野になっていきました。例えばデータの暗号化、操作監視などの分野が急速に確立していったわけです。

さて、今後の市場予測ですが2005年から2010年まで平均11.2%の成長が見込まれるようです。なかなかいい数字ではないでしょうか。しかし、重要なのはその中身です。

現在、情報セキュリティ対策に費用をかけているのはお金に余裕のある大きな企業・団体と、情報セキュリティに熱心な中小企業・団体です。しかし、これらの企業・団体の投資はすでに一定の水準に達しています。つまり、情報セキュリティ製品を売る側としては現状の市場に頼っているのでは成長することはできません。狙うは現在情報セキュリティにあまり投資をしていない(していたとしてもウイルス対策ぐらいの)中小企業・団体です。

以下はIT Proからの引用です。この調査は日本だけではありませんが、日本でも同じことを言うことができるのではないでしょうか。
 米Access Markets International(AMI)Partnersは米国時間6月26日,中堅・中小企業(SMB)のセキュリティ関連支出に関する調査結果を発表し た。それによると,2006年には,SMBはITセキュリティ強化のために114億ドルを費やす見通しであるという。また今後数年間は,中小企業による ITセキュリティ関連支出が年間2ケタ台の成長率をみせると予測する。

 調査は,北米,欧州,アジア太平洋地域の20カ国以上を対象に実施したもの。従業員数が1~99人を小規模企業,100~999人を中規模企業と定義している。

「中小企業のITセキュリティ支出,2006年は114億ドルに」,米調査 IT Pro 2006年6月28日

以上のように、今後は中小企業・団体市場の成長が大きく見込まれるわけですが、重要なのは中小企業が必要としている製品・サービスは大企業がすでに導入しているそれとは異なっているということです。中小企業・団体の求めているものを上手に用意できる企業が今後情報セキュリティの市場で大きく成長することができるでしょう。

<参考>
国内セキュリティ市場は2006年以降も高い成長率を維持 NETWORKWORLD Online 2006年7月18日
「セキュリティ市場は急成長、2006年以降も高い成長率を維持」―IDC Japan Enterprise Watch 2006年7月11日
2005年の国内セキュリティソフト市場は1324億円、個人情報保護法対策が後押し ITnedia 2006年6月15日

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