金曜日, 6月 05, 2026

Google I/O 2026 完全網羅レポート

Google I/O 2026 完全網羅レポート:「エージェント型Gemini時代」の幕開け

2026年5月19〜20日 / Mountain View, CA

Google I/O 2026 完全網羅レポート

「エージェント型Gemini時代」の幕開け

※ ファクトチェック済(公式ブログ・Alphabet Q1決算・DeepMind モデルカード等で検証)

📌 TL;DR(3点まとめ)

① Google I/O 2026(2026年5月19〜20日、Mountain View)の中心テーマは「agentic Gemini era(エージェント型Geminiの時代)」。最大の発表は新モデル2本――アクションに特化した「Gemini 3.5 Flash」(当日GA)と、あらゆる入力から動画を生成・編集できる世界モデル「Gemini Omni(Omni Flash)」――、および24時間稼働する個人AIエージェント「Gemini Spark」だった。

② AIは「答えるAI」から「自律的に行動するエージェント」へと移行し、Search・Gemini app・ショッピング(Universal Cart)・開発(Antigravity 2.0/Managed Agents)・Android(Gemini Intelligence)・Android XR(インテリジェント・アイウェア)まで、全製品スタックにエージェント機能が浸透した。

③ 多くの目玉機能(Spark、情報エージェント、生成UI、Workspace音声機能など)はテスター限定・米国先行・サブスク限定で、本格展開は2026年夏以降。Gemini 3.5 Proは2026年6月提供予定(執筆時点で未GA)。サンダー・ピチャイCEOは2026年の設備投資ガイダンスを$180〜190 billion(1,800〜1,900億ドル)に引き上げると表明した(Alphabet Q1 2026決算、2026年4月29日:従来予想$175〜185Bから上方修正、CFO Anat Ashkenaziは2027年も「significantly increase」と明言)。

1. キーノートの骨格とピチャイCEOのメッセージ

イベントは2026年5月19日(火)午前10時PT、Mountain ViewのShoreline Amphitheatreで開幕した(開発者向けキーノートは同日13:30 PT)。ピチャイCEOは「AIファースト転換から10年」を振り返り、カスタムシリコン→研究・モデル→製品という「フルスタック」アプローチを強調した。

スケール指標として挙げられた数字は以下のとおり(公式ブログ「I/O 2026: Welcome to the agentic Gemini era」より)。

指標 数値 備考
月間トークン処理量 3.2 quadrillion超 前年比7倍(前年:約480兆、2年前:9.7兆)
API トークン処理速度 約190億トークン/分 前回決算発表比(約100億/分)から約2倍
月次モデル利用開発者数 850万人超 毎月新規アプリ・体験を構築
Gemini app MAU 900万MAU超 前年(I/O 2025時点)の400万から1年で倍増超。日次リクエストは7倍超
AI Overviews MAU 25億MAU超 Google全体で最もAIを届けているプロダクト
AI Mode MAU 10億MAU突破 投入からわずか1年で到達
10億MAU超プロダクト数 13製品 うち5製品が30億MAU超
Nano Banana 生成画像累計 500億枚超 画像生成モデルの累計利用実績
SynthID 透かし付与実績 1,000億超の画像・動画、6万年分の音声 Gemini appでの検証利用は5,000万回超
大型Google Cloud顧客 375社超 過去12カ月で各社1兆トークン超を処理

ピチャイCEOは閉会の辞として「我々は明確にエージェント型Geminiの時代にいる」と締めくくった。

2. AI・Geminiモデル

2-1. Gemini 3.5 Flash(GA)

✅ GA(2026年5月19日) ⭐ 重要度:★★★★★

「frontier intelligence with action」を掲げるGemini 3.5系の第1弾。Gemini 3 Flashを基盤に「thinking levels」を載せた自然マルチモーダル推論モデルで、当日より全プロダクト・APIでGA提供が開始された。

入力モダリティ テキスト・画像・音声・動画・PDF(最大100万トークン文脈)
出力 テキスト最大64Kトークン(公式モデルカード値)
知識カットオフ 2025年1月
APIモデルID gemini-3.5-flash(stableステータス)
API価格(標準) 入力 $1.50/M トークン、出力 $9.00/M トークン、キャッシュ入力 $0.15/M(90%割引)
速度 「比較フロンティアモデルの4倍速い」(ピチャイ発言)、Antigravity向けに最適化版は「12倍速」
主なベンチマーク Terminal-Bench 2.1:76.2%、GDPval-AA:1656 Elo、MCP Atlas:83.6%、CharXiv:84.2%(いずれも3.1 Proを上回る)
弱点 Humanity's Last Exam・ARC-AGI-2・長文脈テスト(128K MRCR v2)は3.1 Proに及ばず、Pro層の完全置き換えではない
配布先 Gemini app、Gemini API(AI Studio等)、Search AI Mode(グローバルデフォルト)、Antigravity 2.0、Gemini Enterprise
⚠️ コスト注意点:thinkingトークンは出力レートで課金されるため、高推論設定ではトータルコストが3.1 Proを上回る場合がある(Simon Willison氏ら複数エンジニアが指摘)。本番投入前に実ワークロードでのコスト計測を推奨。

2-2. Gemini 3.5 Pro(2026年6月提供予定・執筆時点未GA)

社内での利用が先行しており、2026年6月提供予定とピチャイCEOが発表。ただし執筆時点(2026年6月5日)ではまだ一般提供(GA)には至っておらず、Gemini 3.1 ProがProティアのAPI現行バージョンとして提供継続中。提供開始後に改めて詳細確認が必要。

2-3. Gemini Omni / Gemini Omni Flash(動画出力GA)

✅ GA(Gemini app・Flow・YouTube Shorts) 🔜 API:数週間以内 ⭐ 重要度:★★★★★

Google DeepMind Koray Kavukcuoglu CTO発表の次世代マルチモーダルモデル。「Geminiの推論能力と創造能力が出会う場所。world understanding(世界理解)、マルチモーダリティ、編集における飛躍をもたらす」と説明され、あらゆる入力(テキスト・画像・音声・動画)からあらゆる出力モダリティを生成できる設計が特徴。動画出力からスタートし、将来的に画像・テキストも対応予定。

transformerベースのネイティブマルチモーダルモデルで、重力・運動エネルギー・流体力学などへの直感的理解が向上。会話による逐次編集が可能で、キャラクターの一貫性(外見・声)を全シーンで保持する。全生成コンテンツにSynthIDの不可視ウォーターマーク+C2PA Content Credentialsを付与。

一点注意が必要なのは、Veo・Nano Banana・Genie 3はDeepMindのモデルカタログ上で独立したモデルとして存続しており、GeminiOmniがそれらを「置き換え・統合する」という公式言明はない点だ。公式ベンチマーク数値も現時点では未公表で、API公開時に評価結果が開示される予定。

2-4. Gemini Spark(24/7パーソナルエージェント)

🧪 Beta:米国のAI Ultra加入者向け ⭐ 重要度:★★★★★

Gemini app内の個人AIエージェント。Google Cloud VM上で24時間稼働し、ノートPCを閉じても背景でタスクを継続。Gemini 3.5+Google Antigravity harnessで長期タスクを実行する。Gmail・Docs・Slides等の自社ツールと統合し、夏にかけてMCP(Model Context Protocol)経由でCanva・OpenTable・Instacart等の第三者ツールに拡大予定。重大なアクションの前に確認を取る設計になっている。

提供状況:トラステッドテスターへの先行ロールアウト後、翌週(5月26日週)より米国のGoogle AI Ultra加入者($100・$200両プラン対象)向けBeta。Android Haloでステータスバーから進捗確認が可能。将来的にChrome内でのエージェント型ブラウジングにも対応予定。

3. インフラ:TPU第8世代・設備投資

3-1. TPU第8世代(TPU 8t / TPU 8i)

2026年4月のGoogle Cloud Next 2026で発表された第8世代TPU。今世代初めてのデュアルチップ構成で、訓練用「TPU 8t」と推論用「TPU 8i」に役割を分離している。Google DeepMindとの共同設計であり、フロンティアモデル訓練・エージェント開発・大規模推論ワークロードに対応する。

項目 TPU 8t(訓練特化) TPU 8i(推論特化)
用途 フロンティアモデルの訓練高速化 低レイテンシー推論・エージェント処理
スーパーポッド構成 最大9,600チップ、共有HBM 2PB 最大1,152チップ(前世代256から拡大)
演算性能 121 ExaFlops (FP4)、前世代比ほぼ3倍 11.6 ExaFlops (FP8)、ポッドHBM総容量 331.8TB
on-chip SRAM 384MB(前世代比3倍)、HBM 288GB
稼働率目標 goodput 97%以上(故障時自動迂回等) KVキャッシュ最適化で低レイテンシー維持
ホストCPU 両チップとも Google Axion ARMベースCPU(初の自社CPU採用)

ネットワーク面では新しい「Virgo Network」ファブリックを導入。TPU 8tについては、単一データセンター内で134,000チップを接続でき、さらに複数データセンターにまたがる論理クラスターとして100万チップ超での訓練が可能(JAX+Pathwaysソフトウェアとの組み合わせによる)。これは単一の建屋・単一クラスターではなく、複数拠点を束ねた構成であることに留意。

✅ TPU 8tの訓練加速:Googleは「フロンティアモデルの開発サイクルを数ヶ月から数週間に短縮できる」と公式に述べている。

3-2. 設備投資(CapEx)

Alphabet Q1 2026決算(2026年4月29日)でCFO Anat Ashkenaziが更新した2026年CapExガイダンスは$180〜190 billion。従来予想の$175〜185Bからの引き上げで、Intersect社(データセンター、2026年3月クローズ)の買収関連投資を含む。2027年は「significantly increase」と明言。2022年実績の約310億ドルと比較すると6倍規模への増加となる。

4. Android・デバイス

4-1. Android 17 と Gemini Intelligence

Android 17(API level 37、コードネーム:Cinnamon Bun)は、2026年5月12日の「The Android Show: I/O Edition」で先行公開された。安定版は2026年6月頃にPixelデバイス向けに順次展開予定(他OEMは2026年Q3後半以降の見込み)。

今世代の最大テーマはAndroidを「OS」から「intelligence system(知能システム)」へ進化させること。Gemini Intelligenceがアプリ横断の自律タスク(例:Gmailからシラバスを見つけ必要書籍をカートに追加)を背景実行する。主な新機能は以下のとおり。

  • Create My Widget:自然言語でウィジェットをその場生成
  • Rambler(Gboard):音声ディクテーションをGeminiが整形
  • Pause Point:ドゥームスクロール抑止機能
  • Live Threat Detection強化:端末上のリアルタイム脅威検知
  • Android Halo:エージェント(Spark等)の進捗をステータスバーに表示(年内対応予定)
  • Googlebook:Gemini Intelligence前提のプレミアムAIノートPCカテゴリ。Acer・ASUS・Dell・HP・Lenovo等から年内投入予定
  • Android Auto:Material 3 Expressive、Immersive Navigation(3D)、Gemini連携(16ブランド100車種超)

なお大画面(sw > 600dp)向けのadaptive layout対応は、API 37ターゲットアプリに対してオプトアウト不可で必須化される(従来の向き制限・サイズ変更制限の回避属性が無効化)。開発者は早急な対応確認が必要。

4-2. Android XR:インテリジェント・アイウェア

2種類のXRグラス形状が発表された。

音声グラス(今秋発売予定):Samsung・Qualcomm基盤、外装はGentle Monster(前衛的デザイン)とWarby Parker(伝統的デザイン)が担当。AndroidとiOS両対応。「Hey Google」またはフレームのタップでGemini起動。道案内、視界内オブジェクトへの質問、アプリ連携(Uber配車等)が可能。

ディスプレイ・グラス:レンズ内情報表示・リアルタイム翻訳機能を備える上位モデル。詳細は今後公開予定。

5. 開発者向け技術

5-1. Google Antigravity 2.0

エージェントファースト開発プラットフォーム。スタンドアロンのデスクトップアプリとして提供され、複数エージェントの並列オーケストレーションが可能。サブエージェント・hooks・非同期タスク管理などのプリミティブが追加され、Gemini 3.5 Flashと協調最適化されている。

Antigravity CLIは当日より全ユーザー向け提供開始。なお既存のGemini CLI(Gemini Code Assist IDEエクステンション含む)は2026年6月18日にサンセットとなり、AI Pro・Ultra・無料個人向けユーザーのリクエスト受付が停止される(企業向けCloud組織ライセンスは別途猶予あり)。公式Developers BlogにAntigravity CLIへの移行ガイドが公開済みのため、早急な確認を推奨。

5-2. Managed Agents(Gemini API)

単一API呼び出しでリモートLinuxサンドボックス付きエージェントをプロビジョニング。AGENTS.md/SKILL.mdで挙動を定義。Interactions API・AI Studioで提供。

5-3. Jules(非同期コーディングエージェント):GA

隔離VM上でタスクを実行しPRを返す非同期コーディングエージェント。I/O 2026でGAに到達。有料プランはGemini 3.1 Pro、無料はGemini 3 Flashを採用。Jules Toolsというターミナル向けCLIも同時提供。次世代版(社内コード名「Jitro」)はゴール駆動(KPI駆動)型へ進化する計画。

5-4. MCP(Model Context Protocol)対応

Google CloudサービスへのフルマネージドリモートMCPサーバーを発表。BigQuery・Maps Grounding Liteから順次、Cloud Run・Storage・AlloyDB等は数カ月以内に対応予定。Spark・Antigravityの第三者ツール連携もMCP経由で実現。自社API・ツールをMCPサーバー化すれば、Spark・Antigravity・他社エージェント(Claude/Cursor等)からも横断利用が可能になる。

またWebMCP(ブラウザエージェント向けにJS関数・HTMLフォームを構造化ツールとして公開する提案標準)がChrome 149でオリジントライアル開始。

5-5. Google AI Studio

ネイティブAndroid(Kotlin)vibe coding、Workspace統合、Cloud Run/Firebaseへのワンクリックデプロイ、Play Console連携(内部テストトラックへ公開)、Antigravityへのエクスポート、モバイルアプリ(近日)。最初の2アプリはCloud無料デプロイ対応。

5-6. その他開発者向け発表

  • Gemma 4(オープンウェイト、2026年4月リリース済み):E2B/E4B/26B/31Bバリアント、Android Bench リーダーボード追加
  • Firebase:Gemini Live APIのセッション再開、Google Maps連携グラウンディング、iOS向けGemma 4ハイブリッド推論
  • CodeMender:脆弱性自動修正AIセキュリティエージェント、Agent Platformに統合
  • Build with Gemini XPRIZE Hackathon:賞金総額200万ドル(ハッカソン史上最大規模)、2026年9月ファイナル

6. Google Workspace

機能 概要 提供時期・対象
Gmail Live 音声で受信箱を会話検索(例「フライトのゲート番号は?」) 2026年夏、米国AI Pro/Ultra(Android/iOS、英語)
AI Inbox パーソナライズ下書き返信、関連Docs/Sheets/Slidesリンク、タスク管理 Ultra限定から米国AI Plus/Proへ拡大
Docs Live 音声で文書を作成・編集(Gmail/Drive/Chat/Webから情報取込、許可制) 2026年夏、AI Pro/Ultra(英語グローバル)
Google Keep 音声ブレインダンプを整理されたノートに変換 2026年夏、Android AI Pro/Ultra
Google Pics 最新Nano Bananaベースの画像生成・編集ツール。Workspace統合(Slides等) 2026年夏、AI Pro/Ultraグローバル
Google Meet 「Take Notes for me」:他社会議・対面会議でも要約・アクションアイテム取得可能に。直近1カ月で1.1億人超が利用(前年比8.5倍) 拡張機能の段階展開中
Google Sheets Sheets Canvasでインタラクティブなミニアプリ(ダッシュボード・ヒートマップ等)を構築、HubSpot/Salesforce等からのデータ取込 順次展開

7-1. AI Search の刷新

AI ModeのデフォルトモデルをGemini 3.5 Flashにグローバル更新。25年以上ぶりに検索ボックスを刷新(テキスト・画像・ファイル・動画・Chromeタブを横断入力、AI候補提示)。AI OverviewsとAI Modeを一体化し、デスクトップ・モバイルで当日グローバル展開。

また「情報エージェント」が背景で24/7稼働し、特定トピック(ブログ・ニュース・SNS+金融/買い物/スポーツのリアルタイムデータ)を監視・要約・アクション。2026年夏にAI Pro/Ultra加入者先行。「生成UI(Antigravity in Search)」では質問ごとにカスタムレイアウト・インタラクティブ可視化を即時生成し、夏に全員無料提供開始予定。

7-2. Universal Cart(統合ショッピングカート)

Gemini駆動の統合ショッピングカート。Search・Gemini・YouTube・Gmailから商品を追加でき、価格追跡・在庫アラート・互換性チェック・支払い最適化(Google Wallet基盤)が一元管理できる。Universal Commerce Protocol(UCP、Shopify・Etsy・Wayfair・Target等と共同開発)で決済をシームレス化。2026年夏に米国のSearch・Geminiで先行展開予定。

7-3. Chrome

Gemini in Chrome(auto browse)で多段タスクを代行(旅行調査・フォーム記入・予約等)。米国のAI Pro/Ultra先行。Nano Bananaでページ内画像生成、SynthID/C2PA検証をChromeに拡大(数週間以内)。

7-4. Google Maps

Ask Maps(会話検索)とImmersive Navigation(3Dナビ)は2026年3月12日に米国・インド先行で公開済み(TechCrunch確認)。Maps史上10年ぶり最大の刷新。ピチャイ氏は「Ask Mapsはより複雑で長い質問に使われている」と言及。

7-5. Ask YouTube

複雑な検索クエリに対し関連動画を横断提示し、最適な再生位置にジャンプする新機能。2026年夏に米国で広範展開予定。現在はyoutube.com/newで実験開始。

7-6. Google Flow

AIクリエイティブスタジオ。Gemini Omni Flash搭載、Flow Agent(多段タスク)、Flow Tools(vibe codingで自作ツール)、Flow Music(Lyria 3)。Android(ベータ)・iOS向けモバイルアプリ化。140カ国超で展開。

7-7. NotebookLM

I/O 2026のために専用ノートブックを公開(Audio/Video Overview、スライド、インフォグラフィック)。直近の機能追加にCinematic Video Overviews・EPUB対応・PPTXエクスポート・Drive自動同期・10種の新インフォグラフィックスタイル等。

8. Google DeepMind 研究成果

8-1. Project Genie + Street View

汎用世界モデルGenieをGoogleのStreet View画像(約20年分、2,800億枚超)と接続。米国の実在地点を起点に、スタイルやキャラクターを指定して探索可能なインタラクティブな世界を生成できる。Waymoのレアイベント学習にも活用。Google AI Ultra($200プラン)加入者向けにグローバル展開(米国地点先行)

技術的には実験的研究プロトタイプであり、物理法則を完全には理解しない(人物がサボテンを突き抜ける等の挙動あり)。Genie研究者Jack Parker-Holder氏は「インタラクティブな世界生成は精度面で動画生成より6〜12カ月遅れている」と説明。真のブレークスルーは「空間的連続性(360度振り返っても背後を正しく記憶)」にあるとMaps担当ディレクターが指摘。

8-2. Gemini for Science

Co-Scientistベースの仮説生成・AlphaEvolve/ERAベースの計算的発見・NotebookLMベースの文献インサイトの3実験ツールを提供。UniProt・AlphaFold DB等30超の生命科学DBに接続する「Science Skills」をGitHub・Antigravityで提供。学術誌等とのエージェント型ピアレビュー実験(PAT、ScholarPeer)も進行中。

8-3. Demis Hassabis(DeepMind CEO)のAGI発言

キーノートのクロージングでHassabis氏は「振り返ったとき、今は特異点の麓(foothills of the singularity)に立っていた時代だったとわかるだろう。それは人類にとって深遠な瞬間になる」と述べた。

翌週にAxios(Ina Fried氏)が行ったインタビューでは、「依然として大まかにはAGI到来を2030年前後と見込んでいるが、今や2029年も可能性の範囲内になった」と語った。Fast Companyのインタビューでは「2030年、プラスマイナス1年」とも発言している。これは本人の個人見解であり、製品の能力保証ではない点に留意が必要。

9. Google AI サブスクリプション改定(I/O 2026)

プラン 月額 主な内容
AI Plus $7.99 Gemini基本機能、限定クリエイティブツール
AI Pro $19.99 Gemini 3.1 Pro対応、1,000クレジット/月、5TB ストレージ、YouTube Premium Lite(一部の国)、Google Home Premium・Google Health Premium付帯
AI Ultra(新設) $100 AI Pro比5倍の利用上限、20TB ストレージ、YouTube Premium インディビジュアルプラン、Antigravity優先アクセス、Gemini 3.5 Flash統合、$40の月次Google Cloud クレジット+10,000 Flow Credits、Gemini Spark(米国のみ)
AI Ultra(値下げ) $250 $200 AI Pro比20倍の利用上限($100プランの4倍)、20TB ストレージ、YouTube Premium インディビジュアル、Project Genie(グローバル・米国地点先行)、Gemini Spark(米国のみ)。機能は従来$250と同一
⚠️ 課金モデル変更:従来の「日次プロンプト数」から「compute-used(演算量ベース)」に移行。プロンプトの複雑さ・使用機能・チャット長を加味して計算。5時間ごとにリフレッシュし、週次上限まで利用可能。上限到達時は小型モデルへ自動切替。Pro/Ultraはトップアップクレジット購入も可能。
✅ 価値計算の参考($100 Ultra):YouTube Premium インディビジュアル($16相当)+$40 Cloud クレジット+20TB ストレージ($10相当)+Google Home Premium Advanced($20相当)+Google Health Premium($10相当)を合算すると実質コストは約$4/月という試算もある(AndroidAuthority等)。

10. 推奨アクション

🔧 開発者・技術リード向け

今すぐ着手:Gemini 3.5 FlashをAntigravity 2.0/AI Studioで評価。エージェント・コーディング・長期タスクのワークロードで自社の実トークン消費を計測(thinkingトークンが出力課金されるため、高推論設定では3.1 Proよりコスト高になり得る)。Gemini CLI利用者は2026年6月18日サンセット前にAntigravity CLIへ移行必須。

6月の判断ポイント:Gemini 3.5 Pro(6月提供予定・執筆時点未GA)のモデルカード・価格・文脈長が確定してから、深い推論/長文脈タスクの移行可否を決定。

MCP標準化:自社API/ツールをMCPサーバー化すれば、Spark・Antigravity・他社エージェントから横断利用可能に。WebMCPのChrome 149オリジントライアルも検証対象。

📊 Workspace・ビジネスユーザー向け

2026年夏のロールアウト(Gmail Live・Docs Live・Pics・AI Inbox拡大)に備え、米国・英語環境での先行検証を計画。課金が「演算量ベース」に変わるため、ヘビーユーザーはAI Pro(1,000クレジット/月)かAI Ultra $100(プランの実利用量で再評価)か確認を。Google Meetの「Take Notes for me」は他社会議でも使えるため、横展開を検討。

🏢 経営・戦略観点

エージェント型AI(自律実行)への移行は構造的転換であり、最適化指標は「モデルの賢さ」から「エージェントが本番規模でどれだけ確実に・低コストで仕事を完遂できるか」へ移る。Googleは「自社訓練シリコン+自社推論シリコン+10億ユーザー級のSearch配信層+9億ユーザーのGemini app」という、純粋AIラボには再現困難な配信・コスト優位を前面に出している。この「フルスタック配信」を競争評価の軸に据えるべきだろう。

11. 留意点(Caveats)

提供時期の幅:Spark・情報エージェント・生成UI・Workspace音声機能・Universal Cart・Pics・Ask YouTube等は多くが「2026年夏」「数カ月以内」「米国先行」「サブスク限定」。当日GAではない機能が多い。Gemini 3.5 Proは6月予定だが執筆時点(2026年6月5日)で未GA。

Gemini Omniのベンチマーク未公表:公開ベンチマーク数値は現時点で未公表。10秒上限・720p・生成時間などの数値は公式資料に記載がなくプレス・ブリーフィング由来の情報。Veo・Nano Banana・Genie 3との関係も「融合」ではなく公式上は別個の独立モデルとして併存。

Project Genieは実験的研究プロトタイプ:物理法則を完全に理解しないケースがあり(人物がサボテンを突き抜ける等)、写実性はゲーム品質。AI Ultra $200限定。

数値の出所:トークン処理量・ユーザー数などはピチャイCEOキーノート(「壇上発表内容を補足するため編集」との注記あり)由来。設備投資額$180〜190BはAlphabet Q1決算(CNBC 2026年4月29日)でも裏付け確認済み。

DeepMind CEOのAGI発言:Hassabis氏の「特異点の麓」「2029〜2030年」発言は本人の個人見解であり、製品の能力保証ではない。

主要参照ソース:Google Blog「I/O 2026: Welcome to the agentic Gemini era」(Sundar Pichai、2026年5月19日)、Google Blog「100 things we announced at I/O 2026」、Google Blog「Everything new in our Google AI subscriptions」、Google DeepMind Model Card「Gemini 3.5 Flash」、Google Cloud Blog「TPU 8t and TPU 8i technical deep dive」(2026年4月22日)、Google Developers Blog「Transitioning Gemini CLI to Antigravity CLI」(2026年5月19日)、Alphabet Q1 2026 Earnings Call(2026年4月29日)、Axios「Google DeepMind CEO Demis Hassabis says we're close to AGI」(2026年5月26日)

ファクトチェック実施日:2026年6月5日 / 記事作成:kuniyon.blogspot.com

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