日曜日, 7月 27, 2025

〖2025年7月版〗国産クラウド(IaaS)最新動向まとめ

 2020年1月版・2019年1月版で国産クラウド(IaaS)をまとめてから5年近くが経ちました。この間に各社のサービス統廃合や新規参入、政府のガバメントクラウド整備など大きな動きがありました。2025年7月時点の国産クラウド動向を振り返り、主要サービスをカテゴリー別に整理します。対象は国内企業が自社の設備とブランドで提供するIaaSに限定し、ハイパースケーラーのリセールサービスは除外します。

国産クラウドを取り巻く環境

2023~2025年にかけて、日本政府はガバメントクラウドの整備を進め、ISMAP(情報システムセキュリティ管理評価制度)に登録されたクラウドのみを調達する方針を示しました。経済安保の観点からデータ主権を守る国産クラウドの重要性が増し、円建て価格や日本法準拠、国内サポートといった特徴を持つサービスが再評価されていますcloud.sakura.ad.jp。また、2024年4月には富士通クラウドテクノロジーズの「ニフクラ」が「FJcloud‑V」に統合されるなどブランド再編も進みましたfujitsu.com

〖通信事業者系〗

NTTコミュニケーションズ/ドコモビジネス – Smart Data Platform(SDPF)

旧「Enterprise Cloud」をベースに再編された SDPF は、データ利活用に必要な機能をワンストップで提供する次世代プラットフォームです。クラウド/サーバー機能はISMAPで求められるマルウェア対策や暗号化機能などの高いセキュリティ要件を満たしntt.com、2021年にISMAPクラウドサービスリストに登録されました。サービスメニューにはポータルによる管理機能、オンデマンド型ベアメタルサーバーや仮想サーバー、ブロック/ファイルストレージ、ファイアウォール、イメージ管理などが含まれていますntt.com。NTTはISO 27001やISO 27017を取得しntt.com、今後もサービス強化と対象リージョン拡大を図るとしていますntt.com

KDDI – KCPS(KDDI Cloud Platform Service)

KDDIのクラウド基盤は、共有型の「バリュー」と専有型の「プレミアム」で構成されています。バリューでは12種類のvCPU/メモリ構成から選択でき、プレミアムでは16 vCPU/64 GBメモリの物理サーバーを専有で利用できる他、ストレージを複数ノードに分散する「Extra Availability」オプションを提供しますbiz.kddi.com。同サービスはSOC1・SOC2 Type2を継続取得し、ISMAP登録(認証番号 C21‑0010‑2)も行っておりbiz.kddi.com、公共案件の調達要件にも対応しています。

BIGLOBE – BIGLOBEクラウドホスティング

BIGLOBEのIaaSは国内データセンターで運営される純国産クラウドで、VMware仮想化による高品質なサーバーを提供します。サーバーやストレージは5分程度で追加可能で、プライベートLAN・ファイアウォール・WAF・VPNなどの機能を備え、データ転送量は無料ですjpn.nec.com。事業者向けサービスとしてSLA 99.99 %を保証し、ISO/IEC 27001・Pマーク・PCI DSS認証を取得したデータセンターで運用されていますjpn.nec.com

ソフトバンク – ホワイトクラウド ASPIRE

ソフトバンクの自社クラウドはVMware vSphereを基盤とし、ソフトバンクの信頼性の高いネットワークとデータセンターを組み合わせたIaaSです。稼働率99.999 %のSLAを掲げ、ISMAPへは2022年6月に登録されています。また、2023年10月にはVMwareの主権クラウドプログラム(Sovereign Cloud)の認定を受けましたsoftbank.jp

IIJ – IIJ GIOインフラストラクチャーP2

IIJ GIO P2は、仮想サーバーとベアメタルサーバーを柔軟に組み合わせ、公私のリソースを混在させたハイブリッド構成を実現するIaaSです。VMware環境をそのまま移行できるホステッドプライベートクラウドとパブリックリソースを提供し、システム特性に合わせて最適な組み合わせが可能だと説明されていますiij.ad.jp。昨年からは新リージョンやGPUなどのオプションが強化されています。

〖国内SIer系〗

CTC – CUVIC mc2

伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)のCUVIC mc2は、基幹システム向けの高信頼・高性能なIaaSです。SAP ERP/S 4HANA用途を意識し、必要なIT基盤を実利用分で課金する従量制を採用しています。利用企業の中でコアシステムに採用される例が多く、一般的なパブリッククラウドでは不足しがちな安定性と堅牢性を提供しますctc-g.co.jp

NEC – NEC Cloud IaaS

NECは2014年に自社開発の国産クラウド「NEC Cloud IaaS」を提供開始し、2020年に刷新しました。政府や企業のDXを支える基盤として、複数のリージョンで高信頼なサービスを提供し、ISMAPに対応するため認証取得を強化しています。資料では多要素認証やアクセス制御、環境分離、脆弱性管理などを備え、政府・自治体向け案件でも採用が進んでいるとしていますjpn.nec.com

日立 – エンタープライズクラウドサービス/ComiComiCloud

日立製作所は複数のIaaSラインアップを提供しています。エンタープライズクラウドサービスとその後継「G2」は、ISO 27017に基づくクラウドセキュリティ認証(ISMSクラウドセキュリティ認証)を取得しており、IaaS/PaaSの主力サービスとして登録されていますhitachi.co.jp。さらに、日立は従量課金型プライベートクラウド「ComiComiCloud」のマネージドサービスを拡充し、オンプレミスやパブリッククラウドを統合管理するハイブリッドクラウド運用サービスを2023年に開始しましたhitachi.co.jp。ComiComiCloudは顧客指定の場所に日立資産を設置して専有環境を構築し、シンプルな従量課金と標準サービスで基幹システムの運用を支援するのが特長ですhitachi.co.jp

富士通 – FJcloud‑V(旧ニフクラ)

富士通クラウドテクノロジーズが提供していた「ニフクラ」は2024年4月に「FJcloud‑V」に統合されましたfujitsu.com。FJcloud‑VはVMware vSphereをベースにした仮想化環境を提供し、仮想サーバーやネットワーク、オブジェクトストレージなどを自由に構成できます。またオンプレミスのVMware環境からの移行を容易にする機能も提供しますvalue-domain.com。ラインアップとしては仮想サーバーのほか、物理専有リソースを提供するFJcloud‑baremetalもあり、企業の用途に応じた選択が可能です。

〖データセンター事業者〗

さくらインターネット – さくらのクラウド

さくらインターネットのクラウドは「日本で一番わかりやすいクラウド」を掲げ、使いやすさ・連携性・シンプルな料金体系に重点を置いていますjaspanet.or.jp。GUIやAPIに加え地図ビューでリソース配置を可視化する管理画面や2要素認証・権限管理を備えjaspanet.or.jp、専用サーバやハウジング、VPS、AWS接続など他サービスと組み合わせる柔軟な構成が可能ですjaspanet.or.jp。料金は時間単位・日単位・月額で上限があり、データ転送量は無料jaspanet.or.jp。東京第1・第2、石狩第1・第2の4ゾーンを持ちjaspanet.or.jp、石狩データセンターは寒冷地の特徴を活かした省エネと低災害リスクで知られますjaspanet.or.jp。さくらのクラウドはISMAP登録済みでjaspanet.or.jp、バックボーン1.85 Tbps・1ホストあたり10 Gbpsのネットワークや冗長化構成により、月間SLA 99.95 %と自動フェイルオーバーを実現していますjaspanet.or.jp。2023年にはデジタル庁のガバメントクラウド対象として採択され、要件充足に向けた開発が進んでいます。

IDCフロンティア – IDCFクラウド

IDCFクラウドは国内15ゾーンを持つパブリッククラウドで、24時間365日サポート、99.999 %のSLAを提供しています。インスタンスは高性能なCPU/メモリ構成と独自開発のストレージ基盤を備え、専有ハードウェアやマネージドデータベース、ロードバランサー、コンテナ基盤など多様なサービスを提供していますidcf.jp。2024年2月にはメモリ内キャッシュ機能「CacheDB」を追加するなど、サービスの拡充を続けていますidcf.jp。IDCフロンティアはコロケーションや大手クラウドとの閉域接続を提供しており、ハイブリッド/マルチクラウド構成を支援していますidcf.jp

GMOクラウド – ALTUS(アルタス)ほか

GMOグローバルサイン・ホールディングスのクラウドサービスには、初心者向けクラウドサーバー「ALTUS by GMO」があります。Pleskでコマンド不要の操作ができ、電話サポートや0円からの低廉な料金、無制限のデータ転送を特徴としていますgmo.jp。さらに専用ハイパーバイザーによる「GMOクラウド Private」は、標準・バリューの2シリーズで企業向けの高セキュリティなプライベートクラウドを提供し、冗長構成や専用線接続、スケールアップに対応しますgmo.jp

NTTPC – WebARENA VPSクラウド

NTTPCコミュニケーションズが提供するWebARENA VPSクラウドは、オープンソースの国産クラウドコントローラー「Wakame‑vdc」を採用し、一つのコントロールパネルで複数インスタンスを一括管理できますweb.arena.ne.jp。インスタンスの起動や停止、バックアップやロードバランサー設定、セキュリティグループ管理などをGUIで実行できるほか、契約情報管理機能も用意されていますweb.arena.ne.jp。2024年にはGPU対応のIndigo GPUや高速回線を備えたIndigo Proも登場し、幅広い用途に応えています。

新規サービス

近年、生成AIブームに伴いGPUクラウド需要が急増しています。GMOインターネットグループは「GMO GPUクラウド」を立ち上げ、2024年発売のNVIDIA H200 GPUと国内初導入の高速ネットワーク「NVIDIA Spectrum‑X」、DDN AIストレージを組み合わせた高速学習環境を提供しています。サイトでは生成AIや機械学習向けに国内最速クラスのGPUクラウドをうたっており、TOP500ランキングで38.06 PFLOPSを記録し世界37位・国内6位となった性能を紹介していますgpucloud.gmo。また、GMOインターネットは2025年7月にVPSサービス「ConoHa VPS」をAIエージェントと連携するMCP(Model Context Protocol)対応にアップデートし、日本語で生成AIと対話しながらサーバー操作ができる機能を国内クラウド事業者として初めて公開しましたinternet.gmo。自然言語で「4コアのサーバーを作って」と依頼するとAIが自動的にVPSを構築するなど、AI時代の新しいクラウド運用手法を提案していますinternet.gmo

〖その他〗

旧記事で触れた楽天クラウドはその後動きが少なく、2025年7月時点では公式サイトへのアクセスも難しくなっています。NTT Comの「Cloudn」は2020年末でサービス終了し、SDPFへ統合されましたkuniyon.blogspot.com。国産クラウド市場は今後も統廃合と新規参入が続きそうです。

終わりに

2025年現在、国産クラウドはガバメントクラウドをはじめ公共・金融・製造など高度なセキュリティと法規制への対応が求められる領域で存在感を高めています。各サービスはISMAPやISO 27017認証を取得し、仮想サーバーに留まらずGPUやベアメタル、AI連携など多様化が進んでいます。ハイパースケーラーと比べてサービス範囲が狭いものの、円建て価格や日本語サポート、国内データセンターといった利点は大きく、用途に応じた使い分けが重要です。今後も政府のクラウド調達政策や経済安全保障の動向、新技術への対応によって国産クラウドの姿は変化していくでしょう。

月曜日, 7月 21, 2025

2025年参院選 最終結果と事前予測の比較分析

 今回の選挙結果について、事前予想と実際の結果を比較分析してもらいました。

2025年参院選 最終結果と事前予測の比較分析


以下、サマリです。

📝 2025年参院選 予測と実際の結果の比較サマリ

✅ 予想通りだった点

  • 与党(自民+公明)の過半数割れ

    • 自民党は予想通り歴史的大敗(39議席)、公明党も微減(8議席)で与党全体で改選過半数届かず。

    • 結果として、参院でも少数与党に転落。

  • 新興政党の躍進

    • 国民民主党:改選4→17議席。

    • 参政党:改選1→14議席。

    • どちらも終盤の情勢調査どおり大幅増を実現。

  • 1人区での野党優勢

    • 東北・西日本など多数の1人区で野党系候補が勝利。与党が守れたのはごくわずか。

  • 立憲民主党の横ばい

    • 終盤予測通り、改選前の22議席を維持。大きな増減はなし。


❗ 予想外だった点

  • 新興勢力の得票が想定以上

    • 比例で国民民主・参政が立憲民主党を上回る得票。野党再編を迫るレベルのサプライズ。

  • 公明党の複数区敗北

    • 神奈川・埼玉などで現職が落選。支持母体の地盤低下が予想以上に深刻。

  • 共産党の壊滅的後退

    • 予想は5議席前後だったが、実際は3議席のみと大幅減。

  • 自民重鎮の相次ぐ落選

    • 二階伸康(和歌山)、武見敬三(東京)など有力候補の敗北が相次ぎ、政党内に衝撃。

  • 少数政党・無所属の健闘

    • 社民党が1議席死守、日本保守党が2議席を獲得するなど、メディアの想定を超える結果も。


全体として、「与党大敗・第三極躍進」という大枠は事前予測どおりだった一方で、比例票や1人区の細かい動きにおいては予想を超える波乱が多数発生した選挙でした。与党にとっては歴史的敗北、新興勢力にとっては政界地図を塗り替える選挙となりました。

日曜日, 7月 13, 2025

2025年参院選 全国情勢予測(7月13日時点)

 前回に引き続き7月20日の参議院選挙について、まとめてもらいました。

2025年参議院選挙 最終盤情勢と議席予測

以下、サマリです。

🗳️ 2025年参議院選挙 最終予測サマリ

🔥 注目ポイント

  • 与党(自民+公明)が過半数維持できるかが最大の焦点。
    → 自民党は改選52議席から約40議席へ減少予想
    → 公明党も改選14議席から10議席程度に減少
    → 与党で50議席前後の攻防となり、政権の正当性や石破首相の進退に直結。

  • 野党・第三極が勢力拡大。
    → 立憲民主党:約25議席(やや増)。
    → 維新・国民民主・参政党が大幅増(いずれも10議席前後)
    → 共産・社民は議席維持が厳しい情勢。

  • 注目候補が多数接戦。
    → 鹿児島、福島、宮崎などの1人区で自民現職が野党新人に苦戦
    → 比例では百田尚樹(日本保守党)当落線上福島みずほ(社民)議席維持も微妙

🗺️ 地域別の特徴

  • 東北・北海道: 野党系が優勢、1人区で自民苦戦。

  • 関東・東京: 無党派票分散、維新・国民・参政党が健闘。

  • 中部: 愛知・静岡などで国民民主が躍進、与党が苦戦。

  • 近畿: 維新が大阪・兵庫で圧倒、3議席確保も視野。

  • 中国・四国: 合区や無所属候補の台頭で自民盤石とは言えず。

  • 九州・沖縄: 鹿児島・宮崎で接戦、沖縄は野党系優勢。

📌 今回の選挙の争点

  1. 物価高対策: 減税 vs 現金給付。政党間で政策分かれる。

  2. 外交・安全保障: 憲法改正・防衛費・対中関係などが争点。

  3. 政局: 与党過半数割れなら石破政権に打撃、連立再編の可能性も。

  4. 第三極の台頭: 国民民主、参政党、維新などが無党派層を吸収。

  5. 無党派層の動向: 最後の鍵。投票先未定層が多数残る。


この選挙は、自民党大敗・第三極躍進・政権再編の起点となる可能性があり、選挙結果は今後の日本政治の大局を左右します。

土曜日, 7月 05, 2025

2025年参院選 全国情勢予測(7月5日時点)

 ChatGPTのDeep Researchに参院選の現時点の予想レポートを作成してもらいました。

2025年参院選 全国情勢予測

当たり前ではあるのですが、様々な報道を集めてまとめてきているレポートです。そのため、ChatGPT自体が予想した、というわけではありません。😂


以下、サマリです。

2025年参議院選挙 予測レポート・サマリ

  • 与党(自民党+公明党)は大幅議席減が予想され、改選125議席中50議席(過半数ライン)に届くか微妙な情勢。

    • 自民党は1人区で苦戦し、改選52議席から約39議席に減少の見込み。

    • 公明党も現有議席維持は困難で、約10議席にとどまる見通し。

  • 最大野党の立憲民主党はやや議席増、国民民主党・参政党は大幅増の勢い。

    • 立憲民主党は改選22→25〜27議席と微増。

    • 国民民主党は4→12〜14議席、参政党は1→約10議席と新興勢力が躍進。

    • 日本維新の会は関西で底堅いが、全国的には横ばい~微増の予想。

  • 注目候補の多くは話題性はあるものの、無所属や新人の当選は厳しい情勢。

    • 山本太郎(れいわ)、神谷宗幣(参政党)、福島瑞穂(社民)は当選有力。

    • 百田尚樹(日本保守党)は比例で議席獲得の可能性、当落線上。

    • 山尾志桜里(無所属・東京)、世良公則(無所属・大阪)は苦戦。

  • 地域別の特徴として、東北・北海道は野党系優勢、近畿は維新が強く、新興・第三極が都市部や複数区で存在感を示す展開。

  • 依然として有権者の態度未定層が多く、終盤の情勢変動によって結果が大きく動く可能性も。

金曜日, 5月 23, 2025

川崎重工が開発するK-RACER量産型の価格予想と同等スペック機の比較

 ChatGPTのDeep Researchで調査、検討してもらいました。

K-RACER量産型の価格予想と同等スペック機の比較

実際には単体売はせず、サービス提供とするという話なので、価格が公表されることはなさそうなんですけどね。(防衛向けは除く)


一部抜粋

価格の予想: K-RACER量産型の正式な価格は未公表ですが、1機あたり約1億円前後(数百万ドル規模)になると予想されます。これは同程度の積載能力を持つ小型ヘリコプターの価格帯や、大型ドローンの開発動向を踏まえた推定です。例えば、4人乗り小型ヘリ「ロビンソンR44」の新造機価格が約7200万円helidata.net、最新の小型タービンヘリ「ベル505」が約2億円helidata.netであることを考えると、K-RACERは有人ヘリより安価であることが望ましいものの、高出力エンジンや自律飛行システム、型式認証コスト(小型ドローンの10倍以上の費用とも言われるdrone.jp)などを反映すれば1機数億円規模は避けられないでしょう。実際、中国の2人乗り電動ドローン「EHang 216」は1機あたり約3,000万円~5,000万円で販売されていますtrafficnews.jpehang.comが、K-RACERはそれより大型で航続距離も長いため、価格も倍以上になる可能性があります。